オカメインコの入手
- オカメインコをどうやって選ぶか? -

 オカメインコを入手しようとするとき、まず考えなくてはならないのが、果たして自分あるいは自分の環境にオカメインコが相応しいのかどうかです。衝動的に飼っては、ひょっとすると、飼育していくのがだんだんと辛くなってくるかも知れません。まずは、ペットショップなどに、あるいは、実際に飼っている人の家にお邪魔して、オカメインコに接してみて下さい。文鳥やセキセイインコなど他の鳥、あるいは、犬や猫など他の動物と比べてみて、自分に相応しいのはオカメインコでしょうか。
 オカメインコは、鳴き声はうるさくありませんが、その声は、嫌いな人にはうるさく感じるかも知れません。周りの人、特に家族の中に、鳥の声を嫌う人はいないでしょうか。オカメインコは甘えん坊で、信頼した人に一日中甘えていたいので、しょっちゅう「ひゅーいひゅーい」と飼い主のことを呼びます。
 オカメインコにどれぐらいの時間を掛けることが出来るでしょうか。犬や猫よりも飼い主の負担が大きいというわけではありませんが、小さくもありません。1日のうち最低1時間、オカメインコのために割くことが必要です。

 
どの時期の鳥を選ぶべきか

 オカメインコを飼うことが決まったなら、次に考えなければならないのは、どのようなオカメインコを飼うかです。いろんな品種がいますが、そのことは、あまり重要なことではありません。そのことよりも、どの時期の鳥を選ぶかは、非常に重要なことです。表にしてみますので、参考にしてみて下さい。

番号生後時期特徴長所短所
2週間未満羽毛が未だまばらで、体重は45g未満(成鳥の半分以下)この時期のヒナから育てて、長所があったとしても短所が大きすぎる温度管理が非常に難しい
死亡率が非常に高い
2・3週間以上40日頃まで羽毛はある程度生え揃っているが、未だ動きがぎこちないこの時期から育てると手乗りにしやすい温度管理の必要がある
死亡率が高い
2ヶ月前後まで外見は成鳥と変わらないが、未だ自分では食べられないこの時期から育てると手乗りにしやすい自分でなかなか食べてくれない
2ヶ月以上で換羽が未だ自分で食べられるし、外見も成鳥と変わらない差し餌の必要がない
死亡率が低い
手乗りにならない場合がありうる
換羽を済ませたもの完全な成鳥である差し餌の必要がない
死亡率が低い
外見からオスメス判別できる
手乗りにならない場合がありうる
年がわからない

 表のおおざっぱな説明をすると、上にいくほど危険が高いけど、手乗りにしやすく、下にいくほど危険は少ないけど、手乗りにならない可能性が出てきます。
 それでは、1から5の時期それぞれについて見ていきます。

 1と2の時期が野鳥で言えば、巣の中にいるヒナに当たります。オカメインコは手乗りにするのが普通なので、2週目から3週目に巣箱から取り出して、人間が餌をやります(これを「差し餌(hand-feeding)」という)。2週目までのヒナは、羽毛が未だまばらで、30度近い温度が必要になるので、この時期までは巣箱から取り出すべきではありません。この1の時期のヒナは、ペットショップに置いてあることはありえません。次の2の時期が手乗りのオカメに育てるのに最適な時期です。ただし、未だ25度ぐらいの保温が必要です。また、この時期のヒナを手に入れる方は、入手先に気を付けて下さい。1羽でも健康状態の怪しいヒナが混じっていたら、その店で入手するのは、控えた方が無難です。また、ペットショップで既に抗生物質を連用されている場合もあり、連れて帰ってきた途端に、そのリバンウンドが出る場合もあるようです。抗生物質を「健康なヒナ」に使えば、腸内細菌が死滅して、栄養の競合がなくなるので、早く太って、健康な個体が得られるのですが、抗生物質を中止した途端にそのリバウンドで、真菌などが異常繁殖する可能性があります(それを抑える腸内細菌が居ないため。普通は生後1・2週間で腸内細菌が安定に達する)。入手後間もなく真菌症に犯されるオカメインコが意外と多いのは、この抗生物質の影響ではないかと私は想像しています。
 2の時期のヒナを入手して、無事に成鳥に育ってくれる割合は、恐らく50%未満です。

