お星さまは,ほんとうに「点」なの?

対象年齢:小学校高学年以上。
       宇宙や惑星のことを勉強している子なら,小学校中学年ぐらいでも大丈夫でしょう。


 都会では,なかなか星が見えない?いえいえ,町の中でも天体観測ができます。もちろん,暗い星を見るのは,ちょっと無理だけど,街の中でしかできない(?),おもしろい観測法を紹介しましょう。惑星は「点」ではなく,面積があることを,望遠鏡などを使わないで確かめてみるのです。


【用意するもの】
紙(なるべく黒っぽい紙)
星座早見盤
惑星の位置や明るさ,見かけの大きさなどがわかる,観測用のデータブック
(「天文年鑑」(誠文堂新光社)などが,コンパクトで便利)
あれば双眼鏡。

【観察しよう】
 まず,観測する惑星を決めます。木星か,地球に接近している時期の金星がいいでしょう。データブックで惑星の位置と,「視半径」をチェックします。視半径が20”を越える時期がいいでしょう。星座早見盤などを利用して,惑星の地平高度が,あんまり高くない時間を選びます。
 また,風の弱い,気流の安定した日のほうが観測しやすいでしょう。

 惑星は見つかりましたか?木星の見かけの直径(視直径)は40〜50”ぐらい,金星の視直径は,うんと地球に近づいているときには60”を越えます。理論上,視力が1.2か,それ以上あれば,木星は肉眼でも面積を持った円板状に見えるはずなのですが,ちょっとわかりにくいですね。
 そこで,建物のうしろに木星や金星がかくれる瞬間を観察してみます。
 星座早見盤で日周運動の方向を確かめて,もう少しで建物のうしろにかくれるかなぁ,と言う場所に立って,木星がかくれる瞬間を待ちます。かくれる瞬間は,片目で観測しましょう。
 もし,星が点状に見えるなら,一瞬でパッとかくれるはずです。
 面積を持っている星なら,じわっと暗くなって,見えなくなるはずです。
 星座を作っている恒星と,惑星の消え方をくらべてみましょう。

 ところが,私たちの目も,少し面積があります。
 恒星も,そんなにきれいに「パッ」と消えないこともあります。
 そんなときは,紙に0.5〜1mmぐらいの小さな穴をあけて,そこから星をのぞいてみましょう。

 ……どうですか? 面積のある,なしのちがい,わかりますか?

【でも,どうして?】(ちょっとくわしい説明)
 ふつう,恒星は点にしか見えない,と言います。
 星座を作る恒星の中ででいちばん明るい,おおいぬ座のシリウスでも,地球から光の速さで8.7年もかかるところにあります。シリウスの大きさは,太陽の2倍近くあるのですが,もし,シリウスの大きさが1円玉ぐらいで,東京タワーのてっぺんで輝いていたとしましょう。わたしたちはそれを,どのぐらい離れた場所で見ていることになると思いますか? ……正解は,岡山県。もし,木星が1円玉ぐらいの大きさだったら,わたしたちは,それを86m離れたところから見ている計算になります。
 つまり,恒星は惑星にくらべて,ずっと大きくても,とてつもなく遠い場所にあるので,点にしか見えない,と言うわけです。
 惑星は,とても身近な天体です。……と言っても,金星がいちばん近づいたときでさえ,光の速さで行っても2分ぐらいはかかります(ちなみに月までなら1.3秒)。

【もう少し観察してみよう】
 では,こんどは,木星や金星が,遠くの電線を横切る瞬間を観察してみましょう。太さ20mmの電線を使って,ひとみの面積を7mmとして計算すると,だいたい60mぐらい離れれば,電線の見かけの太さよりも,木星の見かけの直径のほうが大きくなります。このような条件で木星が電線のむこうを通過するのを観察すると,完全に光が消えることなく,通りすぎてゆきます。
 双眼鏡で惑星の面積を確認することもできます。倍率8倍ぐらいの双眼鏡で見ると,木星はかすかに面積を持った丸い星に見え,その近くにガリレオの発見した4大衛星が見えます。土星はわずかに細長く見えます。環が見えているのですね。金星は,地球に近づくにつれ,半月型〜三日月型へと形が変わり,大きく見えるようになります。

→「身近な自然で遊ぼう」目次へ
→Home