夢の水上コテージ
蚊の襲撃に遭う
チェックダイブって
とっても綺麗なバナナリーフ
リゾートで使った娯楽施設
そしてダイビング三昧の日々
まさに悪魔の
ダイビングサービスのカラー
お買い物ツアー
水上コテージの下は
またいつの日か
新婚旅行である。2人ともダイバーである。やっぱり、南の島である。
モルディブならば長期滞在も楽しい旅になるだろうということで、11日間、ゴールデンウイークと会社の公休を利用して行ってきました。
ご存知の通り、モルディブは大小様々な島が集まって出来ている共和国。
国際空港のあるマーレから、スピードボート(約40人乗り)でそれぞれのリゾートまでひとっ飛び!とはいかないまでも、15分くらい揺られて、9日間ステイするパラダイス・アイランドに到着した。
早速、お部屋のチェック!といいたいところだが、当日は既に深夜であったし、飛行機に長い間乗っていたせいか2人ともかなり疲れていたので、その日は素直にベッドに潜りこんだ。
モルディブでの2日目、出発前に知り合いから雨期だと知らされていたゆりちゃんの心配とは裏腹に、モルディブの朝日は眩しかった。
部屋の周りを見渡してみる。
外観も白を基調にしているのだが、中も病院と見間違うのばかりの白一色。
天井も白だが、空気を循環させるためのファン(大きな扇風機みたいなもの)があり、壁には印象派(ちょっと地味)チックな絵が飾られている。
海外のニュース番組も映るリモコン付きのテレビ(フィリップス社製)、日本から持ちこんだ2リットルの六甲の水もすっぽり入る冷蔵庫。
クローゼットの下段には、電子式のセーフティBOX。大きな鏡のドレッサーもあれば、ベッドもゆったりサイズのセミダブル。
それでは、水周りもチェックに行こう。
うひゃーっ!とっても広い。水の出はとってもいいし、たっぷり余裕のバスタブがでんと構えていて、トイレも清潔感を漂わせている。
アメニティグッズも、歯磨きセット/シャンプー/リンス/石鹸が揃っており、ここが南国の片田舎か(失礼)と思わせるほどの充実ぶり。
テラスを望むと、あたり一面白色の砂に照らされた海が広がっている。器材を干したらがあっという間に乾きそうだ。
でも、直射日光をあてるとシリコンゴム製のマスクなどは、すぐ変色してしまうので気をつけないと。
お腹も空いたことだし、朝食でも行きますか。
全食付きのツアーだったので、朝食はメインレストランで摂ることになる。
水上コテージから桟橋を通って2分ほど歩くと、開放的なメインレストランにご到着。
ミールクーポンを手渡し、ビュッフェ形式のメニューを一通り見終わった後、比較的外側のテーブルに落ち着くと、担当を争っている(内部ではどうやら順番を決めているようだ)ボーイが近寄ってきた。
ゆりちゃんの椅子を引いてくれたそのボーイは、身長が160cm位だろうか、大きな目をした童顔?の青年であった。
ここではチップは飲食代に含まれず、私達は毎度の食事時にチップを払うのも面倒なので、最終日に封筒に入れて手渡したが、彼も中身を見るまでは、それがチップであることに気がつかず、結構驚いていたっけ。
どうやら、モーニングコーヒーは朝食に含まれるらしい。私達はコーヒーを注文した。
これがとって美味しかった。スリランカが近いため、てっきり紅茶がいいのかと思っていたが、結局コーヒーで通してしまう。
早速、朝食を取りにビュッフェコーナーへ足早に向かう。
目玉はオムレツのようだ。トッピングが10数種あり、何にも言わないとタマゴ2個を使って作るのだが、女性は1個で十分のようである。
ゆりちゃんも途中から1個にしていた。
メニューはやはり香辛料が効いているカレーの類が多い。ホワイトクリームの鶏肉や、マグロの炒め焼きなどが美味しく頂けたが、牛肉/豚肉の類は置いていなかった。
(イタリアン系のレストランにはあったように思う、なんせ全てメインレストランで食事を済ませてしまったもので...)
