グリーンフラッシュ



☆撮影データ
 カメラ:カシオQV-2900UX
 テレ端+デジタル2倍ズーム
 ホワイトバランス:太陽光 露出:オート−1EV

 トリミングしています。



 グリーンフラッシュとは,日の出,日の入りの一瞬,太陽の縁が緑色に光って見える現象。

 理屈としては,天体撮影マニアなら良く知っているている,「大気の色ズレ」現象に起因します。地平高度の低い月や惑星の拡大撮影をしていると,上のほう(天頂寄り)のエッジに青系統,下のほう(地平線寄り)には赤系統の色が見えます。これが,大気のプリズム効果による「色ズレ」ですが,これが日没,日の出の際には,上側の青系統の色の滲みだけが見える瞬間が存在することになります。それがグリーンフラッシュの正体。

 しかし,グリーンフラッシュを見る条件は,意外と厳しい。
 まず,きちんと水平線/地平線まで見渡せること。
 そして,大気の透明度が高いこと。透明度が下がると,赤より短波長の青〜緑色の光は,赤よりも減衰しやすく,目に届かなくなります。
 グリーンフラッシュは日の出のときにも日の入りのときにも見られますが,日の出の瞬間を捉えるよりも,日の入りの瞬間を捉えるほうが容易なので,通常は日没時を狙います。


 これは,与論島で撮影した日没の様子です。
 南の島でも,天気がよければ必ずグリーンフラッシュが見える,と言うものでもありません。晴れていても,水平線付近に雲があったり,霞んでいたりしたら,グリーンフラッシュは見えません。けっこう条件は厳しいようです。

 水平線の彼方に沈む夕日。この位置でも,それほど夕日の赤みが強くない,と言うことは,空の透明度が高い。
 夕日の色で,グリーンフラッシュの見られる可能性を,ある程度予測できそうです。

 手前の船は,「サンセットクルージング」の船。グリーンフラッシュを見た人は幸福になれるとか……そんな幸運を期待した観光ツアーです。


 では,この日の日没の様子を拡大撮影。






 最後の写真に注目。
 やや露出オーバーで,シャッターチャンスとしてはやや早かったのですが,緑色の色ズレを捉えています。
 肉眼では,この瞬間に,緑色に光って見えました。

 こういうのはムービーで撮って,後からゆっくり静止画を切り出したほうが良さそうですね。
 一瞬の出来事で,しかも,露出の非常に難しい場面です。

 でも,「撮影しよう」などと思わないで,まずは,自分の目でじっくり見るほうが良いと思います。大気の条件によって綺麗に見えたり,全然見えなかったり,夕日はさまざまな表情をしながら,消えてゆきます。それを自分の目で,しっかり見届けたときに,運良く緑色の光が見えればラッキー!ぐらいに考えておくのが良いのではないかと思います。自分の目で見ると,感動の量が違います。
 実はこの撮影時も,カメラは固定して撮影条件だけ決めておいて,肉眼で夕日を見ながら,ファインダーを確認しないで適当にシャッターを切っていました。幸運にも,その中の1枚に,緑色が見えるコマがあったのです。

 やはり基本は自分の目です。


(撮影日:2006.08.25)


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