土星食リベンジ!(2002年3月20日)


 惑星が月に隠される現象を「惑星食」と言います。
 土星が月に隠されれば「土星食」。
 2002年3月20日の宵空で,この現象を捉えました。
 日本では1月25日の夜明け前にも土星食が見られましたが,土星がきちんと隠れたのは,神奈川以西のこと。こちら我孫子では,「食」にならず,ギリギリの接近で終わりました。今回は東日本を中心に「食」となり,西日本では土星の近くギリギリを月が通過となりました。ですから,こちらでは今度が「本番」と言うわけ。
 デジカメでその様子を捉えましたので,御覧ください。


☆撮影データ
 望遠鏡:BORG76ED
 カメラ:カシオQV-8000SX
 LV15mmアイピース+デジカメのワイド端orテレ端でコリメート。
 露出時間:1/60(ワイド端),1/6秒(テレ端),ホワイトバランス「蛍光灯」,シャープネス,彩度「高」,コントラスト「標準」
 撮影後,トリミングしています。

 画像は倒立像のままです。したがって,土星に対して月が左→右へと動きます。




 潜入前。月のすぐ右上に土星が見えています。今回は,月の暗い部分から土星を隠します。



 露出を1.5秒かけて撮影しました。こうすると,月や土星は露出オーバーでつぶれてしまいますが,「地球照」(地球からの照り返しで月の暗い部分がぼんやり照らし出される現象)が見えます。望遠鏡や双眼鏡で眺めていると,この地球照により,土星の隠れる場所が良く見えました。


 カメラでは地球照と土星を同時に写すのは大変。
 そこで,ターゲットを土星に絞り込み,土星が欠けて行く様子を捉えました。


 20数分後,今度は月の明るい縁から土星が出てきました。
 土星は面積を持った天体なので,2分少々かけて,ゆっくりと姿を見せてきます。





 この画像は20時08分頃から40秒間隔で撮影しています。

土星が月の裏から出てくる様子を20秒毎に撮影し,アニメにしてみました。



 本当は月のほうが動きが大きいのですから,土星の前から月がどいてくれた,と言う状況なんですが,望遠鏡で見ていると,月の山の端から土星が昇ってくるような気がしてしまいます。……そこで,実際に見た印象のとおり,月を固定して,土星が出てくるように表現してみましたが,ホントは土星のほうが動いていないんですよ。



 さて,すっかり「食」も終わり,土星が月の左側に出ました。天体望遠鏡は倒立像で,しかも上が南,下が北になるようにアングルを傾けていますから,実際に双眼鏡で見ると,西空に傾いた月の左下側で,土星をちょこっとかすったように見えていました。
 天文学的にはこの写真で良いのですが,像の倒立と上下方向の位置合わせの違いだけで,実際に見たイメージと,かなり違ってしまいますね。


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