ホームズ彗星のバースト(17P/Holmes)
短周期彗星であるホームズ彗星(17P/Holmes)が2007年10月24日に大増光し,17等台だった彗星が,25日には2等台にまで達しました。約40数万倍に明るくなったことになります。これは彗星の本体に大規模なアウトバースト(大爆発)が起こったのではないかと言われています。肉眼では恒星のような光る点に見えていました。
その後,彗星は明るさを急激に落とすことも無く,次第に拡散しています。
普通の彗星は,核を取り巻くガスが青緑色に見えますが,この彗星は黄色っぽく見えます。しかも,尾も無く,彗星としてはとても不思議な姿をしています。こうした,彗星の大きな爆発現象が地球の近くで,肉眼でも観測できる明るさで展開されること自体,非常に珍しい現象である,と言えそうです。
このアウトバーストの様子は,肉眼や双眼鏡で容易に観測できるだけでなく,コンパクトデジカメでも気楽に撮影できました。
その様子をまとめて紹介します。
10月28日から11月7日の様子を4枚,合成してみました。
撮影条件は,
オリンパスC-750で10秒間の固定撮影。
明るいので,よく写ります。
少しずつ移動しながら,ガスが拡散してゆく様子がわかります。
もう少し拡大してみます。
拡大率を揃え,おおむね北が上になるように調整しました。
10月28日 20h19m-20h27mの間に撮影した14コマをコンポジット。
C-750固定撮影,露出8秒
10月31日 20h13m-20h20mの間に撮影した17コマをコンポジット。
C-750固定撮影,露出8秒
11月3日 21h04m-21h08mの間に撮影した13コマをコンポジット。
C-750固定撮影,露出8秒
11月4日 19h52m-19h58mの間に撮影した8コマをコンポジット。
C-750固定撮影,露出8秒
南(画面では下)のほうに,少しガスが伸びてきたようです。
11月7日 21h02m-21h06mの間に撮影した13コマをコンポジット。
C-750固定撮影,露出8秒
11月12日 21h23m-21h30mの間に撮影した16コマをコンポジット。
C-750固定撮影,露出8秒
ガスがどんどん拡散してゆきます。
ホームズ彗星のステレオ写真
11月12日と13日の写真をステレオ写真に加工してみました。
平行法で立体視してください。
彗星は毎日少しずつ移動している……言い換えれば,地球と彗星の位置関係が少しずつ変わるので,それを視差として捕らえ,ステレオグラムにすると,星空をバックに,彗星がふわっと手前に浮かび上がる写真になります。
ざっと概算して,基線長は約260万km。当サイト史上最大の基線長を持ったステレオ写真です。