Monologue2002-11 (2002.3.6〜2002.3.10)
「2002.3.10(日)」晴・MDLP

 先々週の休日奇妙な音で目が覚めた。
 何か機械のブーンという唸り声のような音だった。
 また水道工事だろう、こんな朝から冗談じゃねえ、と布団をひっかぶって再度眠りの世界への突入を試みようとした。
 ところがどうもその音が、かなり至近距離で鳴っているらしい、ということが次第に判明してきた。
 至近距離も至近距離、いわゆる「枕元」というやつで、断続的にその音は鳴っていた。

 慌てて飛び起き、辺りを確認し、改めて異変に気がついた。
 なんと枕元のCDラジカセのランプというランプが全てついているではないか!。
 通常このような電化製品のランプというのは使用中の機能に関連したものしか点滅しない。
 ところがラジカセは今まで見たこともないような鬼気迫る様相で、ありとあらゆる自らの点滅可能部分をランランと光らせていた。
 まさにその形相たるや、怒り狂った鬼神、不動明王、阿修羅、などといった神仏の怒れる姿すらも彷彿させるものがあった。

 あな恐ろしや!
 僕は神々の怒りを鎮めんと慌ててラジカセのパワーオフを試みる。
 ところが、である。
 スイッチをいくら切っても切ってもこれが消えないのである。
 スイッチを切って、あ、消えたな、などと安心していると、しばらくしてからプオーンなどと、切なげな列車の警笛のような音を発し再び全ランプを点滅させ給うのである。
 何か、こんなようなのに似たシーンを昔怪奇映画で見たような気がした。

 祟りじゃ、祟りにちげえねえ、こりゃ早いとこ電源コードから抜いてしまおうと、急いでコードに手をかけようとした次の刹那、戦慄した。
 延長コードのタップに挿してあったラジカセのコードの周辺が、ブーンと唸り声を上げていたのである。
 一瞬「漏電」の二文字が脳裡をよぎった。
 まさか、スイッチ切っても消えないのは漏電してしまってるからなのか?・・・。
 僕の脳裡に、かつてアパートに落雷した時に、切っていたはずのビデオのスイッチが全点灯した時の、異常な恐怖の光景が蘇って来た。
 続いて家族の顔が浮かんできた。ああ、オレは結局独身のまま終わって行くのか・・・、神よ、地球とはやはり空しく寂しい星でしたね、僕の人生とは一体何の為の人生だったんでしょう・・・などと、自らの終焉の時まで想像を逞しくしていると、ふとコードの差し込み口の近くにヘッドフォンが転がっているのが見えた。
 それはウォークマン用の小さいもので、就寝時の音楽試聴用にラジカセに接続し使用していたものであった。

 どうやら「ブーン」の主は、このヘッドフォンのようであった。
 ラジカセ自体が異常な音を発しており、それがヘッドフォンを通じて鳴っており、音が大きくなった時に、ヘッドフォンが振動していたのである。

 ラジカセ大明神は、相変わらずお怒りの状態を続けておられ、お怒りはランプの全点灯のみではおさまらず、今度はガッチャン!などと物々しい音を立てて、カセットの自動駆動すらお始めになった。

 漏電の可能性はとりあえず減ったので、意を決してコンセントを抜いてみることにした。
 プッツ、という音を立ててラジカセ大明神はお怒りをようやくのことでお鎮めになった。
 脱力・・・。まさに軽い祈祷師、陰陽師、風の谷のナウシカ、もののけ姫、それから、えーと、まいいや、兎に角、怨霊を鎮めたかのような心地であった。

 結局これで我がラジカセは壊れてしまった。
 前夜CDを聴きながら寝てしまい、スイッチを付けっぱなしにしておいたのがいけなかったようだ。
 おそらく10年以上使ってきて、もうそろそろ寿命だったのだろう。

   *   *   *

 さて・・・前置きが非常に長くなってしまった。
 上記のようなことがあり、新しくMDラジカセを購入した。これでようやく僕のMD環境もMDLP対応になった。
 早速4倍モードで録音をしてみる。
 これが異常に長い。74×4だから296分、約5時間である。長いことは確かにいいことだが、録音で半日かかるというのは、よっぽど時間に余裕がある時でないとできそうもない。
 当初5枚録音予定のMDがあり、1枚だけ4倍でとり、2枚めは通常モード、結局他は挫折、という結末にあいなった。
 貧乏人がいきなり大金を手にすると、使い方がわからず持て余したりする、などと聞くが、僕のMDLPが今まさにそういう状況になってしまった。
 ま、また時間に余裕のある時ができたら、ゆっくり録音するしかねえな・・・。

