APRS using Soundmodem_9k6 (FCD + SDR#)



● (No.798) APRS using Soundmodem_9k6 (FCD + SDR#) (2013年6月15日)
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M-Cubed関連付け実験(My_HP No.794) では、内部信号で実験をしてきましたが、
初めて外部信号の地上デジピーター 144.640MHzを、Soundmodem_9k6 で受信して
みました。この周波数は日本では全国共通の APRS 9600bps データ通信用に設定
されています。運用周波数は、世界の地域によって次のように異なっています。
http://aprs.xii.jp/aprs/frequency.html

 日本             144.640MHz 9600bps GMSK
                   144.660MHz 1200bps AFSK
                   431.040MHz 1200bps AFSK
                   431.090MHz 9600bps GMSK

 北米             144.390MHz
 欧州             144.800MHz
 オーストラリア   145.175MHz
 ニュージーランド 144.575MHz
 アルゼンチン     144.930MHz
 ブラジル         145.570MHz


下図のように、日本では 9600bpsデジピーターの SSID は -2 となっています。
調べてみると、他の SSID は次のように定義されています。(C)KENWOOD

  -0 : 固定局(常置場所)で、メッセージ交換が可能な局
  -1 : デジピーター、移動局、気象局など
       (日本では一般的に 1200bps 狭中域用 デジピーター)
  -2 : デジピーター、移動局、気象局など
       (日本では一般的に 9600bps 狭中域/広域用デジピーター)
  -3 : デジピーター、移動局、気象局など
       (日本では一般的に 1200bps 広域用 デジピーター)
  -4 : デジピーター、移動局、気象局など
  -5 : 携帯機器(スマートフォンなど)による運用
  -6 : 衛星通信、各種イベントなどの特別な運用
  -7 : 徒歩、自転車、スキーなど自力で移動する、メッセージ交換が
       可能な局 (バス、電車などでの移動も含む)
       通常は TH-D7 や TH-D72 などハンディー機での運用
  -8 : ヨットや客船などの海上移動局、キャンピングカーなどの
       陸上移動局
  -9 : 乗用車、オートバイなどで、メッセージ交換が可能なモービル局
       ハンディー機を使用した場合でもモービルでの運用は -9 を使用
 -10 : IGate局や、インターネット接続運用局
 -11 : 気球、飛行機、宇宙船など
 -12 : 1-WAY のトラッカー機器など、メッセージ交換のできない
       片方向通信デバイスを利用する局
 -13 : 気象局
 -14 : トラックでのモービル局
 -15 : デジピーター、移動局、気象局など

 


More details,
 http://www.aprs.org/
 http://www.aprs.org/aprs11/SSIDs.txt
 http://www.aprs-is.net/
 http://www.asahi-net.or.jp/~ei7m-wkt/numbr677.htm


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さらに、この保存した地上 APRS_9600bps信号を使って、Soundmodem_9k6(0.10b)
と MixW(3.1.1) のソフトにより同時再生をしてデコード率を比較してみました。

 受信日時:2013年6月15日 07:51〜08:06JST
 アンテナ:北方向
 周 波 数:144.640MHz FM, 9600bps GMSK
 DCD 設定:DCD threshold 5
 再生結果:Soundmodem_9k6 ... 16個
      MixW ............. 49個

設定未調整の箇所があると思いますが、今回の受信解読実験では圧倒的に MixW
の勝ちという結果になりました。なお、画像に見えた Mt.AKAGI という単語から、
ここ横浜から 130km離れた群馬県赤城山の信号が聞こえていたことがわかります。


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g3ruh_sm.ini にある "NRMonitorLines" の初期設定値は NRMonitorLines=50 と
なっています。「これを大きな値にせよ。」という Soundmodem_9k6 作者からの
助言がありました。そこで思い切って、"NRMonitorLines=1000" として先の保存
ファイルを再生してみると、Soundmodem_9k6 で 16個だった解読数が一気に47個
に増大しました。これで MixW の解読数にほぼ匹敵し、互角の勝負となりました。

 受信日時:2013年6月15日 07:51〜08:06JST
 アンテナ:北方向
 周 波 数:144.640MHz FM, 9600bps GMSK
 DCD 設定:DCD threshold 5
 再生結果:SCM_9k6(Ver0.10b) ... 47個
      MixW(Ver3.1.1) ...... 49個

昨日保存の aprs_9k6.wav の Soundmodem_9k6 への入力レベルを減ずること及び
設定を微調整することで、解読数49個の最高記録を樹立しました。1回の再生に
15分掛かるので、何回も再生実験するのは忍の一字です。今のところ50個の大台
にはどうしても乗せることができません。

 1. Sound Recoder -> Open -> aprs_9k6.wav
 2. Sound Recoder -> Effects -> Decrease Volume (Press 5 times)
 3. Soundmodem_9k6 -> Settings -> Modems -> LPF2_Width=9500


GS said:
> I mean recording level. Look at the screenshot, there you see cut off
> the top of a sine wave. Try to reduce recording level, just the signal
> will be without hard limit. I guess it will improve the dynamics.

