いろいろ天文コラム


第1集もくじ

天文イベントと望遠鏡の需要の相関性
超高倍率望遠鏡の謎
最近,プラネタリウムを見ましたか?
ハンドメイドの望遠鏡
アンドロメダへの乗車券
Z社製品のオーナーになる
地球上のクレーターを見てみる


→表紙へもどる
→コラムのトップにもどる


天文イベントと望遠鏡の需要の相関性

 2001年4月現在,日本の景気はどん底で,消費支出も緊縮ムードです。
 そうなると,生活に直接関係のない,ホビー分野の支出は,真っ先に抑えられます。
 望遠鏡や双眼鏡も,売り上げが落ち込みます。
 まさに,望遠鏡業界,「冬の時代」……。

 一方で,この業界には,ときどき「特需」のようなものがあります。
 それは,マスコミが話題に取り上げるような天文現象。

 メーカーも心得たもので,こう言う時期に,ここぞとばかり望遠鏡を売り込みます。
 近いところでは,ヘール・ボップ彗星。1985〜86年のハレー彗星騒ぎのときも,かなりの数の望遠鏡が売れたようです。その昔,ジャコビニ流星雨が予想されたとき(1972年),本来,流星観測に天体望遠鏡は不要なのですが,何故か望遠鏡が飛ぶように売れたのだそうです。

 逆に言えば,それだけ予備知識の無い人に望遠鏡を売りさばいていたわけです。その後,ブームに乗って買われた望遠鏡は,粗大ゴミや押入れの中の邪魔者になってしまった可能性が極めて高い……。
 こう言う「ブーム」のときに売れる望遠鏡って,やっぱり安い品物が多いようです。とりあえず買ってしまっても惜しくない価格。……いまなら3万円以下ぐらいかな?
 しかし,望遠鏡,特に天体望遠鏡は,初心者にとっては操作性が悪すぎます。もともと望遠鏡自体,光学性能や架台の精度のために人間工学を無視しているような部分もあり,さらに残念なことには,安価なものほど使い勝手が悪い物が多いし……。私も初めて望遠鏡をいじったときにそうだったんですが,本当の「初心者」と言うのは,ファインダーの調整だけでも,なかなか満足に出来ないものです。月や明るい惑星はともかく,いろいろな天体を見たかったら,どこに何があるのかを示した星図ぐらいは,最低限必要ですし,望遠鏡についても事前に勉強しているでしょうから,そんなこと考えて望遠鏡買っている人なら,ホームセンターの激安望遠鏡に手を出したりしないでしょうし……。

 星のことを知っている人が聞くと冗談みたいな話ですが,ハレー彗星が接近していた頃,伊豆まで遠征観測に行ったときの体験談です。……観測を終えて薄明を眺めながら機材を片付けていたときに,家族連れで望遠鏡を車に積んで観測地にやってきた人がいました。その家族は,私に「あの〜,ハレー彗星,どこに見えますか?明け方に見えると聞いたんですが……」と尋ねてきました。残念ながら,ハレー彗星はもう沈んだ後。もう,朝焼けも始まろうかと言う時間。それでも,お父さんは望遠鏡を組み立てている。……望遠鏡はビクセンのポラリス赤道儀。結構投資しているかも。……でも,なんか,組み立て方がおかしいぞ? 鏡筒は逆さだしファインダーも……赤道儀のバランスも,もちろんメチャメチャ。不審に思って,「これで何か見たことありますか?」と聞いたら,「月ぐらい……でも,変なふうに動くから使いにくい」。……子どもたちは不安半分,眠さ半分,と言う感じの顔で,じっとお父さん見つめている。これじゃ,組み立て終わる頃には日が昇っちゃう。……で,工具をちょいと拝借し,極軸を垂直に立てて「経緯台」状態にして,ざっとバランス取り,ファインダー調整をして,薄明の中に消えかかっていた惑星などを少々お見せしておきました……この望遠鏡,その後使われることはないだろうなぁ,と思いつつ……。

 こうしてみると,望遠鏡,特に廉価版の望遠鏡の売れ方,使われ方って,「健康ブーム」の波に乗って現われては消える,キワモノの健康器具のようですね(苦笑)。ハレー彗星ブームの頃に買って死蔵された望遠鏡は,さしずめ,「ぶら下がり健康器」のようなものかしら?

