水星の太陽面通過(2006.11.09)



☆撮影データ
 望遠鏡:BORG76ED
 アイピース:LV12mm
 カメラ:カシオQV-2900UX

 アストロソーラーフィルム(バーダープラネタリウム社製)で減光
 露出時間:1/160秒(拡大像),1/320〜1/2000秒(全体像)



 2006年11月9日,約3年半ぶりに水星の太陽面通過を観測しました。
 今回は早朝の現象で,日の出時刻には,既に水星が太陽の前を通過中の状態で,水星が最も太陽の中心に近いところに達する「食の最大」時刻が6時41分。当地の日の出は6時10分でしたから,かなりの低空での観測となりました。
 その後は太陽の高度も上がってきましたが,あまり気流が安定せず,それほどシャープな画像が得られていませんが,貴重な記録ですので,御紹介します。


 撮影時刻は08h20m。かなり後半のほうです。
 右端に見えるのは黒点。左のほうにポチッと小さな黒い点があるのが分かるでしょうか?
 ……これが水星の影。影の見かけの大きさは約10"。太陽の見かけの直径の1/190以下。

 06h40から約20分毎の水星の位置を合成しました。多少のバラツキには目をつぶってください(汗)。
 天体望遠鏡での撮影なので,上下左右がひっくり返っています。
 見かけ上,水星は右から左へと移動しています。



 さて,2003年5月のときには,水星が太陽の前に入ってくる時間には曇っていて観測できず,太陽の前から去る時間は日没後で観測できず,と言う状況でしたが,今回は,太陽の前から出て行く「第3接触」(水星の縁が太陽の縁にかかる瞬間)「第4接触」(水星が太陽から完全に離れる瞬間)の観測が出来ました。

 その様子を,アニメーションgifに編集してみました。

 09h07m40sから約20秒おきに撮影した画像を,パラパラまんが風に編集しています。


 水星が太陽の前を横切る現象は,水星と地球の公転軌道の位置関係から,5月上旬頃か11月10日前後に「内合」の起こる時に限られます。それぞれ,13年に1度ぐらいの割合でチャンスがめぐって来ますので,平均すれば13年に2回ぐらい,水星の太陽面通過が見られることになります。しかし,水星が太陽の前を横切っている時間が日本では夜間に当たって,見られなかったりすることもあるので,実際には見られるチャンスは,半分ぐらい。さらに,その当日に晴れなかったらお手上げですから,運が悪ければ,一生に一度も見られない天文ファンも居るかもしれません。


 そんなわけで,次回,日本で観測が可能な,水星の太陽面通過は,2032年11月13日の夕方。今度は水星が太陽の前に顔を出す,第1接触と第2接触が見られます。

 ……そのときには,どんな顔して眺めているだろうか……


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