Monologue33 (2000.8.28〜2000.8.31)

「2000.8.31(木)」・モテ具合検証

 8月も終わりである。
 この夏もモテなかったが、これだけモテナイと、いろんな局面で自分はもしかしたらモテテいたんじゃないか?と思いこみをしたくなってくることもある。
 微小な現象すら、モテていたからでは無いか?と反芻したくなる。

 それで、この夏どれほど実際自分はモテテいたのか、検証したい。
 第三者からみれば、アンタ妄想も甚だしいよ、欲求不満だよ、と言われても検証していきたい。

 まず第1のモテたケース。

 先日とある駅からとある駅までのバスに乗っていた時のことであるが、僕は例によって一番後部座席に位置を占めた。
 バスが出発して程なく行ったある停留所で、僕のすぐ前の席に今時の感じの女の子が座った。
 目がパッチリして髪の長い、なかなかカワイイ女性である。
 服はノースリーブのシャツを着ていて、なかなか露出も多く、僕は目を保養させてもらった。

 ま、それはいいとして、バスに乗られる方は、ご存じかと思うが、最後部の座席は若干高くなっているので他席を見下すような感じになっている。当然すぐ前の席の様子も手に取るようにわかる。

 その手に取るようにわかる前席で、先程の女性が自分のバッグをゴソゴソやりだした。
 こちらにはそのバッグの中が手に取るようにわかる。
 僕自身は他人に自分の持ち物の中身を見られたくは無い。エロビデオを購入した時など、殊に見られたくない。
 そのうち先程の女性は、バッグから数枚の切符を取り出して眺め始めた。
 僕にはその切符の内容が手に取るようにわかる。まるで僕にもその切符を拝見してほしいかのようである。○月×日に上野から高崎行きの新幹線に乗るらしい。
 往復らしく、帰りの乗車券もある。その女性のものかどうかはわからぬが、もし僕がストーカーだったら、その列車の発車日・指定席座席もわかってしまうので、こりゃいい情報ですゼ旦那、と後をつけていってしまうだろう。

 それからその後、その女性はご多分に漏れず携帯電話を取りだして、友人と思われる女性に電話していた。
 それから更にその後、その女性は携帯電話でショートメールを打ち出した。宛て先が男性だったが、どうやらいわゆる「カレシ」らしいと思われる。なぜそう思ったかというと、メールの内容では無く、番号簿(こう言う言い方でいいのかな?ちなみに僕は携帯持ってないのでわからんが)の一番先頭にその男性の名前があったからである。
 メールの内容は、今日の夕方の行動予定はどうするか?という文面であった。花火大会に行くことになっていたらしく、落ち合う場所等の詳細を決めるような内容であった。

 女性はひととおりメールを打ちおえると、ようやく携帯をしまい、座席でリラックスし始めた。
 これだけ僕にプライベートを暴露してくれるなんて、ごちそうさまと思う。
 こんなにリラックスしてくれるなんて、僕が後ろにいるからなのだろうか?とさえ思うくらいである。

 しかしまだ彼女のリラックスは、続いていた。
 彼女を見ると、左手を髪の耳あたりの中に入れている。そしてゴソゴソまさぐる様な仕草をした後、おもむろにその手を取り出すと、指先をシゲシゲと眺め始めた。

 どうやら耳をほじっているらしかった。そして掘った内容物を確認しているらしかった。

 しかし、その次の瞬間、信じられない光景が僕の目の前に展開された。

 先程彼女の左耳から、採掘作業を終了し、確認作業を受けたばかりの指先が、彼女の口に運ばれるように見えたのである。あるいは匂いの確認をしていたのかもしれないが、彼女の髪で全貌は明らかにすることはできなかった。しかし位置的に指先が口周辺部に運ばれたことは確かである。

 彼女は耳の採掘作業を何度か繰り返していたが、僕の熱い視線に感づき、さすがにシマッタと思ったのか、採掘の指のテンションが徐々に下がってきて、あたかも髪を掻き上げるだけの作業かに見えるように動作が変貌していく様が確認できた。

