ペットボトルを使って(その3)

対象年齢:小学校低学年以上。小学生未満でも遊べますが,おとなの人が手伝ってあげてください。
       工作は刃物を使うので,小学生未満の子はおとなの人といっしょにやりましょう。
       外で遊ぶときは,小さい子はおとなといっしょにやりましょう。


 ペットボトルを利用した科学工作,いろいろありますが,子どもからおとなまで,人気の高かったものをひとつ,紹介します。
 投げて遊ぶ,簡単なオモチャですが,航空力学の知恵が詰まった,スグレモノです。
 室内でも遊べますが,完成したら,外に出て,広い場所で思い切り遊んでください。

【用意するもの】
・炭酸飲料のペットボトル。500mlでも1500mlでもかまいません。中央部がストレートなものを使います。
・カッター,はさみ,マーカー


【やってみよう】
 ペットボトルのまっすぐな所を使います。
 写真のように,切り取り線をマーカーで書きます。線を引くときは,線を引く高さでマーカーを固定して,ペットボトルを立てて,くるくる回しながらマーカーに当てて,線を引くようにすると,きれいに引けます。

    

 まん中の切りとり線は,2本書いておくと,切りやすい。

    

 こんなふうに,とりあえず,切り取り線よりも少し余裕をつけて切り出してから,もういちど,しっかり線に合わせて切ると,きれいに切れます。切り口がきたないと,バランスが悪くなって飛びにくくなったり,ケガをすることがあります。

 これで,500mlのペットボトルから長さ45mmぐらいのリングが2個作れます。
 1500mlのペットボトルだと,長さ70〜80mmぐらいのリング2個になります。



 さらに,リングの切り口の一方を波型に切って,翼にしてもいいでしょう。
 この翼は,作らなくてもだいじょうぶです。



 リングの前のほうにビニールテープを二重か三重に巻いて,「おもり」にします。

 これで,できあがり。
 赤いほうは翼つき,黄色いのはリングのまんまにしてあります。


【遊んでみよう】

 投げ方にちょっとコツがいります。

 まず,リングのうしろのほうをつかんで,


 ……回転させながら,おもりのあるほうを前に,まっすぐ投げ出します。

 うまく回転がかかって,まっすぐ飛び出すと,すーっと遠くまで飛んで行きます。ちょっと練習すれば,小学生でも50mぐらい飛ばすことができます。


【……でも,どうして?】(ちょっとくわしい説明)
 このオモチャ,私が初めて知ったのは,ペットボトルが普及する前(だから1980年頃かな…)。どこかの雑誌に,アルミの飲料缶の輪切りを作って飛ばす遊びが,アメリカの学生の間で自然発生的に流行った,と言うことで,ちらっと作り方も紹介されていました。これが空力的にも,とても理にかなった原理で飛ぶと言うことで,NASAもちょっと調べてコメントしていたのだとか……。
 時代は下って,21世紀。このコンセプトを受け継ぐオモチャは,アルミ缶からペットボトルへと素材を変え,科学工作教室などでも作られるようになり,子どもたちの「遊べる理科教材」として,あちこちで作られるようになりました。「Xジャイロ(X-zylo)」と言う名前の市販品も作られています。

 このオモチャが良く飛ぶ理由は,銃弾の飛ぶ原理やラグビーボールのロングパスなどと同じようなものです。回転を与えることで,姿勢が安定し,直進性が良くなり,揚力も得られます(詳しいことは省略します)。思いのほか良く飛ぶことの驚きと面白さを,ぜひ,味わってください。大人でも夢中になって遊べます。
 投げ方のコツがわかったら,次は,いろいろと改造して,良く飛ぶような工夫をしてみてはいかがでしょうか? また,小学生に作ってもらうときには,油性ペンで色をつけたり絵を書いたりして,自分だけのオリジナルデザインのものを作るのも,楽しいと思います。

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