→ページトップへ


超高倍率望遠鏡の謎

 ホームセンターや量販店で売っている望遠鏡は,専門ショップで売っているものと,ラインナップがほとんど違います。量販店系で売られる望遠鏡は,多くの場合,「倍率」を売り口上にしていたりします。短いアイピース2本に3倍バーローレンズの組み合わせで,倍率が4種類,最高倍率が300倍とか……(中には450倍なんて言うすごいのもありました)。高倍率の望遠鏡は高性能だと言う誤解を持った購買層を相手にしているのが見え見えです。当然,お安い小型望遠鏡では,架台がグラグラで,対物レンズも小さく,300倍,400倍などと言う倍率は使い物になりません。使えないものを「初心者向け」と称して,事情を知らない消費者に売りつけるのは,詐欺まがいな商売だと思いますけどね〜。……でも,望遠鏡が数多く売れる時期には,こう言う望遠鏡が氾濫するのです。こうした超高倍率望遠鏡が売れるのは,夏休み前。子どもに買い与えるか,キャンプのお供に連れて行くか,と言ったところでしょうか。
 正直,こう言う使いにくい(…いや,超高倍率などは,「使い物にならない」と断言すべきですね)望遠鏡で,子どもたちの夢を打ち砕いていたとしたら,これは大変罪なことだと思います。結果的には,天文ファンを育てることが出来ず,あっという間に望遠鏡から遠ざかってしまうのですから,長い目で見れば,望遠鏡業界にとって得策とは思えません。

 事情の分からない初心者の「高倍率」=「高性能」と言う幻想に迎合するのではなく,もっと望遠鏡の本質を伝える努力をして欲しいものです。望遠鏡を使って星を見るのが「楽しい!」と感じられなければ,ほとんど使われずに粗大ゴミと化す望遠鏡を減らすことは出来ません。初心者がまともに使える倍率は,せいぜい100倍程度です。気軽に星を見るなら,無理なく100倍が使える程度の光学性能と架台をコンパクトにまとめた望遠鏡で,思い立ったらすぐに持ち出して星が見えるようなのが理想です。もちろん,初心者でも納得のゆく価格であることも重要です。

 最近,ミード(アメリカのメーカー)から,口径60〜70mmのコンパクトな屈折鏡筒と,簡易形の自動導入装置を組み合わせた望遠鏡が出ました。コンピュータで自動的に天体を導入する装置付きで実売3〜4万円ぐらいですから,これなら初心者用としても十分に通用する価格です。「星を見る楽しみ」を,面倒な組み立て方法や扱いにくい倍率などでスポイルしてしまわないような配慮が感じられ,好感が持てます。

 初心者,ベテランを問わず,気軽に星を見ることのできる道具の価値は高いのです。使いようの無い高倍率アイピースを標準装備したり,コストダウンのために架台の剛性までダウンさせるのは,初心者にどれほど不親切なことなのか,どれだけたくさんの「天文ファン」予備軍を逃がしてしまっているのか,特にホームセンターなどに高倍率の望遠鏡を出荷しているメーカーには,今一度,マーケット戦略を考えて欲しいものです。

 ホームセンターなどで売っている「初心者向け望遠鏡」は,実は,初心者が「買ってはいけない望遠鏡」の最右翼だったと言うお話……。

→ページトップへ


最近,プラネタリウムを見ましたか?

 プラネタリウムを見たことがありますか?
 最近,プラネタリウムを見ましたか?

 日本は未曾有のプラネタリウム大国と言われています。
 東京だけでも,一般公開されているプラネタリウムは20数館あります。
 しかし,入場者数はどんどん減っています。
 2001年3月に五島プラネタリウムが閉館されたことは,まだ記憶に新しいことと思います。

 …はっきり言って,現状では過剰供給状態だと言えます。

 私も少年時代は,プラネタリウム・フリークで,渋谷の五島プラネタリウムと川崎市青少年科学館は,毎月欠かさず通っていました。大人になった今でも,以前ほどの熱意と時間が持てませんが,出張先で時間の余ったときなどに,時間の都合がつけば,その土地の科学館やプラネタリウムなどに立ち寄っています。少年時代からこれまでに,全国の20館ほどのプラネタリウムを見学しています。

 とある日曜日,大宮駅前の「さいたま市宇宙劇場」(当時は大宮宇宙劇場でした)に遊びに行ったときには,正直,驚きました。日曜昼下がりの,いちばんお客の入りそうな時間帯の一般投影で,300席ある座席の,10数%しかチケットが出ていない。少年時代,渋谷の五島プラネタリウムのチケット発売待ちの列が,プラネタリウムのある8階から3階ぐらいまで,階段を延々と下りながら伸びていたことを覚えている私にとっては,大変な驚きでした。