 やがてバスが終点に着くと、彼女は何事も無かったようにバスを降りていった。

 きっと彼女はリラックスしていて、つい家にいるような感覚で、日常やっているような耳の清掃作業に没頭してしまったものと思われるが、これだけリラックスして(しすぎ?)くれると、それはすぐ後ろが僕だったからであると、思いたい。思うのは勝手なので、そう思いたい。

  *    *    *

 第2のモテたケース。
 最初に言っておくが、別にオチのある話でも無い。

 やはり先日帰りの電車内でのことである。
 乗り換え駅で特急電車を待っていた僕は、電車が来たので乗り込んだ。一番最後列で乗り込んだので、入り口を入ったところにある吊り革につかまって、ドアの方を見る位置で立ち位置を決めた。
 僕の前には、浴衣姿の女性がいて、ドアのところによりかかって携帯を持ってなにやらしていた。
 僕とは横顔が見えるような垂直になるような位置で立っている。

 その女性は高校生か大学生くらいと思われる女性で、有坂来瞳を宇多田ヒカルに変化させてく途中みたいな子で、整った顔だちのかなりカワイイ子であった。すぐテレビに出してもいいくらいであった。どうやらその日にあった多摩川の花火大会に行くようであった。
 僕は、カワイイじゃんと思いつつ眺めていたのだが、その視線に気づいたのか、彼女と視線が合ってしまった。

 しかしここからがいつもと違った。
 普通は電車の中で異性と視線があっても、それだけで終わってしまうが、この女性は、その後も数回にわたって僕のほうをチラチラ見てきた(ように見えた)のである。

 僕は基本的には外を見ていたが、その彼女のチラチラが気になり、時々彼女に視点を合わせると、向こうもこっちを見ているので視線が合い、かなりドキドキした。が、気持ちいいものであったので、もしかしたら彼女もそう思っているのではないか?と妄想し始めた。彼女が僕を見る為には、首をワザワザ僕に向ける必要がある為、それをしているということは、僕に気があるのでは?とさえ思い始めていた。

 その内、僕の隣に、赤ん坊を連れた女性がいて、その赤ん坊を何やらあやしつけている光景があり、そちらを眺めていたようであったが、それを見つつも時々僕のほうをチラチラ見ていた(ように見えた)のである。
 やがて、赤ん坊にスマイルを送るような仕草を見せた後、赤ん坊が口をパクパクするのに自分も同調し、「ンパ・ンパ」と口を何か歌でも歌っているかのようにパクパクしだした。

 若い女性(それもカワイイ子)が、口を金魚のようにパクパクする様は、これが結構エロいものがある。
 おじさんの(僕のこと)興奮度合は、かなり高まってきた。
 彼女はその場には連れ合いもいず一人だったが、こうした動作は、リラックスしている上に、僕に何かをアピールしているのでは無いか?とさえ思えてきた。赤ん坊に興味を示すヒューマンな自分を見て!と言っているかのようにも思えた。僕も、君の金魚のようなエロティックな唇に興味を示す自分を見て!と叫びたくなった。

 しかし、この幸せは次の駅で、僕も彼女も降りてしまったので、はかなく真夏の夜の夢のごとく終わってしまった。

 こうした場合は「僕の顔になんかついてます?」かなんか言って声をかけるべきだったか、未だに思い悩んでいる。このケースはもしかして本当にモテテいて、一生に一度あるか無いかのケースだったのでは無いかという気もしないでも無い。

 この程度でモテたと思っている僕は、幸せなのだろうか。
 以上が今夏唯一モテタ成果であった。
 

「2000.8.30(水)」・一緒に

 よく自分勝手な人、自分本位の人を称して「自分中心に世界が回っていると思ってる」などという場合がある。
 確かに自分勝手は良くないのは明らかである。
 しかし「自分中心に世界が回っている」という言い回しには、全部が全部捨て切ってはいけないものも隠されていると私は考えている。

 それは・・・

 自分が自分らしい生き方に目覚め、そうしようと立ち上がる。
 するとそれに賛同・後押ししてくれる人が現れる。
 そしてそうした人達にも、それぞれ賛同・後押ししている人や、その人取りまきの人達がついている。
 そうして更にその後ろにも、後ろにも・・・。

