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赤わいん

 《今回のテーマは「おばさんのたわごと」...じゃなかった‘BITTER SWEET(?)29ブルース’です》


 高校1年の時同じクラスで、それ以来ずっとつき合いがある仲間4人でたまに近況報告も兼ねて会っています。この前みんなで会った時の話をもとに、今回は書いてみました。以下、簡単にプロフィール。

ゆう・T旅行会社で添乗員、だんなさんは私鉄T鉄道勤務。2年前に添乗員の仕事を辞めてから去年の秋に男の子(名前はなんと私の本名と同じ!)を出産。
あき・H製作所に総合職として現在も勤務。休みともなるとテニス三昧。
みか・千葉県立の高校教師。昨年末に、2年前に職場で一緒だった先生と結婚したばかり。
(そして私。みなさんいずれも仮名です)

 この1月に会ったときのこと。
 だいたい2〜3ヶ月に一度、土曜の午後にゆうの家に集まって、皆でメニューを考え(メニューといっても鍋物や鉄板焼きなど、たくさん食べられて片づけがラクなもの)、スーパーで材料を買ってみんなで作って、というパターンなのだが、今回はゆうのだんなであるM君がお休みなので彼がお鍋をしきってくれるという。彼のお言葉に甘えて、赤ちゃんを交互に抱っこしながら4人で盛り上がる。あきと私の職場の話、TVドラマの話、みかの結婚式の話...
「新しい生活慣れた?」
「何とかねぇー。でも部活指導や期末テスト、進路のことやらでお互いハマってるぅー!!あっちは(←彼女のだんなさんのこと)そこそこ進学校だから、それなりの進路指導ができるけど、こっちはほとんどのコが就職だしね」
「でも高校生の就職って大変なんじゃない?大学や短大・専門校卒でもまだまだきびしいみたいだし」
「うん、ほとんどない。それでなくても不景気だから、けっこう指導する身にとっちゃあしんどい。でも結局生徒の自主性にまかせるから、親類のつてをあたったりとか、フリーターになったり、っていうのが大多数だよね」
「そういえばみかの披露宴の時にお互いが持ってるクラスの生徒たちが来ていてかわいかったね。女のコはやっぱりルーズソックスだった!」
「何だかさぁー、彼女たちって露出しているところが気になるらしいよ」
「へっ?」
「腰の所で2〜3回折って『ミニスカ』にして、でもそうすると露出面積(?)が増えるでしょ。そうなると見えてる所はやっぱり隠したいんだって。中学高校の頃って成長過程だから足が太いじゃない?だからルーズにのばすっていう、そういう感覚らしいよ」
「あたし達が入学した頃って逆に先輩達がスカート長くしてたよね。この前、短いソックスをはいたフツーの子を見たけど、何だか新鮮でかわいかったなぁ」
「そーだね。今時のコ達ってルーズソックスはいて、髪形はアムロちゃんみたいなストレートでさぁ。プリクラにならんでたりしてね」
ここでプリクラの話。経験者はゆうだけだった。「赤ちゃんが生まれた記念に親子3人でとったんだ。でもその時だけ。誰も並んでなかったから今だ!ってね」
“女子高生”の話はつきない。ポケベル、PHS(ピッチというんですね。初めて知った私はやっぱりオバさん?)、たまごっち...今時の流行の最先端は彼女たちがつくりだしていていまや社会現象、なのだ。
以下、みかの『今時のコ達っていったい...!』と いう話が続く。
「この冬休みに学校主催で毎年恒例の2泊3日のスキー教室があったんだけど、女のコはだいたいまゆ毛そっちゃって普段はメイクの時まゆを“描いて”いるでしょ。メイク落とすとちょっとコワイんだよー」
(一同想像してうーん、たしかにコワイの声。)
「普段あたしにいろいろたわいのないことを話しかけてくれるコ達はかわいいんだけどね。
 話?まぁ、あたしが最近結婚したからその話とか。冷やかすとか、そんな生やさしいモンじゃない。生活のこととか、より具体的なんだよね。彼女たちは高校卒業したらすぐに彼と一緒になりたいとか、もしくは就職かっていう選択肢になるからかな。
でさぁ、スキー教室の時、ふつうお風呂の時間って男のコも女のコもみんな和気あいあいで入るじゃない?いわゆるはだかのつき合い、っていう連帯感も生まれるモンでしょ。
 でもなんかねぇ、屈折してるの。女の子はみんなバスタオル巻いて湯船に入ってやけに隠しまくるんだよね」
「ん?ってことはそのためにわざわざバスタオル持ってくるの?なんだかTV番組でやってる温泉特集のレポーターみたい」
「そう!信じられないでしょ!そのくせ人のカラダには興味津々で『○○ちゃんのカラダは〜〜で』ってチェックしてグループでヒソヒソ言ってるの。
イジメってこういうところから派生するんだなーって思った。屈折してるよね。自分のカラダはひた隠しにするくせに、自分と他の子比べてあーでもないこーでもないって言ってる」
「今ってエステ全盛だもんね」
「そうそう。『ナオミよ』なんてね」
 確かに今どきの女性雑誌はその手の広告であふれている。痩身・脱毛他なんでもあり。
「で、なにが驚いたかってさぁー!」
「なになにまだあるの!?」
「男のコは下着つけたまま入るの!」
一同「ぎょえー!!」(絶叫)
「なんでぇぇーーーっ!?」
「さぁ...恥ずかしいんじゃないかなあ。最近の年頃の男のコの心理は教師やってても解せないよホントに。屈折の極みだよね。男性の先生が『ちゃんと入っているかぁー?』って見回りにきたら、そーいう光景だったんで、びっくりして『こらぁー!何しとんじゃあ!!』って怒ったらしい」
「それは衛生的に問題アリ、だよぉ...(一同絶句)」
「そういえば最近、こぎれいな男のコが増えたよね。いわゆる体育会系の男のコってのはあまり見かけなくなった。いるんだろうけど」
「ナリをひそめているとか?」
「なんだかよくわからないよなー今ドキのやつらって」
 ここで下ごしらえの完了したお鍋をかかえてゆうのだんなM君登場。彼はどちらかといえば硬派なスポーツマンタイプだが、テディベアのエプロンと花柄のなべづかみ(←もちろんゆうの、です)をした姿のミスマッチ感がなんともいえずイケて(?)いる。
「“見た目”にばっか価値を置いてるんだよな」
〈→ここで我々は石狩風お鍋をつつくことに専念したので、いったんトークは終了〉