 さいたま市宇宙劇場は,ミノルタのINFINIUMと言う演出力のある投影装置と全天周映画上映装置を備えた,大型の施設です。ハードウエア,立地条件とも文句なし。でも,見学者はパラパラ。

 その後,これと同じような体験を,大阪の「ソフィア堺」でも味わいました。そのときは,直径18mの立派な傾斜型ドームに入場した人数は,私を入れて5人。これもやはり,休日の午後のこと。
 鹿児島県立博物館で土曜の午後に観覧したときは,プラネタリウム室に入ったのは,オペレーター1人と私1人だけ。

 天文ブームが下火となり,子供たちが星を見る機会も減ったとは言え,現実を目の当たりにすると,驚きを通り越して,やるせない気持ちさえ湧いてきます。

 今,公開されているプラネタリウムのほとんどは公営で,東京でも民営のものといえば,先ごろ閉館した五島プラネタリウムのほか,サンシャインプラネタリウム,ベネッセスタードーム,まちだ東急スターホールぐらいでしょう。民営プラネタリウムの採算性や存続についても,かなり心配になってしまいました。

 何か良い対策は無いのでしょうか?

 個人的意見ですが,プラネタリウムって,「お勉強」臭いと思いませんか?
 それから,自動演出が増えたため,番組を買って上映するところが増え,同じ番組を複数のプラネタリウムで投影することが多くなっています。そう言う意味でも,無個性化が進んでいるように思います。

 プラネタリウムの基本的な目的はは「星空シミュレータ」としての学習施設です。しかしそれと同時に,特に新しい投影装置では,さまざまな演出機能が備わっているので,昔よりはるかに多彩な演出も可能となっているはずです。つまり,エンターテイメント性は高まっている。
 ……となると,問題は,番組内容にもあるのではないか,と思わせます。
 学習施設としてのプラネタリウムの存在意義は高いと思います。しかし,その投影内容を一般向けにも使うため,中途半端に「お勉強」っぽく,中途半端に演出された番組が多いように思います。これではエンターテイメントに対して目の肥えた大人たちを満足させることが難しいのは,容易に想像できます。いや,子供だって,いつまでも星座のお勉強やギリシャ神話のダイジェストを聞かされるようでは,じきに飽きてしまいます。

 星空の面白さを伝える施設としてのプラネタリウムの存在意義は高いと思います。でも,3ヶ月に1回変わる番組と,週末にCDコンサートなどの特別投影を少々加える程度では,多様化するニーズに応えているとは言えません。
 たとえば,大人向きの硬派なドキュメンタリー系の番組とか,ゲーム感覚のバラエティ番組など,多彩な番組編成を組み込んだり,講演会やライブの会場としてドームを使い,その脇役の演出装置としてプラネタリウムを使うような,思い切った使い方が増えてもいいんじゃないかと思います。条件の良いところなら,プラネタリウムと実際の天体観望会を組み合わせた演出なども可能でしょう(これは実際に実現している所もあります)。

 プラネタリウムには,天文普及の拠点として,もっともっと,頑張って欲しいのです。

 大人になっても楽しめるプラネタリウム。
 ぜひ,実現して欲しいものです。

→ページトップへ


ハンドメイドの望遠鏡

 東京都板橋区。
 ここは高度経済成長の時代に,世界最大の望遠鏡,双眼鏡の生産拠点でした。
 とは言うものの,大きなメーカーなどではなく,ほとんどは家内工業のような零細な光学屋で,レンズを作っているところ,プリズムを作っているところ,ダイキャストを作っているところなど,さまざまに細分化した町工場の集合体でした。おびただしい数の光学メーカーの連携により,世界中に製品を送り出していたのです。
 天文雑誌などに出ている望遠鏡メーカーやレンズメーカーに買い物に行ってみると,驚くほど小さな社屋(と言うか,自宅のガレージみたいな工場)だったりしたものです。そんな中,職人芸とアイデアで勝負し,さまざまな製品を世に送り出すメーカーなどがあったのです。