 3の時期は、野鳥で言えば、「巣立ちビナ(fledgling)」と呼ばれている時期です。野鳥では、巣立った後も、2週間ぐらいは(場合によってはそれ以上)親から餌をもらいます。この時期の鳥でペットショップに置かれているものは、2の時期からペットショップで差し餌をされているものです。手乗りにならない心配はまずありません。差し餌が未だ必要ですが、温度管理は2の時期のものより難しくはありません。ただし、丁度差し餌から一人餌(自分で餌をついばんで食べること)への変わり目のため、なかなか一人餌に移ってくれない鳥もいるようです。その点には十分な注意が必要です。

 4の時期は、もう一人餌できる鳥のことで、もはやヒナではありません。ただし、成熟もしていません(ロウ膜がピンク、爪がピンク、どことなく幼い雰囲気、などが残っている)。「若鳥(immature または juvenile)」と呼んでいます。この時期の鳥は、差し餌の必要もないし、温度の適応範囲も広くなっているので、飼育者の負担はかなり低いです。この時期の鳥がペットショップにならんでいるとしたら、ペットショップで差し餌されていて、そのまま店に残ったものだと思われます。差し餌されているので手乗りになるはずですが、その後の一人餌のときに鳥同志で過ごしたり、人間に遊んでもらっていないので、手乗りにならなかったり、手乗りの度合いが低くなったりする可能性があります。この時期の手乗りの鳥が欲しいなら、辛抱強くペットショップを回ってみましょう。他の時期の鳥より少し高価になるかもしれませんが、ペットショップでこの時期まで(一人餌できるまで)育ててくれるかも知れません。未だ鳥を飼ったことのない人が、最初にオカメインコを手に入れる場合、私はこの時期の鳥を最もお勧めします。ただし、あなたが気に入ったペットショップなどにお願いして、完全に手乗りになっているこの時期の鳥が出るのを辛抱強く待って下さい。妥協はしないことです。

 5の時期の鳥は、手乗りになる可能性は低いので、手乗りとして売られていないならば、手乗りになる期待はあまり持たない方が良いでしょう。この時期の鳥は、ペットショップでそのまま育ったものと、繁殖場などで成鳥になったものとに分かれます。後者の場合は、人間ではなく鳥に育てられたものが殆どのはずですので、手乗りになる可能性はまずないでしょう。ただし、オカメインコは人間にある程度慣れてくれるようなので、手乗りにならなくても楽しみは大きいです。この時期の鳥を入手する魅力は、オスメスを外見から判断できることです。繁殖を考えられている人には、これは大きな利点です。
 ただし、この時期の鳥は、年齢が分からない鳥も多いので、その点は気を付けるべきです。

 

鳥を迎えるとき

 オカメインコを入手するときには、是非、それまでやっていた餌とやり方を聞いておいて下さい。しばらくはそのやり方で同じものをやっていけば良いでしょう。また、鳥を見てくれる獣医さんも必ず紹介してもらっておいて下さい。
 オカメインコの入手が決まったら、設置場所を検討しましょう。手乗りのオカメインコの場合は、人間の姿を見て安心するので、人間が活動する明るい場所、例えば、居間などが最適だと思います。オカメインコは、このサイズの鳥としてはパウダー(粉)が多いです。寝室に置くのは、人間の健康のためには、あまりお勧めできません。また、台所には絶対に置くべきではありません。台所は鳥の危険物で一杯です(健康の項目で詳述します)。
 オカメインコを引き取る前に、出来ればカゴを設置しておきましょう。カゴは丈夫か、塗装やハンダの有無を検査しましょう。妙な塗装があったり、鉛に含む部品(例えば、ハンダ)があったりしたら、残念ですが、そのカゴは諦めましょう。
 既に鳥を飼っている場合は、最低2週間ぐらいは、新入りの鳥を隔離しておきます。検疫ですね。鳥が落ち着いたら、なるべく早く獣医さんの元へ行って、健康診断をしてもらってください。特にソノウ(食道の途中にある餌をためておく袋)の検査と糞の顕微鏡検査は、最低限行っておきたい項目です。


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