メニューに春巻きが入っていたときもあるが、どうやら宿泊客の構成で変えているらしい。
後半は中国人系が多いかったため、ちょっぴり中華が混じっていた。
とっても幸せだったのは、デザート類が豊富にあったことだ。なんせ2人でケーキバイキングに行くような甘党なので、リゾートでは半ばあきらめていたのだが。
ただ、アイスクリームはとっても甘かった。アメリカのお菓子に匹敵するくらいだ。
暑くてすぐ溶けてしまうため、翌日からは手を出さなくなった。
いつも思うのだが、バイキングだと思うと本当に全部食えるのかなと思えるほど取ってきてしまう。
デザート用に別の皿も用意して、テーブルに付き朝食を食べようと思った瞬間、足に異常なかゆみが襲うのであった。
「蚊、蚊だ!」
リゾート気分が一気に衰退して行くのを感じる。ゆりちゃんはすかさずウナコーワを何気に取り出した。
「南の島へ行くには必需品よね」
確かにそうか知れない、でもなぜウナコーワなのだ。
「ね、ゆりちゃん。虫除けスプレーは?」
私が聞くと彼女はこう答えた。
「海の上だし、蚊がいるとは思わなかったから、持ってきてないよ」
かくして、いかに食事を早く済ませるかが、この後の課題となった。
3日目の朝、待ちに待ったモルディブでのダイビングである。初回の1ダイブ目はどんなベテランダイバー(ランクも関係無し)でも浅瀬でのチェックダイブが待っている。
水上コテージからホテル中心部を渡って、反対側の桟橋を機材を担いで5分位歩いただろうか、ダイビングサービスらしき建物が見えてきた。
早速、ダイビングの手続きをする。チェックダイブは10:00からとのことで、暫くベンチに座って待っていることとする。
日本人ダイバーは余りいないようだ。一緒の便で来たベテランぽい夫婦と若い女性2人組みくらいで、ヨーロッパ系の人々が後からどんどん入ってくる。
予定時刻を過ぎること10:30、ようやくチェックダイブの始まりである。
ドイツ人の女性ガイドが英語で説明を始めると、どうやらロープ伝いで浅瀬を泳ぎ、少し深くなったところでマスククリアとレギュレータリカバリーをやるらしい。
桟橋から望むハウスリーフは、白砂を巻き上げているせいか少々濁っているようだ。
器材をセッテイング後、タンクを背負って2人でセーフティチェック。階段から海に入り、チェックダイブのスタートとなった。
透明度は1メートル、はっきり言って先行している人のフィンもよく見えない。
なるほど、ロープを張っているのはこういう理由からなのかと考えて進んで行くと、ガイドにマスククリアの指示を促された。
しかし、上体を起こすと頭が出そうな水深である。ゆりちゃんも、度の入ったマスクを使わずコンタクトを付けて潜っているため、マスククリアは目をつぶってやらなければならない。
(予め、その旨をガイドに伝えたのだが、目つぶってやれば大丈夫といわれたらしい)
しばらくもたついていると、ガイドはOKサインを出して深場へと進んで行った。
「チェックダイブつったって、何もチェックしていないじゃん」
かくして、透明度1メートルの世界から20メートルへと海は見事に変貌していく。
2本目のダイブは、ボートでのダイビング。ポイントはバナナリーフである。
サービスで使用するボートは全部で3隻あり、ポイント/ダイバーのスキルで分かれるらしい。
いよいよ、カメラを持ってのダイビング。いやがうえでも気持ちが高揚していくのが分かる。
ボートからのバックロールエントリー。がしかし、カメラを後から手渡してくれるスタッフがいない。
仕方が無く、自分でカメラを持ってのエントリーとなった。
海が青い、青みに深みがあるとでもいうのであろうか、バナナリーフはどこまでも深く棚が落ちて行くようだ。
20メートル前後をキープしていくと、待ってましたとナポレオン。しかも体長は1メートル以上はあろうかという大物である。
大きな目をぎょろつかせて、進行方向に一緒についてくる。
どうやら、ガイドが手を軽く握って細かく動かすことにより、エサ(タマゴが大好物らしい)を持っているように見せかけているようだ。
私もやってみることにした。どうやら、それにつられたらしく、こちらに視線を動かしてやって来るではないか。
すかさず、露出を合わせて撮影に成功。
