栄養
- オカメインコの栄養学入門(^_^;) -

 

タンパク質

 すべてのタンパク質はアミノ酸というもので構成されていて、その形で吸収されます。アミノ酸には、鳥が体内で合成できるものと合成できないものがあります。後者を必須アミノ酸といいますが、これは体内で合成できないので、食物を通じて摂取する必要があります。オカメインコに限りませんが、鳥が合成できない、この必須アミノ酸には10種ほどあるようです。具体的には、アルギニン、リジン、ヒスチジン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、スレオニン、トリプトファン、フェニルアラニンです。
 これらのうち、通常の飼い方では不足するのが、リジンとメチオニンです。この2つは動物食に多いアミノ酸です。アワ、ヒエ、キビ、麦、米・・・などの穀食でこの2つのアミノ酸は決定的に不足します。植物で唯一充足しているのが、マメ類です。大豆が「畑のお肉」と言われるのは、タンパク質の量もさることながら、リジンとメチオニンを多く含んでいることによっています。野生のオカメの好物がアカシアというマメ科の植物の豆だったことに注目して下さい。オカメインコの食餌は、穀物だけではちょっと不安です。特にタンパク質要求量の多い、ヒナや若鳥には、このことは重大なことだと思われます。ヒナの餌には粟玉など卵を使っているので、リジンやメチオニンは充足していると思われますが、粟玉を卒業してから成鳥に達するまでの若鳥の時期には、穀食の他に何か補助的なものを与えた方が無難です。また、成鳥になってからも、時々はこうした、リジンやメチオニンを含む補助食品を与えた方が良いです。
 比較的手軽に手に入る補助食品としては、PRIMEという補助栄養剤がありますが、鳥用のものにこだわる必要はありません。赤ちゃん用のミルクの「ボンラクトi」のような大豆をもとにしたものを使えば問題ありません。自家製で大豆を利用したい人は、生では与えないで、少し炒ってから与えて下さい。大豆の中には鳥に有害なタンパクが含まれていますが、炒ることによって無害にすることができます。昔の鳥飼いの技法に「すり餌」というものがありましたが、あれは必ず炒った大豆粉を用いたものでした。先人には学ぶべきものが多々あるということでしょう。

 

脂肪

 ヒナの時期には脂肪の要求量はかなり多いはずです。成鳥に向かうにしたがって、要求量は減っていきます。成鳥では、高脂餌(ヒマワリ、麻の実など)はかなり控えるべきです。最近うちの鳥たちの餌を変えましたが、ちょっと高脂餌の配合が高いものなので、てきめんに体重が増えてきました。要警戒です。鳥は餌の自由摂取が原則なので、体重をいつも監視してやって、高脂餌の配合割合を工夫してやって下さい。

 

ビタミンA

 穀物には含まれていないので、必ず他のもので与える必要があります。すなわち、青菜かビタミン剤かです。青菜には、ビタミンAそのものではなくて、ベータカロチンという形で含まれています。ビタミンAには過剰摂取の害がありますが、ベータカロチンは体内に取り込まれた後、必要な量だけビタミンAに変わるという特徴があります。そういう意味で、青菜の方が有利なので、青菜をしょっちゅう与えるようにして下さい。ビタミンAに限りませんが、ビタミンは自然食品で摂るのが原則だと思って下さい。

 

ビタミンB群

 ビタミンB群には沢山の種類がありますが、糠の部分に殆どのものが含まれているので、皮付き餌を与えている限り、摂取できます。注意したいのは、B6とB12です。どちらも腸内細菌が関わっている可能性があります。特にB12は植物が生産できないビタミンですので、植物食の飼鳥は、腸内の細菌に依存している可能性があります。B群はAと違って体内で貯蔵されないので、要注意ですね。私は昔ハト飼いの人に、抗生物質などを用いる時には、ビタミン剤を同時に与えるのが原則と聞いたことがあります。抗生物質を与えると腸内細菌は死滅しますから、特にそういう鳥を抱えている人は、ビタミンB12含有のビタミン剤を与えることはお勧めします。具体的には、エーザイのトリミックス、先に挙げたPRIMEなどがあります。トリミックスは500mlの大瓶しか売っていないのが難点ですが、薬局でたぶん取り寄せ可能です。(私も取り寄せたことがあります。2000円か2500円だったと思います)

 

ビタミンC

 鳥類は体内でCを合成できるので、特に心配する必要はありません。ただし、ニワトリでは、冬場に加温している場合の高温障害としてC不足が報告されているようです。冬場に加温しすぎた場合に軟卵を起こす場合があるようで、そんなときにはCを投与すれば治る場合があるようで、どうやら高温によってCが体内で合成されなくなることがあるようです。こうしたことは普通は考えられませんので、まあ、このビタミンの不足は考えなくても良いと思います。

 

ビタミンD

 ビタミンDは、紫外線を受けることによって、体内で合成されます。ただし、ガラス越しの日光ではダメです。最近のガラスは特に紫外線を効率良く遮断します。たぶん90%近くまで遮断してしまいます。したがって、日光浴させるか、ビタミン剤で補うか、どちらかが必要です。ビタミン剤で補う場合は、注意が必要です。鳥類は哺乳類とは違って、ビタミンDはD3という形で摂らなければ有効ではありません。これに対して哺乳類はD2でもD3でも良いのです。人間用のビタミン剤を鳥に利用する場合、ビタミンDとしてどちらを使っているかを良く見て下さい。D2を使っていれば、それは鳥には効果がありません。酷い場合は、鳥用のビタミン剤でもD2を使っているものがあります。成分表示に注目して下さい。

 

ビタミンE

 糠のぶぶんに多く含まれていますので、皮付き餌を与えている限り不足することはないでしょう。

 

カルシウム

 穀物にはカルシウムが含まれていませんので、何らかの形で与える必要があります。青菜にも含まれていますが、それだけでは不十分なので、ボレー粉、カットルボンなどで補って下さい。なお、カルシウムの摂取には上記のビタミンDが関わっています。カルシウムをいくら与えても、ビタミンDが決定的に不足しているならば、効果はないです。

 

マンガン

 カルシウムの摂取量が増えると、マンガンが不足することが知られています。ボレー粉には、白いものと青いものがありますが、後者はマンガンを補うために葉緑素をコーティングしてあるものです。ただし、青菜を与えている限りは、青菜経由で摂取できますので白いもので良いです。

 

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