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 番外編1 メディアで活動する(未定稿)

Ex1−1 自然解説者とメディアの関係


 自然解説者などと言う,人前に立つことをやっていると,やはり目立つものらしい。おまけに,そのノウハウをHPで公開していたりするものだから……。メディアや,自然関係とは縁の薄い「異業種」から照会があったり,どこかの観察会に講師で呼ばれたり,いつの間にか,こうした関わり合いが増えてきている。

 鳥の博物館での私の活動は,私と時田さんの個人的交友関係に由来するものだが,鳥の博物館の観察会事業に着手する遥か以前より,自然解説をやっているので,こうした,対メディアのキャリアは,いつの間にか増えてしまっている。

 かつて,「バードウォッチングブーム」と呼ばれた1980年代には,探鳥会の様子をニュース映像に使われたり,バードウォッチングの講師も,あちこち引き受けた時期もあったが,最近では,鳥関係の照会はごくわずかで,エンターテイメント,エデュテイメント,社会教育,校外学習など,依頼元も内容も多種多様になっている。
 実際,どんなことに関わっているかと言えば,やはり基本は観察会や科学教室の講師だが,活字メディアやネットメディアへの画像提供や監修,マスメディアの取材対応,TVの科学番組へのネタ提供やアドバイスと言った,メディアの裏方仕事も少なくない。そのほとんどは,職場経由ではないので,職業上の肩書きの無いところでの活動だ。メディア関係は,表に名前が出ていないものも多い。中には,メールで「明日朝までに返事くれ」と質問してきて,答えを書いたらそれっきりと言う,某在京TV局の番組などもあったりして,対応もまちまち。基本的には,講師依頼,原稿依頼以外は,ほとんどすべて無償奉仕状態だ。…まぁ,これで生計を立てているわけでもないので,こちらも気楽にやっている面もあるが…。職業上の肩書きに目をつけて,内容的には「本業」とはあまり関係無いけれど,肩書き出して「お墨付き」を取る,と言う発想のメディアもあったが,それはちょっと反則技なので,ほとんどの場合,肩書き出しは御遠慮願っている(おもな理由は,職場の許可が下りない,または許可に時間がかかるからなのだが…)。

#鳥の博物館では,共同研究をしている関係もあって,肩書きを出している。

Ex1−2 ネットメディアからマスメディアへ


 「善行は目立たず,隠れて行うことを美徳とする」と言うわけでもないが,自分自身も,「道楽の範疇」と言う負い目もあったりしたので,コソコソと,人知れず,あちこち関わっていた。がしかし,1996〜2000年にNTTの自然系サイト(今は廃止されている)で,おもに子どもたちを対象にした,「身近な自然質問箱」の相談員を経験したことが,結果的に,科学教育に対する重要性を再確認し,「教える能力」のスキルアップにもなり,さらには,ネットメディアに名前が流れる(質問箱のルールとして,名前と簡単な肩書きを表示して,回答内容の信頼度を担保していた)ことで,この辺りから,急速にメディアとの距離が近くなったように思う。

 余談だが,この「質問箱」の時代は,インターネット黎明期と言うこともあり,ネット上では,早くからネット環境の整備されていた,技術者や研究者,教育機関などの比率が高かった時代でもある。モザイクやカメレオンをいじってネットに繋いだ経験のある人なら,その当時の状況は分かると思う。なにしろ,NTTのサーバに,日本国内で公開されている全Webページのリストがあったくらいだから,インターネットの規模が今と比べ物にならないほど小さかったことは,想像していただけると思う。「質問箱」での質問者とのやり取りも,FAXを併用していたのだから……。
 「質問箱」の回答作成には,早い時期にネットを徘徊していた技術系,研究開発系の人を中心に「回答作成ML」が組まれ,ここで複数の回答者がやり取りしながら,回答を作成していた。お互い,顔も知らない技術者が,それぞれの得意分野を生かして,アイデアを出し合う。この「質問箱」で一番,勉強になったのは,このMLのメンバーだったかも知れない。
 ともあれ,この「質問箱」は1100問ほどの質問に答えて終了した。そのうちの,少なくとも300問は,私が関わっている。今,これがネット上に残っていたら,素晴らしい資産になっていただろうに……。

 質問箱の回答者をしているうちに,質問箱を設置しているHPのコンテンツにもアドバイザーとして参加するようになり,ネットでの情報発信方法などを学ぶことになった。さらに,ネット環境が家庭に普及し始めた頃には,自家用のHP(ココです)も立ち上げた。
 この辺りから,メディアからの照会も,ネット経由のものが増え,今や,活字メディアもTV,ラジオも,制作者がネットで情報を漁る時代だ。

 私が本格的にTV番組に顔を出すことになったのも,子ども向けの図鑑を出したのも,ネット経由で企画の照会を受けたかことから始まっている。このあたりの詳しい話は,売名行為みたいになってしまうので,別の場所で別の機会にさせていただくことにするが,ひとつ確実に言えることは,ネットがマスメディアとの距離を縮めた,と言うこと。

 「情報は発信するところに集まる。」と言う。しかし,今は情報の洪水とも言える状況。何が確かで信頼できる情報なのか,どの情報が役に立つのか,情報の受け手は,溢れる情報の中から,自分に必要なものを,よくよく吟味して選ばなくてはいけない。情報の送り手の立場としては,これからは特に,信頼される情報を提供することが,ネットメディアで生き残るための,ひとつのやり方だと思う。私の場合,その結果として,マスメディアに乗ってしまっただけのことで,科学の普及や環境教育のための情報発信についての姿勢は,ネット時代の遥か以前の,手書きの「しおり」を作って観察会を開いていた頃から,基本的には変わっていない。

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