 その昔,……と言っても,そんなに古くない昔には,メーカー製の望遠鏡ですら,ハンドメイドに近かったのです。

 望遠鏡は,良質のレンズが得られれば,かなりの性能が得られます。望遠鏡の基本設計は18世紀には完成しています。しかも,部品点数も,「メカもの」としては,あまり多くありません。現在の電気仕掛けの望遠鏡が作られる前の時代,望遠鏡や双眼鏡の部品点数は,100点を超えない範囲で,十分なものが作ることが出来ました。基本設計を大きくいじらなくても作れることと,部品点数が少ないことが,小さな会社での望遠鏡作りを可能にしていたのでしょう。また,望遠鏡を自作する人のために,対物レンズや望遠鏡の各種パーツを格安でばら売りしてくれるメーカーも何社かありました。

 しかし,その後の望遠鏡,双眼鏡の進歩は,結果的には小さなメーカーを追い出す,あるいは,大きなメーカーの傘下に入ることを余儀なくさせるものでした。新種の光学材料の登場,高度な技術や工作機械を要求する,新設計の光学系,そして,特許による拘束。そのいずれもが,望遠鏡,双眼鏡の進歩に大きく寄与しましたが,昔ながらの望遠鏡メーカーは,次第に駆逐されてゆきました。……その上,1986年のハレー彗星ブームを最後に,市民の天文に対する情熱も下火になりましたしね。

 でも,もう一度確認しますが,望遠鏡は,基本的にはケプラーやニュートンの時代,つまり,天文学者が自分の手で望遠鏡を作って観測していた時代と,基本設計は変わっていないのです。

 だとしたら,自分でハンドメイドの望遠鏡を作るのも,そんなに難しいことではないでしょう。
 シンプルに作れば,10数点のパーツで,望遠鏡は作れます。自分で服を縫う人がいるように,世の中には自分で望遠鏡を作って星を楽しむ趣味が,成り立っているのです。例えば洋裁でも,1着の服を作るのに,パーツの数は2桁で済みます。この辺りが「手作り」のできる範囲なのでしょう。

 ……望遠鏡は,今でもハンドメイドが可能な,数少ない工業製品だったのです。

 適当な対物レンズと接眼レンズを入手できれば,あとは日曜大工ぐらいの手間暇で,簡単に手作りできるのが,望遠鏡作りの醍醐味です。もちろん,大きいものを作るのはそれなりに大変ですが,小さなレンズでも,土星の輪や月のクレーターがちゃんと見える望遠鏡が,しっかり作れます。もっと技術のある人は,自分で反射鏡も磨いてしまうんですが,それはさておき……。

 これだけ既製服が出回っている時代でも,自分で服を縫う人がいます。自分で木を切り,木工製品を作る人がいます。望遠鏡を自作する,と言うのも,これと同様のものだと思います。低コストで楽しみたい,人と違うものを手に入れたい,……そして何より,作る喜びです。
 望遠鏡の自作は,DIY文化の一端に位置すると思います。

 レンズや,作りにくいパーツ類はお店で調達してしまえば,気軽に,ハンドメイドの望遠鏡を楽しむことが出来ます。もっと簡単に楽しむのなら,望遠鏡製作キットも市販されています。自分で作った望遠鏡で星を見れば,きっと,星空がぐんと身近に感じられるようになるのではないでしょうか。

→ページトップへ


アンドロメダへの乗車券

最近,こんなものを手に入れました。

アンドロメダまでの乗車券です(笑)。
裏面に書いてあるとおり,プラネタリウムの観覧記念チケットなんです。

 2002年夏,アニメ「銀河鉄道999」をモチーフにしたプラネタリウムの自動演出プログラムを見ました。投影機のメーカーである五藤光学研究所の制作ですから,全国のかなりの数のプラネタリウムで投影されていたと思います。このチケットは「まちだ東急スターホール」で観覧した際にもらいました。プログラムの中味は,前半部がライブ解説で,その日の夜空の星座を案内し,後半部が,自動演出による「銀河鉄道999」のお話。お話自体は30分ぐらいなので,かつてTVアニメシリーズとして放映されていたときの1回分ぐらいのボリュームです。ストーリーも,昔のTVアニメと同じような展開。リアルタイムでTV放映を見ていた,30歳以上の人なら,けっこう懐かしく感じたのではないでしょうか。子ども達にも評判は上々でした。
 ストーリー自体はプラネタリウムの雰囲気に合います。エンターテイメント性も高いと思います。でも,プラネタリウムの演出能力を利用して上映することのメリットは,どんなもんでしょう? 番組中,投影機本体が活躍した時間って,3分も無かったんじゃないかと思います。動画はほとんどビデオプロジェクター頼み。その画質は映画には遠く及びません。こう言う番組の上映に,プラネタリウムを使うことの意味って,何だろうなぁ……。
 何はともあれ,エンターテイメントとしてのプラネタリウムの方向性としては,ひとつの良い試みだと思います。そして,このチケットのような,きめ細かい演出も,好感が持てます。

