SUNSAT(SO-35) FAQ


● (No.205) SUNSAT(SO-35) FAQ (2000年5月27日)
 --------------------------------------------


 衛星SUNSAT(SO-35) 頻出質問事項 [訳:JE9PEL/1 脇田]
 ==================================================


 http://sunsat.ee.sun.ac.za/index.html

 編集:Tim Muller  1998年11月
 更新:G.W.Milne   1999年 1月

[目次]

  1. はじめに
  2. 歴史
  3. 打ち上げに誰が資金を提供したのでしょうか
  4. 打ち上げの他の事について
  5. 打ち上げの日までにどんなことが行われるのでしょうか
  6. SUNSATの衛星の型は何でしょうか
  7. SUNSATが宇宙で行う第一の作業は何でしょうか
  8. SUNSATが行う重要な第二の作業は何でしょうか
  9. SUNSATに課せられた他の学校プロジェクトと外部実験について
 10. SUNSATの構造と設計の簡単な説明
 11. SUNSATはどのようにその方位を決定するのですか
 12. SUNSATはどのように宇宙の条件の下で実験したのですか
 13. SUNSATは理想的な軌道に投入されるでしょうか
 14. SUNSATはどのように情報を地球に中継するのでしょうか
 15. SUNSATはどのように宇宙で充電されるのでしょうか
 16. SUNSATはどのくらいの割合で地元で開発されたのでしょうか
 17. SUNSATを製作するのにかかった費用はいくらでしょうか
 18. 受け取った寄金はいくらでしょうか
 19. SUNSATはどのくらいの期間動作するでしょうか
 20. SUNSATは資金の価値ある投資だったのでしょうか
 21. SUNSATの次の製作は?
 22. おわりに
 23. 図1: SUNSAT-1の操作外形
 24. 図2: SUNSATの総構造外形(展開図)


[ 1. はじめに]                                                     Top

 スリー・ツゥー・ワン・発射! ステレンボッシュ(Stellenbosch)大学の衛星
 プログラムは、アフリカの大地を覆う宇宙空間の軌道に最初に打ち上げられた
 翌年の初期から歴史が始まっています。もし全てが計画どおりいけば、SUNSAT
 は、1999年1月8日(又は15日)にカリフォルニアのバンデンバーグ(Vandenberg)
 空軍基地から打ち上げられるでしょう。(訳注:1999年2月23日に打ち上げ成功)
 ステレンボッシュ大学の大学院学生によってそのほとんどが設計・製作された
 衛星SUNSAT-1は、南アフリカの宇宙時代への幕開けです。


[ 2. 歴史]                                                         Top

 1991年に、ステレンボッシュ大学の電気学科と電子工学科の教官たちは、その
 学科の学生たちに、実際的な設計の活動に多く携わる機会の必要性を確認し合
 いました。(米国)スタンフォード大学のロボット研究所や、(英国)サレー大学
 の衛星工学研究所と同様に、長期間のプロジェクトが多くの勤勉な学生を産み
 出すことを予想させました。

 Arnold Schoonwinkel, Garth Milne, Jan du Plessis, Sias Mostert各教授に
 感謝します。彼らは完全機能的マイクロ衛星の設計・製作の大規模なプロジェ
 クトを始めることを決定しました。こうしてSUNSATプログラムは次に示す目的
 に向け 1992年に生まれました。

 (1) 実際的な作業に基づく高度な技術により、南アフリカの科学技術産業を
     供給しながら、大学の大学院学生に役立つ電子学的発展の範囲を広げる
     こと。

 (2) 有益な地球の画像を撮ることのできるマイクロ衛星を製作することで、
     国際的な関心と大学の科学的な共同作業を活気付けること。

 (3) 学校(小中高)の生徒たちに、科学と技術の興味を創造すること。


[ 3. 打ち上げに誰が資金を提供したのでしょうか]                     Top

 衛星の打ち上げは大変費用のかかる事柄で、SUNSATの打ち上げのプロジェクト
 を開始することに費用の都合をつけることができませんでした。幸いなことに
 国際的な共同研究による、NASAと南アフリカの間で 1996年5月に取り決められ
 た協定の署名により、無料の打ち上げの機会をSUNSATに与えました。

 この協定により、NASA地球力学グループの "惑星地球へのミッション(Mission
  to Planet Earth" は、SUNSATの打ち上げを、彼らの ARGOSミッションの補助
 ペイロードとすることをNASAに対して取り決めました。

 交換条件としてSUNSATは、GPS(global positioning system)実験レシーバーと
 NASAジェット推進研究所(Jet Propulsion Laboratory) により供給された SLR
 (satellite laser retro-reflectors)を宇宙に運ぶことになります。これらは
 地球上の異なるレーザー射程局からのミリメーターの精度の位置測定をするこ
 とができます。この方法で集められたデータは地球力学的パラメータを監視す
 ることと、地球の重力モデルを最新にすることに使われるでしょう。


