OSCAR-1誕生40周年 & マルコーニ無線100周年


● (No.299) OSCAR-1誕生40周年 & マルコーニ無線100周年 (2001年 12月12日)
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12月10日に、初めて 衛星Sapphire の英語音声(デジトーカ)の断片を耳にし、
さらに 12月12日に、JN1GKZ 新井氏と JE9PEL/1 脇田により、その音声をwave
ファイルとして受信保存することに完全に成功しました。

以前にも、衛星関係の各所で マルコーニによる大西洋横断通信成功100周年、
および OSCAR-1誕生40周年に関わる催しが企画されていましたが、まさにこの
デジトーカを受信した "12月12日" が、衛星Oscar-1 の打ち上げに成功した日
であったことを、資料を調べていてわかりました。その諸元を次に記します。

  国際登録番号  1961-AK2
  打ち上げ年月日 1961.12.12
  停止年月日   1962. 1. 1
  形状 (cm)    30x 25x 20
  重量 (kg)    4.5
  周期 (分)    92
  軌道傾斜角(度) 81.2
  遠地点高度(km) 460
  近地点高度(km) 240
  ビーコン (MHz) 144.983

今からちょうど 40年前に打ち上げられ、生存期間はわずか3週間 という短い
命だったのですね。よく聞く話ですが、(旧)ソ連が最初に打ち上げた衛星は、
1957年10月4日の スプートニク1号で、アメリカは3ケ月後の 1958年1月31日
のエクスプローラ1号なので、その4年後にアマチュア衛星の第1号が打ち上
げられたことになります。ちなみに日本最初の人工衛星は、昭和45年(1970年)
2月11日に、東京大学宇宙航空研究所が打ち上げた「おおすみ」だそうです。

さらに史上初の有人飛行としては、有名な旧ソ連のガガーリンがウォストーク
宇宙船で宇宙に飛び出したのが、1961年4月12日です。 飛行時間はわずか1時
間48分だったということですが、ガガーリンの感じた宇宙時間の長さは、想像
を絶する長さだったことでしょう。なぜなら、空気も水もない鉄の塊の中で、
大気を通過する時は、高温の火の塊になったでしょうから・・・

その約1ケ月後の 1961年5月5日に、アメリカ初の有人飛行が シェパード宇宙
飛行士により、マーキュリー計画の一環として成功しました。その飛行時間は
弾道飛行の 16分間だったそうです。 その後、ソ連とアメリカの宇宙飛行競争
が続き、1969年(日本時間)7月21日 5時17分40秒に 人類初の月着陸に成功しま
した。

その着陸地点は「静かの海」の東経23.49度,北緯0.67度の地点で、アームスト
ロング・コリンズ・オルドリンの3人の宇宙飛行士は、延べ 21時間36分20秒
の月滞在時間の間にいろいろな調査を行い、22Kgの月の石を持ち帰りました。

それから多くの国による種々の宇宙実験の成功と失敗を繰り返しながら、現在
の ISS(国際宇宙ステーション)の実現につながっているわけです。わずか40年
の間にここまで宇宙科学が発達したことは、人類の英知の驚異と言えると思い
ます。

40年前のTV漫画の「鉄腕アトム」・「宇宙少年ソラン」から、映画「2001年
宇宙の旅」にいたる 空想科学漫画や映画の話が、まさに 2001年になって実現
していると言えるでしょう。

次に、マルコーニによる大西洋横断通信成功について、少し調べてみました。
世界初の 大西洋横断無線通信 に成功したのが、これも "12月12日" でした。
今からちょうど 100年前の 1901年のことです。 これらの業績のゆえに、彼は
1909年にノーベル物理学賞を受けていたのですね。 知りませんでした。

グリエルモ・マルコーニ(Guglielmo Marconi 1874-1937) は、イタリアの生ま
れで、世界初の無線電信を発明 発展させ、実用化したことで知られています。
1894年に電気磁気学の実験を始め、翌年には野外に張ったアンテナとアースの
間で火花放電する送信装置を作りました。その発信機による送信到達距離を、
徐々に伸ばしていきました。

当時は電離層の存在が知られておらず、水平線を超えるような遠距離無線電信
は、不可能であると考えられていました。1901年12月12日に彼は、ヘルツ波の
直進性と地球の曲率を勘案すれば通信ができると考え、イングランド南西部の
ポールデューにある既設の送信局から送信した信号を、約3000km離れたニュー
ファンドランドのセントジョンズのシグナルヒルに凧(たこ)を使って仮設した
架線で、受信に成功しました。

翌年から、同調多重送信方式の確立、高感度鉱石検波器の発明、水平指向性ア
ンテナの特許など、無線通信の発達に大きく寄与しました。その後、通信事業
にも関わり、長距離商業通信の発達にも貢献しました。第一次世界大戦中には
軍事通信に協力し、種々の実験を実用化しました。

これらの業績により、1909年にノーベル物理学賞を受け、彼は 無線技術の父
として称揚されています。


参考文献 現代用語の基礎知識 1980 自由国民社
     JARL アマチュア無線ハンドブック 1991 CQ出版社
     スペースガイド 2000   丸善
     世界伝記大事典      ほるぷ出版
     大百科事典        平凡社


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