オーバーラップ解析に関するTips


オーバーラップに関して定義が出てきましたので、補足として図で説明してみます。
まず図の説明ですが。
横軸は時間とであり、矢印上に時系列データ(WAV等の音声データ)があると見てください。一回の解析は解析間隔で設定した幅(c)で計算されます。
図1にはオーバーラップしていない場合のFFTが計算される様子を表しています。一回目の解析データと二回目の解析データはまったく重なっていません(ラップしていません)。
図2ではオーバーラップした場合です。一回目の解析データと二回目の解析データが重なっています。重なり分はbです。この場合は ラップ率=b/cX100(%) となります。
この違いにより、時間当たりの解析回数はオーバーラップを設定した場合には大きくなります。
たとえば、解析間隔 1秒の場合、オーバーラップしない場合には10秒間では10/1=10回解析します。同じ条件でオーバーラップ率90%の場合には1+(10-1)/(1-0.9)=91回解析します。
したがってほぼ9倍解析回数が多くなるため、解析の応答性がいい、あるいは短時間で終わる解析にむくということなります。



解析例


図3

オーバーラップ解析を用いると短時間に終わっていまう現象を把握しやすくなります。たとえば図3には窓倍率を1にした例です。
そのグラフ上では、大きな入力で様々な周波数がでているのが、解析一列のみで他の列ではほとんど出てきていないことが分かると思います。
これはオーバーラップ率0であり、一回の解析と次の解析はラップしていないことからこういう結果となっています。
したがってたとえば、この解析の切れ目に現象が発生している場合には、窓関数などの影響も含めてほとんどグラフに表示されません。
また、そんなに極端でなくても、たまたま解析の真ん中のタイミングで現象が発生したという場合を除けば特徴が小さく現れることになります。


図4

次にオーバーラップ率を10にした図4を見てください
ソノグラフの表示している時間の刻みが細かくなっているので、特徴がつかみやすくなっていることがわかるでしょうか?
この状態でさらに解析間隔を長くして、周波数分解能を上げてさらに窓倍率を大きくすればさらに細かく現象を追いやすくなります