花の変異,そして品種改良


 今年の春,野生のカタバミに八重咲きの変異を見つけてから,ちょっと気になっていました。
 古典的な,園芸植物の八重咲きの品種って,もともとは雄しべの変形などで花弁の数が増えたものを,人為的に選抜して遺伝的バックグラウンドを固定したものです。逆に言えば,野生状態でも「八重咲き」の出る可能性は十分にある,とも考えられます。……種類によって,八重咲きの変異の出やすい植物と,出にくい植物は,あるでしょうけど……。

 さて,カタバミの八重咲きについて。
 カタバミは園芸種も数多く作られています。もちろん八重咲きも。花屋さんに行けば,属名の「オキザリス」の名前で,いろいろな園芸種があります。……つまり,八重咲きの出る可能性は十分に持っているということは,想像がつきます。

 そこで,近所を一回りして,八重咲きのカタバミを探してみました。

 ……その前に……

これが標準タイプのカタバミの花。

こちらがアカカタバミ。形はカタバミと同じですが,芯に赤い色が入ります。


 この,カタバミとアカカタバミの花の形について,どんな変異があるのか,近所で見つけた,変な形の花を,まとめて紹介しましょう。

 標準は5弁ですが,1枚足りないもの,1枚多いもの,何枚もあるもの,さまざまな花が見つかりました。
 葉っぱも,ふつうは「三つ葉」ですが,たまに「四つ葉」のもあります。

 こうした変異について,遺伝的な原因や,環境要因……良く踏まれるような場所では成長点が傷つき,変な成長のしかたをする可能性がある……と言った説があるようです。
 今回,観察してみた範囲では,八重咲きの出やすい株があるようでした。上の写真の中にも,変な形の花がまとまって同じ花茎から咲いている写真がありますが,こうした集積性があるということは,遺伝的な変異が花の形に出ていると考えたほうが,良さそうです。
 実際,変な形の花が全然見つからない場所も,少なくありません。一方,ひとつ変異を見つけると,周囲にも変な形の花が見つかったりします。恐らくは同じ株からこぼれた種が育った,遺伝的に近い株で群落が作られている可能性が高いのだと思います。

 遺伝的に八重咲きが出現する,と言うことなら,きれいな八重咲きの株を選抜して,園芸種として固定することも不可能でないのでは?(誰かやってみます??)


(2001年10月29日記)

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