次はモンガラカワハギをゲット。ハタタテハゼ、クマノミなどのマクロ系もイソギンチャクや岩場の影に潜んでいる、まさに被写体の宝庫。
チェックダイブのうっぷんを晴らして余りのある、楽しいダイブであった。
ランチをホテルで頂いて、1日2本のボートダイブが基本のスタイルなので、必然と時間は余るのである。
起きて、食って、潜って、食って、昼寝して、潜って、うたた寝して、食って、寝るという生活も魅力的ではあるのだが、いかんせん体もなまるし、帰ってからの日常生活復帰に時間がかかってしまう。
ダイビング意外にお金をかけたくない私達は、料金0の娯楽を発見した。
ピンポン、またの名を卓球と呼ぶ。
2面ある卓球台は、係りのお兄ちゃんに一言言えば、周りの目が冷たくなるまでは使いたい放題である。
朝食後、昼食後のひとときに、食べ過ぎて重たくなった体を気遣っていた私達にとって、絶好のスポーツ施設であった。
両面打ち用と、通常スタイルのラケット、ピンポン玉はオレンジ色であったろうか、2人とも別に卓球部に所属したことはないのだが、テニス歴はちょっとしたものなので、すぐ順応してしまい結構熱いバトルを繰り広げていた。
係りのお兄ちゃんも、女性ひとりで遊びに来ている人の相手などをしているのは見ていたが、こちらの熱戦に熱いまなざしを送っているのが感じられ、この辺が潮時かと思い汗がにじんだ額を拭いながら、コテージへと足早に帰った。
他にもテニス、スポーツジム、水上バイク、ウインドサーフィンなど一通りのアミューズメントがあったのであるが、全て有料であったため、私達は利用しなかった。
モルディブに到着するまでの計画では、2日潜って1日休みを挟むというものであったが、こんな綺麗な海に潜らないでどうするという貧乏根性と、どうせ暇を弄ぶだけだという懸念から、結局はダイビング三昧という日々を送ることとなる。
朝食を済ませて、ダイビングサービスに水中カメラと着替えだけの軽装(2日目以降はサービスにある倉庫が使用できる。安全面に疑問が残るが)で桟橋を歩き、サービスの壁に打ち付けられている掲示板をふっと見ると、1本目がKakulu East、2本目がManta Pointと書いてあった。
お気に入りのバナナリーフは残念ながら最初の日しか潜れなかった。どうやら同じポイントよりは、色々なところへ連れて行くほうがいいと考えているようだ。
「マンタポイント?マンタに会えるのかな?」
3隻のボートにみんなが振り分けられて乗り込んで行く。
2本目に潜ったのバナナリーフでは日本人女性のちひろさん(PADIのMI)がガイドであった。以降5本目までは同じく日本人のとしこさん、残り12本目までドイツ人男性ガイドのJerryと同じく女性ガイドの??(サインが貰えなかった)。
マンタポイントでのダイブは、結局のところマンタが出てくれなかった。
よく現れるるナポレオンは、皆に飽きられてフィンに蹴飛ばされそうになっていた。
日本人ダイバーは短期滞在のためか、はたまたスキル不足であると見なされているのか、ガイドは日本人スタッフが付いて、ポイントも同じところを潜るようである。
私達はどうやらスキルに問題が無い(人間性に問題あり?)と認められたのかどうか、どんどん潮流の強いポイントに押しやられて行った。
一緒の便で来たベテランダイバーぽい夫婦も同じ船に乗っている。
外国人ガイドとのコミュニケーションに不安を覚えながら、恐怖のポイントへと向かうのであった。
今日の2本目のポイントを確認しに掲示板へと急ぐと、ポイント名はデビルズコーナー。
「悪魔の曲がり角?」
なんてえ名前付けるんだと内心思いながら、ボートに案内される。
ポイントが近づいてくると、船上で掲示板片手にガイドがブリーフィングを行う。
言葉の端々に潮流が強いと言っているようだ。
いつもの調子で潜水時間のMAXが1時間、タンク圧が70になったら教えてくれとのアバウトな潜水計画。
「最大深度は?」
私がそう聞き返すと、30メートルとにっこり笑って答えてくれた。
ホイールを使ってマルチレベルダイビングで潜水計画を立てても、ガイドと同行した場合、減圧不要ダイビングに入りきらない状態もあった。
私達2人は水中でホイールを引きなおして、どうにか減圧不要ダイビングを実施していたが、他の人たちはガイドと共に深い深度を潜っていた。
