衛星AO-40 FECデコード with StaRcv


● (No.411) 衛星AO-40 FECデコード with StaRcv (2003年 11月10日)
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JF6BCC 今石氏からも紹介のあった AO-40 FEC Telemetry Decoder の「StaRCV」
(Paul Willmott, VP9MU) を試してみました。この「StaRCV」は,「Ao40RCV」と
同様に、レギュラーブロック(CRC) と FEC ブロックの両方をデコードすること
ができます。しかし、「StaRCV」には AGC 値のリアルタイム解析表示機能が無
いことと周波数の自動制御機能が無いので、「Ao40RCV」と併用して使用すると
使い勝手が良いと思います。

入手 http://www.amsat.org/amsat/sats/ao40/fec.html


FEC という受信側の誤り検出/誤り訂正が可能な符号化技術を取り入れることで
受信側の G/T が少々悪くても、あるいは回線状況が悪くても全体としてはより
エラーフリー (伝送誤りが少ない) に近い通信を可能にするものです。つまり、
AX.25 の誤り制御の仕組みよりも、FEC の方が誤り訂正能力が高いので、AO-40
においても、この FEC の誤り制御の方が有効であることが期待できます。

参照 http://www.asahi-net.or.jp/~ei7m-wkt/numbr394.htm
   http://www.asahi-net.or.jp/~ei7m-wkt/numbr410.htm


実際に、Ao40RCV または この StaRCV を使用してみるとわかりますが、CRC の
受信率が悪い時でも、FEC では かなり良い率でデコードされます。 StaRCV を
使用すると、FEC Good の箇所が Logging フォルダに raw ファイルとして保存
されていましたので、そのヘッダーの部分を紹介します。


A  HI, THIS IS AMSAT OSCAR-40       2003-11-09  14:18:04  #0B5F
+--------------------------------------------------------------+
|             RECONSTRUCTED FROM DECODED FEC BLOCK             |
+--------------------------------------------------------------+


保存されるのは raw ファイルですので、この後は意味不明の文字が続きます。
現在、FEC で送られてくるのは このブロックA のみで、そのテキストは上記の
通り固定メッセージになっています。 これを Text ファイル化する方法は今の
ところ不明ですが、P3T プログラム で処理すれば、その内容を解析表示するこ
とは可能かと思います。


《補足》
Date: Mon, 10 Nov 2003 23:45:52 +0900
From: "JJ1WTK, Kazu Sakamoto"
To: jamsat-bb@jamsat.or.jp

JJ1WTK 坂本です

AO40のFECテレメトリブロックを、P3TのTelemetry画面からテキストとして
書き出すと、こういう感じになります。

A  HI, THIS IS AMSAT OSCAR-40       2003-11-09  20:20:09  #0B5F 
+--------------------------------------------------------------+
|             RECONSTRUCTED FROM DECODED FEC BLOCK             |
+--------------------------------------------------------------+
  ・
  ・ (略)
  ・

P3TのTelemetry画面の上にマウスのポインタを置いておいて、マウスの右
クリックで、この例のようなテキストとしての保存ができます。なお、左
クリックすると、このブロックのデータを書き出すことができます。

ご覧のように、64バイト×8行=512バイトが表示されています。
最後の4行(256バイト)はバイナリなので、無理やりテキスト表示しても
やはり意味不明です。解析表示は、そのためのStatus画面やNav画面、
Power画面がありますからそちらを見るのがよいでしょう。

なお、脇田さんの
> つまり、AX.25 の誤り制御の仕組みよりも、FEC の方が誤り訂正能力の
> 高いので、AO-40 においても、この FEC の誤り制御の方が有効である
> ことが期待できます。

AO-40のMB(ミドルビーコン)に乗っているテレメトリは、FECであろうとなか
ろうと、AX.25ではありませんので、お間違いなきよう。


もうひとつ細かいことで恐縮ですが、FECブロックの場合には、Aブロックや
Eブロックというブロックの種類はありません。上の例のように、見かけ上は
Aブロックのように見えますが、それは、P3Tなり、AO40Rcvなり、地上局が
使っているソフトウェアが、そのように表示しているだけです。

非FECの場合、つまりAMSAT Phase3標準テレメトリフォーマットの場合ですと、
1ブロックは512バイトですが、FECの場合の1ブロックは256バイトなのです。
なぜ、256バイトしか送らないのか、という説明は、ここでは省略します。
ともあれ、FECの場合の256バイトは、同じタイムスタンプの非FECのテレメト
リブロックで後半にあたる256バイトを送ってきます。実例として、上のブロ
ックと同じタイムスタンプの非FECブロックを示します。
後半の4行(256バイト)はまったく同じです。


A  HI, THIS IS AMSAT OSCAR-40       2003-11-09  20:20:09  #0B5F 
+--------------------------------------------------------------+
|  Hgt: 9400 km   Lon: 158  Lat: 7   ALON: 35  ALAT: 2         |
+--------------------------------------------------------------+
  ・
  ・ (略)
  ・

非FECの場合の1ブロックは、テキスト4行+バイナリ4行の計512バイト。
FECの場合の1ブロックは、バイナリ4行の256バイト、ということです。

この256バイトは、AO-40の内部の状況をリアルタイムに表しており、
AO-40のハウスキーピングデータです。衛星の管制をする目的では最も重要
なデータなので、非FECではAブロックとして定義されており、非FECでも
ブロックの中身としてこの256バイトが選ばれています。
そこで、非FECの場合も、既存のソフトウェアが流用できるように、擬似
Aブロックとして扱うために地上局ソフトウェアが、Aブロックに似せた形
に表示しているというわけです。


AO-40のFEC符号化処理の中身を日本語で読めるものとしては、CQ誌の10月号 
p.198 衛星通信情報(JN1GKZ 新井さん)が分かりやすいと思います。


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