Monologue40 (2000.10.21〜2000.10.25)

「2000.10.25(水)」・まず最初は

  ルドルフシュタイナーという人のとある本の中に、明らかな不安や恐怖は、それを抑えることができるが、明らかにならない不安や恐怖が、無意識の中に留まっていると、病気の原因になるというようなことが書いてあった。
 そうなると世の中のいろんな病気の原因は、辿っていくと心の中で消化しきれなかった不安や恐怖が無意識の中に巣食ってしまい、病気を引き起こしている、といえるのかもしれない。
 真の癒しのプロセスとは、まず不安や恐怖がどういうものなのかを明らかにして、意識の上に上らせてくる、ということから始まる、のかもしれない。
 以前NHKのトップランナーという番組で作詞家の松本隆氏が本当の癒しとは、自分にとっての本当の問題が何なのかということが自分に明らかになることだというようなことを述べておられて、なる程なと感じたものだった。

 問題がどういうものか自分でわかれば、次の段階でそれをどうしていくかということになるが、まず人間臭い物には蓋をしたがるので、なかなかそれが難しいかもしれない。
 しかし無意識では無く意識上に上らせて、要するに原因が何かということが自分に明らかになればいい訳だから、そう考えると後はそれをどうしてやればいいかということになる。

 例えば僕などは、まずわざと自分が気にしている、何となく気になる嫌なことを思い浮かべてみる。そしてその嫌なことから連想される他の嫌なことをドンドン思い浮かべていく。そしてそれを挙げだしてみて、その連想の流れの中で、自分が一体何を恐れているのか、どういう結果を敬遠しているのか、どうなってしまうことが嫌なのかをまとめてみる。
 嫌なことを思い出しても、それは解決されなくても良い。
 とにかく明らかにすることがまず第一歩なので、僕は最近は不安や恐怖があっても、それが何なのかということを一旦明らかに認識して、それが無意識に落ちていかないよう心がけている。

 しかしながら本当の問題が何なのかということを認識することは、やはり容易では無い。
 問題が何なのかわかっていれば、後はそれを解決するために自分が動いていくだけなのだが、その行程も人生っていうやつなのかもしれないし、まあ、それは又別途考えよう・・・。

 全然話は変わるが、日テレの深夜「松本紳助」という番組があって、松本人志と島田紳助の二人のトーク番組というちょっと異色の企画だけど、今日はフジのごきげんようのパロディをやろうとしていて、結構面白かった。

「2000.10.23(月)」・近年関係悪化

 人生、時に悲しい場面がある。
 何が悲しいって、昔はとても仲良しだったものと、仲違いしてしまうことくらい悲しく無情なことは無い。

 昔、僕は彼らに会いたいがため、野に出、川を渡り、山に登った。
 彼らに関する資料・写真(図鑑)を眺め、毎晩彼らを愛おしく思っていた。
 そして時には、一緒に暮らしたい!とまで思っていた。

 ところがそう、昔あれ程興味を持って接していた彼ら「昆虫」達と、僕との関係は、どうしたことか近年ますます悪化し緊張の度合を増しつつある。
 今や一触即発の状態にまでなっている。

 先日良く晴れた日、布団を干し、それを取り込んだ時のことである。
 取り込んだ布団をドサッと放り出し、とりあえずテレビでも見ようと思って椅子に座り足を組んだ途端、僕の膝の上に見慣れない緑色の細長い有機生命体が付着しているのが、目に飛び込んできた。
 ワーッ!。
 予期せぬ非日常的な光景に仰天して立ち上がり、あまりの唐突さと無気味さで、本能的に振り払おうとしたが、とれなかった。
 なんと大きなカマキリであった。
 爪で僕のズボンに必死でしがみついている。
 僕はそばにあった雑誌ではたくと、ようやく彼(彼女?)は脇に飛び降りた。

 すぐさまティッシュで彼(彼女?)を捕まえ、外に放りだす。
 びっくりした。
 全く突然現れおるから心臓に悪いぞな。

 しかし、どうやって侵入したのか?
 おそらく布団にしがみついて、その後僕の膝に飛び移ったと思われるが、その間わずか10数秒である。
 僕が窓を開けていた10数秒を狙って、ヤツは僕の部屋に侵入し、僕の膝までくるという芸当をやってのけたのである(ここでミッションインポシブルの曲が流れる)。
 よくアクション映画で、敵のアジトの入り口がわずかに開いた瞬間に飛び込み、敵のアジトに潜入、なんてのを見かけるが、ほとんどそれと同じレベルのことをカマキリの野郎は行っているのである。
 トムクルーズも真っ青である。

 これだけの危険を犯し、これだけの高等テクニックを駆使し、僕の部屋に侵入してきて、一体何をしようと企んでいるのか?
 全く理解に苦しむ。

 僕には、ヤツ(こうなったらヤツ呼ばわりさせてもらう)らは「僕を驚かせようとしている」、ただそれだけの為にやって来ているようにしか見えない。
 悪意で全てを行っているとしか見えない。
 完全に悪意に満ちきっていて、僕を驚かしてやれと思っているようにしか見えない。
 僕を驚かして一体何をしようというのだ?彼らは何が目当てなんだ?要求は何なんだ?
 金か?女か?地位か?名誉か?、それともこのオレのカラダが目当てなのか?、んなこたないか。

