まねっこ鳥ぶえ

対象年齢:小学校低学年から。
       おとなの人が手伝えば,小学生未満からOK!


 春になると,いろんな鳥がきれいな声で鳴きます。鳥の歌声は,オスがメスをさそうラブコールだったり,ほかのオスとなわばりあらそいをするためだったり,いろいろな意味があるようです。鳥のきれいな歌声には,ちゃんと意味があるんですね。ちょっとだけ,鳥になった気分で,鳥の声のような音の出るふえを作ってみましょう。

【用意するもの】
・ストロー,紙コップ,フィルムケース,トイレットペーパーのしん,はさみ,カッター,セロファンテープなど。

【作ってみよう】

1.「カッコウぶえ」の作りかた

・ストローを半分ぐらいに切って,先のほうをすこしつぶしておきます。




・紙コップのまん中よりも少し下のほうに,はば5mm,長さ1cmぐらいの穴をあけます。
・穴のすぐうしろにストローのさきをくっつけ,そっとふいてみましょう。ストローの位置やむき,ストローの先のつぶれかたを少しずつかえて,きれいな音の出る場所をさがします。
・いちばんきれいな音が出た場所で,ストローをセロファンテープで止めます。


 ……こんなかたちになります。

・これで,できあがり



コップの口のほうを手のひらでふさぐと,低い音になります。
手のひらでうまく音の高さをかえて,カッコウの声を出して見たり,かんたんなメロディをえんそうすることもできます。

2.「ウグイスぶえ」の作りかた。

・フィルムケースやトイレットペーパーのしんをつかいます。
・作りかたは「カッコウぶえ」と同じです。
・つつの長さをみじかくすると,高い音が出て,ウグイスみたいになります。


 トイレットペーパーのしんを半分に切って作りました。

 このふえも,手のひらでつつのさきをふさぐと,低い音になります。
 うまくひらいたりふさいだりして,「ホーホケキョ!」と,ならしてみてください。

3.「カルガモぶえ」の作りかた

・まず,音の出るストローを作ります。
・ストローのさきを1.5cmぐらいつぶして,ふちを少し切り落とします。


 こんな形にしてください。

・切ったぶぶんを口の中に入れて,さきのほうから3cmぐらいのところを,くちびるでくわえるようにして,ちょっと強くふきます。
・「ブーッ!」と大きい音が出ましたか? 音が出なかったら,ストローの切りかたやふきかたをくふうしてみてください。
・紙コップのそこに穴をあけて,このストローをさしこんで,セロファンテープで止めます。



 これで,できあがり!
 紙コップの口を,手でふさぐと,ちょっと音がかわります。
 手をじょうずに使って,カルガモやアヒルみたいな声を出してみましょう。


3.「鳥よせ」のふえをまねてみよう

 むかしは,メジロなどをつかまえてかっている人が,たくさんいました(今はメジロをつかまえるのは禁止されています)。野鳥を生けどりするために,ふえで鳥の声をまねて,鳥をおびきよせていました。そのふえと同じしくみで音の出るふえが,これです。

・ペットボトルのキャップを2個用意します。
・キャップのまん中に,直径2〜4mmの丸い穴をあけます。穴の形は,なるべくきれいな丸にします。



・これを向かい合わせて,3〜5mmぐらいのすき間をあけて,ビニールテープなどでつなぎます。



・つないだところから空気がもれないように,しっかりおさえます。



 これで,できあがり!
 そっとふくと,高い音が出ます。すうほうが,きれいな音が出るかもしれません。

 このふえ,どこかで見たことがありませんか?
 これと同じしくみで音が出る,「ふえラムネ」「ふえキャンディ」などがあるんです。

【でも,どうして?】(ちょっとくわしい説明)
 リコーダーは「鳥のように歌う楽器」と言う意味。確かに,リコーダーの音色は,鳥の声に似ています。「カッコウぶえ」「ウグイスぶえ」も,リコーダーと同じ,「エアリード」の原理で音を出しています。まっすぐに流れる空気を障害物にぶつけて,流れを分けてやるときに発生する振動が,その正体。
 一方,「カルガモぶえ」は,クラリネットのように,手元に音源となるリードを持ち,それをコップの共鳴で拡大,変化させています。ストローの先端部分が,息を吹き込むと,くっついたり離れたりして振動することで,音が発生しています。
 では,本物の鳥は,どうやって音を出しているのか?
 鳥の発声器官は「鳴管」と呼ばれるもので,肺のすぐ近くにあります。人の声帯は喉にありますから,かなり場所が違いますね。でも,基本的な音の出し方は,膜を振動させて出すと言う,同じ原理を使っています。笛の場合,音源のリードは1つの音しか出せず,管の長さや構造で,音に変化をつけていますが,人や鳥の場合,発声器官そのものの形を筋肉の力で変えて,音に変化をつけることが出来ます。似ているようで,似ていないんですね。
 鳥の声を真似た道具には,木と金属をこすり合わせて音を出す「バードコール」などもあります。
 こうした「まねっこ」の音は,人の耳には似ているように聞こえても,周波数分析をかけると,意外と似ていなかったりすることもあります。

 もともと,鳥の声を真似た笛と言うのは,狩猟のための「鳥寄せ」の道具でした。昔のバードウォッチャーにも,鳥寄せの技術を持っている人が少なくありませんでした。しかし最近ではバードウォッチング人口も増えているので,あまり「鳥寄せ」は行われません。鳥の声に似た音を出すと,他のバードウォッチャーの迷惑になったり,特に繁殖期には,野鳥の生態への影響も考えられますので,自然観察の場では,鳥笛はほとんど使われなくなっています。しかし鳥笛には,楽器としての面白さや,文化的背景にも興味深いものがあります。また,手作りの簡単な工作で,鳥のものまねが出来るのは楽しいことですし,音の出る原理が直感的にわかるので,科学実験としては面白いものが出来ます。そこで,音を出す科学実験に,「鳥のものまね」を加味して,楽しく演出できるようにアレンジしてみました。


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