 M君の言葉通り、今ドキのコ達って、流行に敏感で関心こそするけれど、何だかよくわからなくなってきたなぁと思うことがちょっとばかり増えてきたように思う。(もう私もオバサン?)
 ポケベルで数行のメッセージを入れ合うことで、PHSで連絡を取り合うことで保たれるつながり。それだけで得られる安心感。そしてダイエットやエステに励むことで、きれいにスリムに清潔に、そして保たれる優越感。
 決してそれは悪いことじゃ、ない。だけどそういうことばかりに価値を見いだして、もっと他に見たり考えたりすることがあるんじゃないの?と、ン年前に19歳だった私は思うのです。恥ずかしいこと・つらくてしんどいことはもちろん避けて通れない。でも何か、恥ずかしいと感じることは良くない・ヤなことは避けたい・できれば楽なほうへ...と流れていってる気がする。
 おまけに自分たちとちょっとでも違うと、同じ感覚同士でつるんで、排他的になって結局それがいじめになっていくんじゃないかなーと。
 ‘みか先生’が体験したスキー教室のお風呂の話、もしかしたらごく一部の今ドキのコ達がそういう風で、全部が全部そうじゃないのかもしれない。それにしても「恥ずかしい」という感覚は、自分の世代の感覚とはかなりギャップがあるなぁーと思ったのでした。

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