 そういえば、昆虫の為に結構ストレスがたまることが多い。

 ヤツらは今回のカマキリのように、ホッと一息ついたような時に限って突然姿を現してビックリさせる。
 夏などは、玄関や窓を開放して風通しを良くしておきたい。でもそれもままならず閉めるので、仕方なく冷房器具などを使わなくてはならない。ヤツらが入ってきてしまうからである。
 掃除をしないとヤツらが勝手に生息し、妙な気を発しはじめる。
 しばらく掃除をしてない本棚の裏側や押し入れの奥に、ヤツらがウヨウヨ巣食っているのを見るのは恐い。
 自転車で走っていると、目に飛び込んできて運転の自由を奪う。
 最悪のケースは病原菌などをわざわざ運んでくる余計なお世話をするヤツもいる。
 余談であるが、先日ゴキブリホイホイに通常のゴキブリの茶褐色とは、明らかに違う色の物体が入っていて、思わずギョッとしたが、ようく見てみるとカマキリであった。

 こう考えると、ヤツらは為にこそならないが結構僕の生活上のストレスの根源になってはいないか?
 要するにヤツらは僕の人生の「邪魔」をしているのである。
 ヤツらがいないだけでも随分僕は幸せな生活を送れるような気がする。
 それともやはりヤツらと共存しなくては僕は地球上では生きていけぬのか?
 こんな僕の「邪魔」ばかりしているヤツらと果たして友好的にやっていける可能性があるのか?。

 僕側から言わせてもらえば、今まで散々僕の邪魔をしてきたから、今後は人生観の変わるくらい素晴らしいものを見せてくれる等よっぽどのことでも無い限り、ヤツらに対しての僕の態度は好転しないと思われる。
 
 それともヤツらは僕の心の反映で、僕の改心を促そうなどと訴えようとでもしているのか?
 そうなると、僕はチョコチョコと誰かの「邪魔」をしている、とでもいうのか?

 それとも・・・、彼らは昔と全然変わってはいず、僕の方が昔と変わってしまっただけなのだろうか・・・?
 昔、彼らに出会った時のトキメキを忘れ、童心を失ってしまったのが、僕の方だというのか・・・?
 もしかしたら、彼らは僕が忘れかけていた「童心」を想い出させようと、命がけでやってきているとでもいうのか・・・?
 ・・・。

 ともあれ、今のところ僕の昆虫不信はますます募るばかりである。
 続く(えっ?)。

「2000.10.22(日)」・マウスパッドが語ること

 僕の使用しているマウスパッドは、少し厚手のマット状になったものであるが、買ってからは特に振り返るでもなく使っていた。
 ところが久しぶりに良ーく見たら、いつの間にか表面がボコボコになっていた。
 結構丈夫そうだったので、こんなことがあることは無かろうと思っていたのに・・・。

 だが、そうでは無い。
 この世は無常なのである。
 マウスパッドで無くても、物体は常に変化している。

 このマウスパッドは、僕がどうこうしなくても、ほおっておけば、長い時間を経ていずれ風化してしまうのだ。

 そう考えると今僕の身の回りにあるモノだって、何百年何千年何万年と経てば、きっと全て風化し、地球に帰っていくのだろう。

 このマウスパッドは、元は地球の植物か何かが石油になり、その内のある部分が、誰かの手により形をかえられマウスパッドに変化した。
 そしてきっと僕に使用されつくした後はゴミになってどこかに捨てられ、何千年も立つと化石のようになってしまい、また土に帰っていくのだろう。
 そして、このマウスパッドが、地球上のとある物質からマウスパッドとして形を変えていた期間というのは、地球や宇宙の歴史を考えると、ほんの一瞬の出来事にすぎない。

 片や「僕」という、これも同じ地球上の、何か知らぬが何かいろんな物質から組成された存在があり、地球の歴史上の、ほんの一瞬に、同じく地球上の物質から組成されたマウスパッドに出会った。

 結局、地球という母体があって、その中から人間やモノなどが、地球の歴史から見たら、ほとんど奇跡的なくらい見事なタイミングで造り上げられ、出会い、そして離れていく、そんなことをもう長い間ずっと繰り返して来ているのだな、と感ずる。

 だから、人間もモノも、宇宙から見たら、同じ地球上の存在で、元は一緒なのだ、それが、その時々の何かの力の具合で、モノになったり人間になったりしているだけで、根っこはつながっているのかもしれないと、ふと思ったりする。

「2000.10.21(土)」・答えはどこに?

 今の自分を見つめ直す・問いただす時間というのは、とても大切で必要な時間だと思のであるが、時間にゆとりがあるのに、いくら見つめ続けても、問題の回答・解決策が出てこない場合もある。
 そんな時はどうしたら良いのだろうか?
 単純だが、思い当たるフシを当たってみる・動きだす・行動する、という結構ありきたりな結論に達する。

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