「2002.3.8(金)」晴・64才になったら

 インターネットでニュースを見ていたら芸能欄に「ポール離婚していた」とあった。
 えっ!ポール(マッカートニー)、この間結婚したのに、もう離婚したの!、何か女性運悪いんかね・・・、などと思って、もう一度記事を良く見たら「ポール離婚していた」であった。
 こちらがボケていた。やはり仕事のせいだろうな・・・。

 ところで僕の記憶に間違いなければポール(元ビートルズのマッカートニーの方)は今年還暦のはずである。
 それから更に4年経てば、ポール自身が”サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド”というアルバムの中で歌っていた”64才(When I'm SixtyFour)”になるはずだ。
 ポールは64才になったら、この曲を聴くのだろうか?。どんな想いで聴くのだろうか?。
 当時から比べれば、僕等には図り知れない、勿論本人も想像もつかなかったような意味合いが付加されたこのビートルズの曲は、一体どんな風に聞えるのだろうか?。
 ジョンとジョージがこの曲にサラッと入れたバックコーラスを聴きながら、僕はふと、そんな想いを巡らせてみたりする。おそらく4年なんて、すぐだろうな・・・。

「2002.3.7(木)」晴・勉強の日々

 今日は(今日も?)10時近くまで残業をした。
 いつもはこの時間くらいまでやると、鬱々悶々で帰ってくるのであるが、今日は比較的エネルギーも安定し、普段の気丈夫な自分で帰ることができた。
 仕事の見通しがついたというのもある。それ以上に今日は職場の雰囲気が穏やかであった。
 というのも、僕の派遣されている、仮にC社としよう、そのC社を雇い入れているB社があり(ちなみにB社もC社もA社に出向しているという、ややこしい状況)、そこのB社の一部の連中がいなかったのである。
 ハッキリ口には出さないが、C社の人達は心なしかノビノビやっていたようである。
 それで今日は僕にもトバッチリがこなくて済んだようである。
 これで雰囲気を重くしているのが、どの辺りなのか、だんだんわかってきたぞな、もし。
 とりあえず、ここは4月までいる予定で、それまで僕は何を学ぶ為に、ここにやってきたのか、少しづつ明らかにしていきたい。

 ともあれ、そんなわけで、今日は帰りにモー娘。のシールを手に入れる為に、ポッキーを買うという、いつもの僕らしい余裕も戻って来た。

 帰ってからビデオに撮ったフジの「恋のチカラ」を見、矢田亜希子扮する春菜ちゃんが、堤真一扮する貫井功太郎に向かって「アタシ、貫井さんの何なんですか?」のデジャヴ的セリフ(「やまとなでしこ」参照)に、思わず食べていた御飯をプッと吹き出してしまう、という余裕も戻って来た。

 嵐の日は抵抗せずに、軒下で雨宿りをしたり、家で静かに待つのが良い、ということだろうか。

「2002.3.6(水)」曇・ラテ欄など

 なるほど・・・、鏑木”かぶらぎ”か・・・。

 今日の新聞のラテ欄を見たらテレビ東京の夜のサスペンスドラマのタイトルが「”大和殺人事件”飛鳥の古池に浮かんだ2つの水死体!絵馬に残された謎の言葉”あを見つらむか”とは?事件の始まりは阪神大震災運命の出会い」・・・ふうっ・・・、という非常に長いものだった。2時間分の枠をぶち抜いていた。

 かと思うとローカル局のように「杉本ゴルフ」「ジョー2」「買物」など、実に凝縮され、ほとんど何を言わんとしているかのわかる限界まで切り詰められた(切り詰めさせられてしまった)ものもある。

 半村良氏が亡くなったそうだ。僕は氏の「太陽の世界」という作品を途中まで読んでいて、しばらく挫折しており、いつか再び読もう読もうと思ってる内に、10年以上経ってしまった。
 そんなこんなの内に、今度は原作者が亡くなってしまい、50巻の予定が結局18巻で絶筆になってしまったそうだ。
 どうもスッキリしないものが残ってしまったもんである。

back to ●Monologue Index
back to●others
back to the top