オカメインコについて


左がオス、右がメス。
カランビン野鳥園で。

このページでは、オカメインコ(野生のオカメインコ)の基礎的な知識を追求したいと思います。以下の目次から興味のあるところを拾い読みして下さい。

  •  原種 - オカメインコってどこ出身? -
  •  生息気候 - オカメインコが気持ち良い気候は? -
  •  雌雄判別 - オカメインコのオスメスの違いは? -
  •  食餌 - オカメインコは何を食べているの? -
  •  生活・繁殖 - オカメインコの暮らしぶりは? -

    原種 - オカメインコってどこ出身? - ページ先頭へ

     オカメインコは、オーストラリア出身のインコです。全長32cm、100g程の灰色の鳥です。バタン類(キバタンなど)のように冠羽があるので、インコというより小さなオウムという印象があります。英名のCOCKATIELというのも、バタン類のCOCKATOOと同じく、冠羽に由来しています。ニワトリのオス(COCK)の鶏冠に見立てた表現のようです。
     オーストラリア原産のオウム・インコ類といえば、セキセイインコ、モモイロインコキバタンゴシキセイガイインコなどがいますが、内陸部(アウトバック outback と呼んでいる地域)に分布するグループと海岸部に分布するグループにおよそ分けられるようです。オカメインコ、セキセイインコ、モモイロインコは、前者のグループで、ほぼ同じ分布域を持っています。海岸部の湿潤な気候を好まないためのようです。それに対して、キバタンやゴシキセイガイインコは、東海岸を中心にした、オカメやセキセイのいない地域に分布しており、丁度住み分けている関係にあります。

     

    生息気候 - オカメインコが気持ち良い気候は? - ページ先頭へ

     分布域を見ても分かるように、湿潤な気候は好まないと思われます。乾燥地帯のオアシスや河川沿いに生息しているようです。参考として、分布域の内、恐らく標準的な気候と思われるポート・ヘッドランドの気候、恐らく最も暑い気候と思われるダービーの気候、恐らく最も涼しい気候と思われるレオノーラの気候を挙げておきます。  野生のオカメインコの繁殖期はおよそ8月から12月と言われています。その期間の気候がオカメには丁度心地よい気候なのではないでしょうか。先ほどの表から、その部分を取り出してみますと、

    最高最低最高最低
    単純平均値
    8月 12月8月 12月8月 12月
    PORT HEDLAND28.6-36.712.9-23.820.8 30.3
    DERBY32.2-36.715.7-26.324.0 31.5
    LEONORA20.3-35.57.0-20.213.5 28.9

     上記の表は、オカメインコの快適気温を探る上の参考に出来ると思います。

     思い切ってハッタリをかまして、「湿度は60%未満、気温は20度から28度が快適」と言っておきましょう。

     

    雌雄判別 - オカメインコのオスメスの違いは? - ページ先頭へ

     オカメインコは、雌雄違う羽色をしています。このような性質を雌雄二形性 dimorphic と呼んでいます。どのように違うのかを説明する前に、上の写真をもう1度見てみてください。一目瞭然ですね。一応外見の違いをにまとめておきます。ただし、第1回目の成長換羽(羽が生え揃ってから次の羽の生え替わりのこと、大体6ヶ月から1年ぐらい)までは、オスメスの違いは分かりません(オスもこの時までは、メスのような羽色)。

     

    食餌 - オカメインコは何を食べているの? - ページ先頭へ

     草の種や実、果実などを食べているようです。普通は地面に降りて、のこのこと草の種をついばんでいるんでしょうね。オカメインコの灰色は、オーストラリアの乾燥地帯の土を背景にしたときに、保護色となるようです。
     特に好むのがアカシア Acacia の種のようです。私がオーストラリアに行ったときにも、あちこちでアカシアを見ました。私が訪れたのは、オカメインコの居ない地域だったのですが、ゴシキセイガイインコが頻りにアカシアの種を食べていました。ゴシキセイガイインコはもっぱら樹上で食べていましたが、オカメインコの場合は、地上に落ちたものを食べることも多いようです。

     

    生活・繁殖 - オカメインコの暮らしぶりは? - ページ先頭へ

     既に書きましたが、オカメインコはオーストラリア内陸部で暮らしています。大集団を作っていることもあるようですが、普段はペアか小集団で草地などで餌をついばんでいるようです。ただし、1カ所に定住しているわけではなくて、相当な距離を放浪し、特に南部のオカメたちは「渡り」をするそうで、移動距離は相当なもののようです。

     繁殖期は、降雨量に左右されるようで、きちんとは決まっていません。乾燥地帯に生きるものの宿命なんでしょうね。この点ではセキセイインコと共通しています(野生のセキセイも雨さえあれば、いつでも繁殖できるのだそうです)。きちんとは決まっていないとはいえ、繁殖期は、およそ8月から12月(初春から初夏)が多いようです。ただし、4月から(秋の終わり)から始まることもあるみたいです。日本のセキセイやオカメたちが、冬場も繁殖したり産卵したりすることが多いのも(このことについては『飼育』で再度扱います)、元々の性質なのかも知れません。巣は、水場近くのユーカリの木の幹や枝に出来た穴だそうです。卵の数は4個から7個、抱卵日数は21ないし23日で、オスメス両方が温めます。ヒナの巣立ちは、孵化後4週間か5週間後です。巣立ち後、6ヶ月ぐらいまでは、未だオスメス区別できません。オスもメスもこの若鳥の時期には、成鳥のメスと同じ羽色をしているからです。違いは、若鳥の尾羽は短く、ロウ膜(くちばしの根元の肉の盛り上がった部分)がピンク色をしていることぐらいです。6ヶ月ぐらいから次第に羽が抜け替わりはじめ、次第に大人の鳥らしくなっていきます。