 


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M-Cubed衛星の直近受信ファイル mc0612.wav (Received by JA0CAW, 12Jun2013)
を、Soundmodem_9k6 にかけてみました。 デフォルトではデコードできなかった
のですが、LPF1 Width=7000 として何度も再現できました。LPF はフィルターの
意味なのですが、LPF1 と LPF2 の違いがわからなかったので 作者に問い合わせ
をしました。LPFフィルターの概念は次のようになります。LPF1, LPF2 の両方の
設定値をいろいろ変えて実験してみる必要があるようです。

 


Subject: Re: Soundmodem_9k6 LPF
From: Andrei Kopanchuk
Date: Mon, 17 Jun 2013 15:44:04 +0400

Hello Mineo!

This is structure of the RX-part of the modem:

Input signal -> LPF1 -> DC offset corrector -> AGC -> Limiter -> LPF2 -> ATC -> AX.25 Decoder

[DC offset corrector: 直流成分補正, AGC: 自動ゲイン制御,
                       Limiter: 出力制御,  ATC: 自動閾値(しきいち)制御]

I guess in some cases, for different values of LPF, the ATC (Automatic Threshold Control)
block may return different values of the bit. That may happens when noise level is high.

17 Jun 2013, 19:53 +09:00 from Mineo Wakita:
> Hello Andrei,
> 
> I tried to decode 9k6 signal of M-Cubed satellite using
> a wav file which was received by JA0CAW on 12 Jun 2013.
> I could decode it setting LPF1 Width=7000 only in SCM_9k6.
> 
> Well, I don't know the difference between LPF1 and LPF2,
> I want to ask you a question about it.
> 
> JE9PEL, Mineo Wakita
  -- 
Andrei Kopanchuk

 
[補足1]

SDR# の現行バージョン(Ver1.0.0.1327) の install.bat によるインストールが
Windows_XP上でうまくいかず半分諦めていましたが、これを強制的に手動でイン
ストールすることができました。DOS_プロンプト上に表示されるエラーメッセー
ジを参考に、そこに表示のアドレスをブラウザのアドレス欄に各々直接入力して
次のファイルを SDR#_HP、他のサイトから直接ダウンロードし、これらを PC の
同じフォルダ内に全て解凍します。sdr-nightly.zip の中にある SDRSharp.exe
が、SDR# 本体です。

 sdr-nightly.zip, sdr-nightly-rtlsdr.zip, RelWithDebInfo.zip
 adsbsharp.zip, zadig_xp_2.1.0.exe, zadig_2.1.0.exe(for Vista/7)

APRS_1k2,9k6信号を受信する際、My_FCD の個体差により、144,431帯のそれぞれ
の周波数に -13kHz,-39kHzの誤差があるので、FCD の Shift欄に その値を設定
します。(PPM値の設定を設定すると、Shift値の設定は必要ない。[補足2]参照)


 前Ver1.0.0.1000
   

 現Ver1.0.0.1327
   

 
[補足2]

周波数補正に関する PPM について調べてみました。(>Tnx. JH4XSY/1, JA5FNX)
http://bun.dokidoki.ne.jp/xoops/modules/weblog/details.php?blog_id=626

PPM = Parts Per Million のことで、周波数の変動値が 100万分のいくらなのか
を表す周波数補正値のことです。つまり、

  周波数補正値 PPM=(1−(真の周波数/読み取り周波数))x100万 です。

SDR# - Configureボタンを押すと、Frequency correction(ppm) のデフォルト値
は -21.0 となっています。ここを、FCD個体差による PPM値を計算して変更入力
します。事前に、APRS周波数を使って計算してみました。

144MHz帯では、真値 144.660MHz に対して読み取り値は 144.647MHz だったので

  PPM=(1-(144.660/144.647))*1000000=-90

430MHz帯では、真値 431.040MHz に対して読み取り値は 431.001MHz だったので

  PPM=(1-(431.040/431.001))*1000000=-90

真値と読み取り値は周波数によって比例関係にあるので、計算は一回で良かった
のでした。結局、自局FCDの PPM値は理論上は -90 となりましたが、実際に地上
APRS周波数を受信して調整してみると PPM=-111 でピッタリでした。読み取り値
に誤差があったものと思われます。(※誤差ではないです! 初期値 -21.0 から
 -90 とすると、-21.0-90.0=-111.0 となります。)

この値 -111.0 を、SDR# - Configure - Frequency correction(ppm)の欄に設定
することで、Shift値を入力する必要がないということがわかりました。(下図)

  

    


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