部分月食(2001年7月5〜6日)


 2001年7月5日夜の部分月食の様子を捉えました。
 この月食は,5日22時35分に欠け始め,食の最大が23時55分(このときの食分は0.499),食の終わりが6日1時15分というもの(時刻はいずれも日本標準時)。部分月食は皆既月食ほど華やかな天文現象ではありませんが,今後しばらくの間,日本から見える月食が無いので,じっくり観測することにしました。
 当日は薄雲が多く,月も時々雲に隠れてしまい,なかなか綺麗な姿を見せてくれなかったのですが,デジカメで月食の経過を撮影してみました。
 夏の夜の天体ショーをお楽しみください。


☆共通撮影データ
 望遠鏡:ビクセン ジオマ65EDフィールドスコープ
 カメラ:カシオQV-8000SX
 25倍アイピース+デジカメのワイド端でコリメート。
 露出時間:1/15〜1/125秒
 撮影後,トリミング,コントラスト調整,エッジ強調処理をしています。

 特に断りのない限り,すべての画像は正立像です。


 2001.07.05
 22時15分

 「食」が始まる前の月。
 月の右上のほうが薄暗くなっています。
 これは「半影食」と言うもので,月から見れば,太陽の一部が地球に隠された,「部分日食」の状態になっているところです。
 直射日光が全く届かなくなっている部分は「本影」といいます。

 22時35分

欠け始め。
コントラストを上げているので,半影の部分が,かなり暗く写っています。
肉眼で見ても,本影と半影の境い目は,それほどハッキリしません。

 22時55分

どんどん欠けてゆきます。
半影の部分に露出を合わせると,どうしても明るい部分が露出オーバーになります。
光度差の激しい被写体は,デジタルでも銀塩でも,写真泣かせですね。

 23時35分

途中で雲がかかったので,ちょっと時間が飛びます。
半分近く欠けてきた月。
満月よりもかなり長い露出時間が必要になっています。
肉眼で見た印象よりも,かなり暗くなっているようです。

 2001.07.06
 00時15分


食の最大の頃(23:55頃),ちょうど曇ってしまって,撮影時刻が飛びます。
ぼちぼち復元し始めた月。
23:35分の画像と較べて,欠けている方向が違っていることに注目。

 00時18分

この画像は,露出時間を1/3秒に延ばして撮影しました。
光っている部分は当然,超露出オーバーなんですが,本影の部分に注目。
うすぼんやりと光っているのがわかります。
双眼鏡で見ると,ほんの少し赤っぽく見えます。
皆既月食のとき,月が完全に真っ暗にならず,地球の大気の影響で回りこんできた光で,ぼんやり赤く光りますが,部分月食のときでも,本影がぼんやり見えているのです。

 00時35分

だいぶ復元してきました。
ちょうど,コペルニクス,ケプラーといったクレーターが,影から出てきたところです。
クレーターごとの,本影の接触時刻を調べておくと,また違った視点からの楽しみがあると思います。

 01時25分

いきなり月食終了後の画像ですみません。途中,曇ってしまったのです。
月食終了後,10分経過した月です。
まだ右のほうに半影食が残っています。
半影食はコントラストが低いので,写真で見たほうが良くわかります。


ちょっとお遊び。



月食の経過を撮影した画像を1枚に合成して,地球の影の中を通り抜ける月の様子を示してみました。
位置合わせが適当なので,けっこういい加減な画像なんですが(すみませんm(__)m),地球の影の様子がわかりやすくなっていると思います。
 ……地球の影は丸かった!


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