RS-21 の現況 [テレメトリ受信解析]


● (No.326) RS-21 の現況 [テレメトリ受信解析] (2002年 4月28日)
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本日(4/28)、衛星 RS-21 (Kolibri) の CW 信号を、久しぶりに確認しました。
軌道要素は最新のものを使用し、この時のパスは、正確に 14:52〜15:01(JST)
および 16:27〜16:32(JST)でした。 次の左側のデータが この時受信した CW
信号で、右側はそのデータを換算式を用いて解析してみたものです。


  MTX 51   ... 送信モード表  管理情報
  MRX 32   ... 受信モード表  管理情報
  RS 21    ... コールサイン
  UBS 135  ... 搭載ボード電圧    13.5 [V]
  IBS 20   ... 搭載ボード電流     0.2 [A]
  USUN 140 ... 太陽電池出力充電電圧 14.0 [V]
  ISUN 36  ... 太陽電池出力充電電流 0.36 [A]
  ITXA 9   ... 435MHz送信機消費電流 0.09 [A]
  PTXA 0   ... 435MHz送信機出力      0 [W]
  TTXA 139 ... 435MHz送信機温度     61 [C] ?
  ITXB 0   ... 145MHz送信機消費電流    0 [A]
  PTXB 0   ... 145MHz送信機出力      0 [W]
  TTXB 137 ... 145MHz送信機温度     59 [C] ?
  TFLV 134 ... 衛星上面温度       56 [C] ?
  TFLN 146 ... 衛星底面温度       68 [C] ?


この "ITXA" と "ITXB" の項目から、現在 RS-21 は 435MHz帯 の送信モード
であることがわかります。 ところで、観測周波数とドップラーシフトを考慮
すると、その送信周波数は、約435.340MHz であると推測できます。以前より
も 5kHz ほど高くなっています。

なお RS-21 の地球からの地表高度は、約 280〜290km と、かなり低くなって
きています。


数日以内に大気圏再突入が予想されている衛星RS-21(Kolibri) ですが、本日
5月2日 2002、11:24〜11:30頃(JST)、周波数 145.823MHz +/-doppler の周辺
で聞こえていました。

軌道要素は、 元期が "02120.15827703" の最新のものを使用しましたが、こ
れで計算される軌跡よりも、実際は7分ほど早く飛来しています。 次のパス
で再度確認してみます。次は 上記の時刻におけるノイズに紛れたそのデータ
の断片です。

  2LI LNWE EH ATT TY2 TPPB 30
  H IIEE   E E TTT    EBS124
  IBEE 1  E E SUN 130 EE UN33
  XA . IXA 0 E E  30


本日(5/2)、二度目の 衛星RS-21 の CW受信を受信確認しました。軌道要素を
元期が "02121.21493536" の さらに新しいものに差し替え、ほぼ正しく衛星
を追尾するようになりました。 受信開始は 12:56:20(JST)で、受信開始周波
数は 145.8259MHz でした。ドップラーシフトを考慮すると、やはり発信周波
数は 145.823MHz の周辺であると思われます。

13時(JST)ちょうどあたりで、CW信号を見失ってしまいました。 LOS 時刻は、
13時03分頃(JST)と思われます。 衛星の地表高度は、およそ 240km まで降下
しています。 次に、この受信データを解析します。


  USUN 129 ... 太陽電池出力充電電圧 12.9  [V]
  ISUN 38  ... 太陽電池出力充電電流  0.38 [A]
  ITXA 0   ... 435MHz送信機消費電流  0    [A]
  PTXA 0   ... 435MHz送信機出力    0    [W]
  TTXA 131 ... 435MHz送信機温度   53    [C]
  ITXB 3   ... 145MHz送信機消費電流  0.03 [A]
  PTXB 0   ... 145MHz送信機出力    0    [W]
  TTXB 132 ... 145MHz送信機温度   54    [C]


なお最後になるかもしれない(明日から数日、所要で受信不可) ので、この時
の waveファイル(185秒、4Mバイト) を次に保存しておきました。どれも同じ
ものです。

 http://www.ne.jp/asahi/hamradio/je9pel/20502r21.zip (圧縮データ)
 http://www.ne.jp/asahi/hamradio/je9pel/20502r21.wav (生録データ)
 http://www.ne.jp/asahi/hamradio/je9pel/rs21tlme.htm (英文データ)


JH0KDX 山内氏は、私が聞いていたのと同時刻 12:57〜13:03(JST)に受信を
していたということで、データの提供をしていただきました。

Yamauchi wrote at 18:20:19, 2 May 2002:
> PTXA* (*は不明ヶ所)
> TTXA131
> ITXB3
> TTXB132
> TFLB122
> TFLN146
> TPPB131
> *BS123

最初の *印 は "PTXA 0" で、最後のは "UBS 123" ですね。本日(5/2)、私が
受信したデータと合体して解析してみると、次のようになります。


  UBS  123 ... 搭載ボード電圧    12.3  [V]
  USUN 129 ... 太陽電池出力充電電圧 12.9  [V]
  ISUN 38  ... 太陽電池出力充電電流  0.38 [A]
  ITXA 0   ... 435MHz送信機消費電流  0    [A]
  PTXA 0   ... 435MHz送信機出力    0    [W]
  TTXA 131 ... 435MHz送信機温度   53    [C]
  ITXB 3   ... 145MHz送信機消費電流  0.03 [A]
  PTXB 0   ... 145MHz送信機出力    0    [W]
  TTXB 132 ... 145MHz送信機温度   54    [C]
  TFLV 122 ... 衛星上面温度     44    [C]
  TFLN 146 ... 衛星底面温度     68    [C]
  TPPB 131 ... 搭載Bボード温度   53    [C]


なお、RS-21テレメトリフォーマットの詳細については 次を参照して下さい。

 http://www.marex-na.org/fileshtml/rs21sat.html



Date: Sat, 04 May 2002 19:10:17 +1000
From: Graham James Hughes
To: amsat-bb@amsat.org
Subject: [amsat-bb:58337] Flight of RS-21 ended

RS-21 飛行完了

Kaluga 管制局 の Alex Papkov氏 による「RS-21 が大気圏に再突入した」
という確認のメッセージを次に示す。

機能が低下中のマイクロ衛星の、最後の飛行データの軌道計算によると、
周回番号 711 の 23:00(UT), 日本時間 5月4日 08:00時頃、アメリカ大陸
に近い太平洋上空で大気圏に再突入した模様である。

マイクロ衛星 "Kolibri-2000" (RS-21) は、その運用を成功裏に完了し、
その生命を終えた。

我々は、このミッションの概略の全てが成功したと考えている。オースト
ラリアの高校生と、ロシアの科学者および高校生の間による共同研究が、
私個人にとってハイライトであった。 これは、偉大なる冒険であった。

《訳》JE9PEL/1 脇田


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