今回もそんな調子なのだろうと思いつつ、ボートのへりに腰掛けて水中カメラ片手にエントリー準備に入ると、ボートスタッフが大きな目を見開いて、手振りを交えながら話し掛けているではないか。
「このポイントにカメラを持って行くのかい、そりゃ大変だ!」
言葉の端々を聞き取りながら、ボディランゲージから察するに、こう言っていたようである。
潮流があるっていったって、パラオのブルーコーナー程ではあるまい。(横を向くとマスクが持って行かれそうになった)
かくして、総勢約10名のパーティーが潮の暗い海に潜行していった。
ドリフトダイビングだとは言っていたが、まさかあんなに早い潮流に向かって進んで行くとは思いもしなかった。
先へ進めば進むほど、流れは速くなり深度も深くなっていく。
私達と10メートル以上は離れていただろうか、視線を下に向けると棚の上を這っていくように、彼らが進んで行くのが見えた。
フィンキック全開でもなかなか前へは進まなくなり、ゆりちゃんはというと、切り立った棚に手をかけて鯉のぼり状態で休息を摂っている。
心配になって近寄り、残圧計を覗いてみると80前後を指していた。私も同じくらいである。
(通常であれば、アメ車並に大食らいの私は、ゆりちゃんと30近い差が出る)
ようやく折り返し地点に到達したらしく、他のダイバーたちが反転を開始し始めた。
私が見ている限り、30メートル以深には魚らしき姿は見えなかったように思う。
かれらは、ひたすら暗い潮の中を歩伏前進していたようだ。
帰りはあっという間である。流れに身を任せて今まで来た道をかなりのスピードで戻って行った。
残圧計はレッドゾーンを指していた。
彼らはなかなか深度を上げてこなかったため、アイコンタクトを送ってガイドに浮上のサインを出すと、私達はBCのポケットに忍ばせておいたフロートを取り出して、水面に浮上した。
周りを見渡してみる。島は見えるのだが船がいない。
「ドリフトなのに追尾していないのか...」
右足にフロートを立てた状態でしばらく待っていると、一緒に潜った日本人男性ダイバーが2人浮上してきた。
フロートは持っていないようである。遠慮している様子が伺えて、こちらに寄るか寄らぬか相談している様子。
海外へ行く場合は必ずフロートは携帯したほうが良い。ほかにも鏡や笛、蛍光塗料などがあるが最低限フロートは持って行きたいものだ。
遠くから銃声が聞こえてくる。ここはどうやら海上警察か軍事施設があるらしい。島に立っている建物も物々しい感じだ。
心なしか銃声の方向がこちらのほうに向いているような錯覚を覚えた。いや、音の流れる方向から察するとそれもあながち間違いじゃないかもしれない。
その後10分ほど経っただろうか、ようやくパーティー本体が浮上してきた。
あの深度で60分?やっぱり減圧不要潜水とは言いがたい。
私達は水面移動して、パーティーに合流した。
荒波にもまれること20分位だろうか、ようやくボートがやってきて私達を引き上げてくれた。
水面休息中、ボートで上がった後もパーティー内は疲労としらけたムードが漂っていた。
どうも、私達が早く浮上したため、合流時間が狂ってしまったらしい。
少々罰が悪かったため、片言の英語で水面休息を長々としてしまって申し訳ないと伝えようとしたのだが、煙草が欲しいのかと切り返されまったく通じない様子。
業を煮やしたゆりちゃんが、ボディランゲージを駆使してこう叫ぶのだった。
「We are not air...Up Sorry!」
すると、ヨーロッ系男性は、小首をかしげた後、大きくうなずきこう答えた。
[Oh! Don't Mind」
結構通じるものである。
潮流の強いドリフトダイビングの場合は、パーティー全体で行動を共にするのが原則であると思う。
しかし、ボートに浮上してきた彼らの残圧計は10無かったし、潜水計画もあったものじゃない。
色々な団体があり、ルールが混在する中、それぞれのダイバーの要求全てを満たすことは出来ないとは思うが、ガイドはあくまで水先案内人、自分の安全は自分で守るという意識がリゾートダイブでは必要であると、改めて再認識させられたダイブとして、私の頭の中に強く残っている。
当初いたスタッフの内訳はこうである。