 世界というのは、結局人のパワーの集まりである。
 このようにして一人が立ち上がると、その人を先頭にして、徐々に世界がゆっくりとその人を後押ししてくれるかのように回り始めるのである。
 先頭の人の意図するしないに関らず、その周辺に人がくっついてくるのである。
 自分一人だと思っていた流れに沢山の人が、ちょっと言葉は悪いが金魚のフンのようにつながって回りだすのである。時にはそのフンは、先頭の人が思いも寄らなかった程長くなって、万里の長城みたいに途方も無く長くなっちゃってる場合だってあり得るのである。

 私は自分らしい生き方をすれば、必ず少しは賛同が得られるものだと思っている。
 最初は反対があっても、賛同が少しでもあれば、それは一緒に回り始めてくれるものだと思っている。

 だから「自分中心に世界が回っている」という言い方も、あながち悪いことばかりでも無い。

 しかしそれにしても、やっぱり語弊はある。
 だからこう考えればいいと思う。

 「世界は自分と一緒に回っている」と・・・。

 ・・・なんか宗教団体の説教じみてきてしまいましたな。
 ま、最近私が、結構念頭に置いてはいる考え方であることは、確かであります。

「2000.8.29(火)」・足の紋様

 空いている電車でたまに座れたりした時、対面に女性が座る場合もある。
 スカートなど足が見える服装の女性の場合には、ついそのおみ足に注目してしまう場合もある。
 それで、ふと気づいたのだが、大抵そのおみ足には「虫食い跡」があることを発見した。
 これは必ず見つかる。その日は十人中十人が、という勢いで見つかった。
 「虫食い跡」の無い女性を教えてほしいくらいのものである。

 そこで僕は自分の足も見てみる。
 ありました。膝の少し下方部分に跡が・・・

 このように「虫食い跡」が人の足に必ず付着しているもんなら、もっと市民権を与えてやっては、いかがなもんか?とも思う。呼称も「虫食い跡」では無く、何か「プチ〜」みたいなフランス語チックな洒落た名前でも与えてやってもいいのでは無いかとも思う。
 同じように人体に付着している「シミ」「ソバカス」「体脂肪」「無駄毛」等は、テレビで特集まで組まれていたりする時すらある。

 「虫食い跡」だって人体の装飾を語る時に、無視してはいけないものなのである。
 人はもっと「虫食い跡」について、語り、熱弁を振るい、己の人生をかけて賛美する・・・ようなものでもないか・・・。

 それにしても、これだけ誰にでもあるものなのに、今一話題にならない「虫食い跡」に、僕は今後も注目していきたい。
 但し女性のもののみね。
 ん?イヤラシイ?だからモテナイってか?。

「2000.8.28(月)」・アメダス

 天気予報で「アメダス」という言葉を耳にされた方も多かろうと思う。
アメダスは全国の観測所で降水量を観測するシステムだそうであるが、なぜアメダスという名称なのかご存じだろうか。
 雨の観測だから「雨です」が、「雨だす」・・・「アメダス」と、いなかっぺ大将の風大左衛門の訛りチック(ちと古すぎますか)に変化したと思われている方も多かろう。しかしそれなら何もアメダスでなくても「アメデス」でも良かったはずである。

 アメダスは地域気象観測システムのことで、正式名称は

 Automated(自動化された)
 Meteorological(気象の)
 Data(データ)
 Acquisition(取得)
 System(機構)

 これらの頭文字をとって「アメダスAMeDAS」なのである。

 それにしてもこれが偶然「アメ」=「雨」という文字が入っていて良かった。
 これなら我々にとってなんの違和感も無く、天気予報を聞いているものに不安を与えることもなかろう。

 これが例えば「トメToMe」だとか「クマKuMa」だとか「トラToRa」などという文字になっていたら、困ったことになっていた。
 天気予報から「では、今日の降水量を、クマダスのデータで見てみましょう・・・」などと聞こえてこようものなら、「ナヌ?!、クマダス?、何者じゃ?、ソリャー!」と、いちいち御飯を食べていた箸を降ろし、テレビに注意を向けざるをえなかったであろう・・・

 しかし、書いていて僕は気づいた・・・
 じゃあ、注意を向けさせる「クマダス」の方が、情報発信者から見れば、気づいてもらえて良いのではないかと・・・

 じゃあそれでアメダスをクマダスに変更しよう・・・、などということが絶対無いことは言うまでもない。

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