 チケットの裏面を良く読むと,
◎この記念乗車券は,あなたの「夢」を忘れない鍵としてお使いください。
◎上記目的においてご利用の場合,無期限にてお使いいただけます。

……うん,プラネタリウムは,星空への夢を売らなくてはね。

→ページトップへ


Z社製品のオーナーになる

光学関係のイベントとか新製品発表会などでもらう販促グッズ。

  

 ビクセンSX赤道儀の発表会でもらったキーホルダー。
 このときは愛称の「スフィンクス」を前面に推していましたが,最近は単に「SX」と呼ぶだけのことが多いような……
 このキーホルダーにはSXの文字は無く,しっかりSPHINXのロゴとSTAR BOOKが描かれています。VIVENのロゴも,このときに新しくしたのですが,この前の年にロゴを変えたばっかりだったので,ちょっと驚きました。

  

 こちらはカールツアイス日本法人の販促用ボールペンとニコンのペン。ツアイスのはあちこちの展示会で配っていたので,持っている人も多いかと思います。ニコンのは日本望遠鏡工業会の展示会「JTBショー」でアンケートに答えたときのお土産。シャープペンシル+赤,黒のボールペンが切り替わる,販促用としてはちょっと贅沢な作り。愛用してます。

 自動車の発表会で憧れの高級車関係の小物(特に非売品)などを貰うと,ちょっと嬉しくなりますが,ツアイスやニコンのロゴ入りの小物と言うのも,それに似たような感覚がありますね。
 とりあえず,これで私もツアイス製品のオーナーだ(嘘)。

→ページトップへ


地球上のクレーターを見てみる

 クレーターの成因については,隕石衝突説と火山説がありますが,月のクレーターの多くは隕石(小天体)の衝突によるものと言うのが,現在では有力になっています。しかし,火山の噴火口,あるいはカルデラだと思われるもの(噴出物と思われるものがクレーター周囲に見つかっているもの)も存在しているので,このどちらの説も正解であろう,と言うのが現状かと思います。
 月にクレーターがあるのと同様に,地球にも数多くのクレーターが作られたはずです。しかし,地球では大気と水により浸食作用を受け,隕石衝突の痕跡は,どんどん形を失って消えてしまった,と考えられています。衛星写真などから,クレーターと思われる地形が見つかったり,その地形の底に,天体の衝突によって変性したと思われる岩石が発見されるなど,クレーターの存在を示す証拠は,次々と見つかっています。日本でも,飯田や高松で,隕石の衝突によるものと思われる窪地が見つかっています。
 噴火口をクレーターの一種と考えるなら,日本にはたくさんのクレーターがあることになります。例えば,阿蘇山のカルデラは,世界最大級の噴火口型クレーターだと言えます。

 こうした,日本に現存する,わかりやすいクレーターを,「ステレオ月面写真」のテクニックで,立体視してみましょう。

☆画像は平行法で立体視してください。


 おなじみ,富士山です。
 これは羽田から西のほうに向かう飛行機の窓から撮影しました。
 移動する飛行機の中から連続撮影すると,ちょうど手頃な視差が得られます。それをステレオ写真にまとめてみました。

 左上のほうには宝永火口も見えます。
 つまり,クレーターが2つ,写っていることになります。


 こちらは福島県の吾妻山系。火山地帯で,現在も噴煙を上げている火口がありますが,左手前に見える吾妻小富士は,現在噴気を上げておらず,火口を一回り歩くことの出来る観光地にもなっています。


 吾妻小富士のアップ。「富士」を名乗るにふさわしい,端正なシルエットに,大き目の噴火口。
 立体視すると,「クレーターらしさ」が際立ちます。
 この山は標高が低いながら,雪の無い季節には,草や木の少ない,赤茶けた山肌を見せてくれます。その時期に撮影したら,火星のクレーターのように見えるかも知れませんね。

→ページトップへ


→表紙へもどる
→コラムのトップにもどる