名前 | 国籍 | 性別 | 団体(ランク) | 備考 |
---|---|---|---|---|
チヒロさん | 日本 | 女性 | PADI(MI) | 湘南付近のショップから流れ着いたようだ。 ちょっと気が強そう。 |
トシコさん | 日本 | 女性 | PADI(OWSI) | 現地スタッフと結婚しているようで、朝食事に2人でいるところを目撃した。 かなり面倒見がいい人。 |
Jerry | アメリカ? | 男性 | PADI | 物静かで紳士的なダイバーだと思う。 |
Saskia | ドイツ | 女性 | PADI | はっきり言って怖い。リーダー格と思われる。 |
? | ? | 男性 | ? | 正体不明。(一回もガイドとして同行するチャンスがなかった) |
PADIの5STARダイブセンターであるDelphis Diving Centersは、平均3隻のボートを駆使して午前中1本潜り、リゾートへ帰って昼食を摂った後に、午後1本潜るスタイルをとっている。
ナイトダイビングもオプションでやっていたようだが、私達は利用していないのでコメントは割愛する。
10ボートダイビングでディスカウント価格を設定しており、長期ダイビング時にはお得である。
チップは全てボートダイビングフィーに含まれているため、わずらわしさは無い。募金箱(スタッフに感謝の意味を込めて入れる箱)のようなものがカウンター横に設置されていたが、中に入れている人は見かけなかった。
基本的にガイドは水先案内人と割り切っているようだ。あそこで見た魚は何?という問いかけに満足に答えられなかったところを見ると、余り魚の生態には興味がないらしい。
潜水計画はアバウトなので、ホイールを持っている方は水中でマルチを引けるようになっていれば安全である。
ホイールを持っていない場合は、最大深度を計画に合わせてキープするか、ガイドの深度より5メートル浮上することを心がけることをお勧めする。(ケース・バイ・ケースであるが)
天国のようなダイビング三昧の生活も残りあと僅か。2日後には、俗な世界へ舞い戻らなければならない。
仕事も、忙しいさなかに長期有給休暇を取ってしまったし、友達や家族へもお土産を忘れずに買っておかなければ。
ホテルのオプショナルツアーに、マーレでのお買い物ツアーがあるのをロビーでのポスターで見つけていた私達は、早めにフロントにて予約を入れていた。
当日は怪しい雲行きで、遠くのほうに暗雲がたちふさがっている。
ダイビング中はスコールはあっても殆ど快晴であった。雨期も吹き飛ばす私達だが、伊豆にくる台風だけは防ぎ様が無い。
スピードボートでは15分の道のりが、通常のボート(ダイビングで使うものと型は一緒)で40分程かかって本島に到着した。
いざ発着場に船をつけようとすると、各方面から来ている船が所狭しとならんでおり、どうにも押し込めそうに無い。
ふっと、視線をそらすとたいそう立派な発着場が目にとまった。
方向転換を始めたのでてっきりそこへ着けるけるのかと思いきや、既に停泊中の船の横にお願いしてとめてもらうのだった。
あとから聞いた話では、立派なつくりの発着場は大統領専用のもので、民間人は使えないとの事。
ほんと、大統領はどこへ行っても特権階級ですなあ。
あやしい現地ガイドが2人、お買い物ツアーご一行(約20名程)を率いて市内を引きずりまわして行くことになる。
大統領官邸と留置場が町の中心にあるらしい。高台には鉄柵が張ってあり警官らしき人たちが町を監視している様子だ。
国立公園(植物、動物園がセットになっている)にガイドが入ろうとする。
ちょっとまて、ここは有料じゃないのか?それでもガイドは進もうとしている。
どうやら皆只ではないと気づくと、門をくぐらず引き返して行った。日本人はそんなに寛大ではないのである。
次に市場へと足を向ける。
建設中の工事現場に差しかかったときに、若そうな作業員たちが冷やかし半分で何か言っているようだ。
はっきりいって、2列縦隊の御一行は新婚さんが多いようで(私たちもそうであったが)、手をつないで歩いていたり腕を組んだりしていたので、からかわれたのか知らないが、ちょっと悪意のある表情であった。
日本人はここでもよく思われていないのか?
