******************************************************************************************************                        旧有明貯木場埋立事業免許申請の不認可を求める要請書  東京部はすでに財政的にも破綻が指摘されている「臨海副都心開発計画を着実に推進する」と 言い、江東区有明北地区の旧有明貯木場の埋立事業を地元住民や自然保護団体、釣り愛好家、釣 り船・遊漁船事業者など、埋め立ての中止.計画の見直しを求めている都民の疑いを軽視し、な んらの話し合いもないままに強行する姿勢をとっています。  埋立事業計画はパプル経済期に計画されたもので、現況にそぐわないものとして地元住民、都 民の側からは「計画の見直し」が強く求められているものです。  このたび、二月二十四日付で都知事より運輸大臣に対し埋立事業免許の認可申請が提出された ことはとても残念です。  旧有明貯木場は東京湾に残された唯一の浅場であり、マハゼをはじめ多くの魚介類が生息し、 野烏の棲息も確認されており、この水域は釣りを楽しむ人々の間では「十六万坪」の名称で親し まれている場所です。  東京都は埋め立てたのちに九千戸の住宅を建てると説明していますが、一方では今後は都営住 宅を含め公的住宅の建築は行わないことを決め、埋立事業の目的との矛盾を強めています。臨海 部には、住宅用地として利用できる多くの土地があり、景観と自然を破壊してまであらたな埋め 立てをする必要はないと考えます。  また、臨海部への交通アクセス拡大を理由に、既存の幹線道路の拡幅と有明北への延伸、新た な道路建設、高速晴海線など四本の道路建設計画で計二十車線の通過が予定されており、いまで も改善が求められている交通騒音.大気汚染の拡大が心配され、人も魚も住めない場所になって しまいます。 臨海広域幹線道路建設にはその必要性の有無と環境問題から多くの問題が指摘さ れていますが、「十六万坪」を計画通りに埋めなけれぱできないというものではありません。道 路の橋脚部分として必要な範囲に縮小すれば埋め立ては5ヘクタール程度ですむといわれていま す。  ハゼ釣りをはじめ、釣りは子供からお年寄りまでが楽しめる庶民のレジャーであり文化です。 旧有明貯木場周辺の水域にはマハゼの産卵孔が多く存在していると考えられ、「十六万坪」は東 京湾に残された唯一の浅場です。自然の形で今後も存続させてください。  運輸大臣においては私たちの意とするところをお酌みとり頂き、埋立事業免許申請を認可しな いよう強くお願いするとともにし、慎重に対処されますよう要請いたします。    二〇〇〇年  三月二十一日                     江戸前の海十六万坪を守る会                             会長   安田 進                     東京都江東区東砂   6-17-13    運輸大臣      二階俊博 殿 ************************************************************************************************