H-IIA F17 打ち上げ成功


● (No.667) H-IIA F17 打ち上げ成功 (2010年5月21日)
 -------------------------------------------------

PLANET-C, IKAROS, UNITEC-1, Negai☆", Waseda-SAT2 を載せた H-IIA ロケットは
2010年5月21日 06:58:22JST、JAXA種子島宇宙センターから打ち上げに成功しました。



(C) JAXA, 06:15JST 21May2010 打ち上げ直前の種子島宇宙センター。 写真右端にロケット射場。




(C) JAXA, 06:52JST 21May2010




(C) JAXA, 06:59JST 21May2010




(C) Space Track


Satellite     Downlink   Beacon     Mode                Callsign
-----------   --------   --------   -----------------   --------
UNITEC-1      5840.000   5840.000   1200bps AFSK,CW     JQ1ZUN
Negai*"        437.305    437.305   1200bps AFSK,CW     JQ1ZEX
Waseda-SAT2    437.485    437.485   1200bps PCMFSK,CW   WASEDA



Negai☆", Waseda-SAT2, UNITEC-1 管制局第一声

UNITEC-1 正式報告 2010年5月21日の朝 6:58 に H-IIA に打ち上げられました UNITEC-1 は、 無事ロケットから分離し、金星に向かう軌道に投入されました。 愛称も「しんえん(深遠・深縁)」と命名されました。(下記補足) UNISEC の 21大学での共同開発でしたが、運用も多くの局の 共同作業でした。21日の日本から可視になる最初のパス内の 16:39 に UNITEC-1 からのCW電波が無事取れ、約9時間の日本からの可視のパスで、 都合9回(約1時間間隔)の運用を行い、たくさんのデータが取れました。 多少周波数が不安定なところもありましたが、1と0をコーディングした CW信号が受信でき、搭載した 6大学の UOBC の健全状態を解読できそうな データが取れ、現在、学生さんの解読チームの成果待ちです。 勝浦局(JAXAからの借用)、山口大(藤沢先生に無理言って参加いただき ました)、和歌山大、東北大、愛知工大、香川大、そしてできたての2.4m アンテナを使った九大の皆さん(抜けはないかな?)が待ち構えてくれて います。アマチュア無線の皆さんも橋本さん、小黒さんはじめ たくさんご協力いただいています。ありがたいです。 深宇宙機の運用は始めての経験でしたが、地球周回と違った経験でした。 衛星は慣性空間のある方向に向かって直線運動(軌道運動の効果が 出るのは時間がかかる)するのに対し、地球が回転するので、日本が 衛星の方向を見ることができる約8時間〜9時間の間、1日1回 の割合 で可視時間がきます。UNITEC-1 は 6時間を 1周期としてそれを繰り返す 運用(といってもダウンリンクのみ)をしますが、6時間内のほぼ 1時間 おきに、120秒の CW を出し続ける(軌道推定用)送信が4回、データを CW と FSK で送る実質的送信が 2回となっています。このタイミングは オンボードコンピュータのカウンターにとって制御されますが、それほど は、ずれないと思っています。リセットがかかれば別ですが。 あとは、軌道を我々で推定して次のタイミングでの電波到来方向やドップ ラーシフトを推測しないといけないので、これまでのドップラーシフト、 電波到来方向情報を元に軌道を修正するアルゴリズムを複数作って 準備しています(私も久々にカルマンフィルターを作りました)。 今のところは分離時の初期条件からの軌道計算にぴったり合った方向および ドップラーで来ています。この軌道計算は東北大坂本先生の成果です。 ということで、金星到着(ロケットの精度がよければそばにいくでしょう) までの約200日の長い旅の始まりです。アップリンクは停波コマンド 以外はありません。定期的にしゃべり続ける UNITEC-1 からの小さな 声(最大距離は何と6300万kmです!)を、できる限りがんばって聞きとる、 そのための技術をこれからは磨いていきたいと思います。学生さんも 深宇宙衛星という稀有な機会を最大限利用して、運用、軌道計算、 電波処理などいろいろ実験してください。何を皆さんがやっても 衛星は傷つきませんので、思いっきり実験してください。 まずは、金星に向けて第一歩を歩みだした UNITEC-1 のご報告でした。 最後になりましたが、 これまで UNITEC-1 の開発・運用に多大なご協力をいただきました 多くの方々に心よりお礼をしたいと思います。皆さんのご支援がなけ れば、きっとここまでこられなかったと思います。本当にありがとう ございました! UOBC のデータ解析ができたらミニマムサクセス達成です。まずは、そこを 目指して、データ解読チームのがんばりをよろしくお願いします。もちろん、 そこで終わることなく、引き続き長期間の運用と多くのデータ解読に向けて がんばって行きましょう。 まずは第一歩、本当におめでとうございました。 そして長い一日、お疲れ様でした! 東京大学 中須賀 《補足》UNITEC-1 = しんえん UNITEC-1 に愛称が決まりました。『しんえん(深遠)』です。 この愛称には、「深宇宙(深遠)へ行くということと、多くの団体・人々が一丸と なり、深い縁・つながり(深縁)を持って作った」という思いが込められています。 《参考》 UNITEC-1, Negai☆", Waseda-SAT2, KSAT 打ち上げ情報 http://www.asahi-net.or.jp/~ei7m-wkt/numbr654.htm UNITEC-1 テレメトリ解析 http://www.asahi-net.or.jp/~ei7m-wkt/numbr664.htm Negai☆", Waseda-SAT2, UNITEC-1 受信報告 http://www.asahi-net.or.jp/~ei7m-wkt/numbr668.htm


 トップ へ戻る.
 前のページ へ戻る.
 次のページ へ移る.
 ホームページ(目次) へ戻る.