市場の中では、せりにかけられる魚が所狭しと並べられていた。
カジキマグロのでかい奴や、ひかりものが沢山あった。
値段も飛びきり安く、なるほどホテルで出ていたマグロ系の魚も美味しいわけである。
マーケットでは果物を中心にプレハブ小屋のような建物の中に、商品が陳列されていた。
ちょっと、衛生面に問題がありそうなので見るだけ見て早々に立ち去った。
1時間ほど引きずり回されたであろうか、喉はカラカラ、未舗装の道路もあるので足の裏も痛くなってきた。
ようやくお目当てのお土産屋に到着、が入ったら最後、ここで買えというガイドのお言葉。
冷たいジュースは如何がなどとご機嫌を取った後に、わらで出来た籠を手渡されて、お買い物タイムの始まり始まり。
とりあえず、Tシャツコーナーを覗いて見る。すると、値札にはどこの通貨とも分からない数字が書いてあった。
どうやら、現地通貨でも米ドルでも円でもなく、そのポイントの合計で最後にドンブリ勘定の値段が提示されるらしい。
交渉次第では大幅値引きも可とのこと。結局客を見てレートを変えているだけじゃないのか。
一通りあさった後に、籠一杯になったお土産をレジに持っていき、交渉タイムの始まりである。
むこうが提示してきたのは480ドル。(Tシャツ中心なので大幅値引きが出来ないと抜かしやがった)
ゆりちゃんは400ドルを提示。(私は内心450ドル位になると思っていたので、この提示にはびっくり)
結局、430ドルに落ち着いた。
その後、違うリゾートホテルから来た日本人観光客が入れ替わりやって来た。
私たちは結構最後まで残っていたため、次のお客たちとレジとの攻防の一部始終を見ることが出来た。
買い物を終えたカップル(新婚さんであった)が、こう言ったのを今も覚えている。
「安いわよね、Tシャツ1枚で約3,000円くらいで買えたんだから」
私たちは1枚2,000円以内で押さえた。どうやらリゾートのランクでレートを変えてるらしい。くわばらくわばら。
予感が的中し、帰りは嵐の中の帰宅となった。
雷が轟き、雨は容赦無くたたきつける。ちょっとしたボートピープル状態だ。
ホテルへ到着する頃には雨も上がってきて、ダイビングとは趣の違うボートでのお買い物情景でも写真に撮りたくなった。
昼食を摂ってコテージに戻ってくると、子連れの夫婦がパンをちぎって水面に投げている。
その先を見ると、結構魚が寄ってきて思わぬご馳走にあやかっているのを目撃した。
最終日、体に溜まった窒素を抜くためダイビングはもうおしまい。
海岸をぶらつくも、うだるような熱さと太陽の光に照らされて、とてもじゃないが長居する気になれない。
「シュノーケリングでもやってみるか」
水上コテージの後ろに回ると、テラスの横に海へ下りる階段が姿をあらわした。
水着に3点セットを装着する。おっと水中カメラも忘れずに持って行かないと。
パンが飛び交う生け簀状態の桟橋付近に、とりあえず行ってみることにした。
トゲチョウチョウウオ、ダツ、ヘラヤガラ、コバンアジ、ハコフグ、ニセゴイシウツボ、ゴマモンガラ、ムラサメモンガラ、イシヨウジ、シマハギ。
おいおい、なんでこんなに多くの種類が見られるの、水深2メートルで。
ガーンときた。もっと早くから気がついていれば。
しばらく写真を撮っていると、ゆりちゃんが何時の間にやら姿を消していた。
水面に顔を出すと、桟橋に人が数人立っていた。こちらを見てなにか言いたげな様子。
仕方なく裏に回って探すことにする。
するとどうであろうか、サンゴが一面に点在しており、そこにはミスジリュウキュウスズメダイの幼魚が泳いでいるではないか。
撮影に勤しんでいると、足を引っ張られる感覚を覚えた。どうやら、ゆりちゃんのようである。
結局シャッターが押せなくなるまでシュノーケリングを堪能した。
ダイビングに明け暮れて、シュノーケリングをせずに昼寝ばかりしていたことをちょっぴり後悔した。
ゆりちゃんにとっては初のリゾートダイブ、私にとってはパラオ、沖縄に続いて3度目のリゾートダイブであったが、モルディブでの9日間は現実の生活から離れて、潜る・食べる・寝ることしか頭に無い、至福のひとときであった。
サービスに散々悪態を申し上げたが、それぞれにカラーがあってしかるべきだし、リゾートであればその体質もわからなくはない。
全ては自己責任の世界なのである。
ダイビングは至極安全に快適に楽しむためには、普段からの意識や鍛錬が物を言うと思った。
リゾートでのダイビングにふと疑問を抱いたら、このレポートを思い出して頂けたら幸いである。
今度モルディブに行く機会があれば、オルベリを利用したいと思っている。
ゆりちゃん、どんなもんでしょうかねえ?