[ 4. 打ち上げの他の事について]                                     Top

 SUNSATは、ボーイング・デルタUロケットに便乗する形で、カリフォルニアの
 バンデンバーグ空軍基地から打ち上げられます。ミッションのメインペイロー
 ドは、2トン半のアメリカ空軍ARGOS衛星です。SUNSATとデンマークのOrstedと
 呼ばれる他のマイクロ衛星は、第二のペイロードです。現在、打ち上げ計画は
 1999年1月8日とされています。1997年1月のデルタUの打ち上げ権利と、ARGOS
 衛星の技術的遅延が、延期されていた打ち上げを早める原因となりました。


[ 5. 打ち上げの日までにどんなことが行われるのでしょうか]           Top

 1998年11月19日に、マレーシアのケバンサン(Kebangsaan)大学によって実験を
 実施していることによるSUNSATへの好意から、マレーシア航空が大学への費用
 無しでSUNSATをカリフォルニアへ移送します。


 SUNSATは、バンデンバーグ空軍基地内でNASAの施設にとどまります。SUNSATの
 プロジェクトメンバーはそこで、衛星のニッケルカドミウム・フライトバッテ
 リーを補充します。この非常に繊細なバッテリーは、凍った状態で過去何年も
 たっているので、初めに注意深く解凍しなければなりません。そして、火薬の
 カッターが重力変化ブームを広げるのに必要なので、衛星の太陽電池パネルを
 取り付けます。

 さらにSUNSATのチームメンバーは、衛星のペイロードアダプター組立て(PAA)
 をボーイングに引き渡し、彼らのペイロードアダプター取付け(PAF)と それを
 合併し、後でロケットにボルト付けします。合併したPAAとPAFはSUNSATチーム
 に戻り、衛星の底面にそれをネジ止めし、固定しなければなりません。

 SUNSATは、打ち上げの約4週間前の1998年12月11日か14日に、DeltaUロケット
 上に固定される予定です。宇宙で、SUNSATとOrstedは同時にロケットから分離
 されます。一対の火薬のカッターが両方の衛星を解放し、SUNSATの磁力回転計
 (マグネトルカ)が安定した後に、各衛星をそれぞれの軌道に乗せます。SUNSAT
 の先端はその時解放され、そのブームは展開します。


[ 6. SUNSATの衛星の型は何でしょうか]                               Top

 SUNSATは低軌道(LEO:low earth orbit)マイクロ衛星で、重量は 64kg、大きさ
 は 45cm*45cm*60cm です。地上 620km〜850km の楕円軌道で、毎秒約 7.5km/s
 つまり、毎時 27000km/h の速さで地球を100分で一周します。


[ 7. SUNSATが宇宙で行う第一の作業は何でしょうか]                   Top

 SUNSATの第一の目的は、低コストで高解像度の南アフリカの写真を撮影するこ
 とにあります。この画像のスペクトル分析により、地上の植生の型と密度がわ
 かります。この情報は、森林管理と農産業の両方の役に立ちます。

 長柄画像装置にもなる高解像度のカメラは、科学産業研究協議会CSIR(Council
 for Scientific and Industrial Research) と共同した大学により開発され、
 SUNSATの第一のペイロードになりました。これは、ファックスのように機能し
 3456ピクセル幅で、800kmの距離で 1ピクセル当たり 15mの解像度の 3色(緑、
 赤、近赤外)のステレオ画像を撮ることができます。

 SUNSATに期待される画像の型と質は、低コストの大学マイクロ衛星に対し優れ
 ていることを確約するものであり、SPOTや LANDSATのような大きな高価な商用
 衛星に近づくものです。韓国が次期KITSAT-3衛星に同様のカメラを載せるよう
 にした科学技術共同協定に、韓国と南アフリカはカメラの設計について、既に
 署名しました。


[ 8. SUNSATが行う重要な第二の作業は何でしょうか]                   Top

 写真を撮ることから離れて、SUNSATはまた二つの仕事を行います。まず一つは
 地上にいるアマチュア無線家に、BBS(bulletin board service)による"ストア
 &フォワード" 通信システムをテストします。これは、衛星上の "メールボッ
 クス" において、ファイルと他の情報を蓄積し、そして検索できるようにする
 ことです。SUNSATチームはこのサービスを、地上の新しい無線技術の発展と科
 学技術へ刺激することのアマチュア無線活動によりなされる重要な仕事として
 評価しました。

 二つ目は、いくつかの学校プロジェクトと外部実験を行うことで、それは科学
 界へいずれ価値あるデータを与えるでしょう。たとえば、NASAのGPSとSLRシス
 テムは、地上の水の流動・南(北)極の氷の変化・地下水の地域的変化に影響さ
 れる地球の重力場の変化を監視します。またSUNSATは、他の通信システムでは
 出せない地上の遠く離れた位置間の大データをやり取りする実験をすることが
 できます。


[ 9. SUNSATに課せられた他の学校プロジェクトと外部実験について]     Top

 SUNSATは、学校の子供たちに科学技術を促進することと、国際的に強力な関係
 を確立することを目的として、次の実験を実施します。

 (1) 衛星の音響と温度の実験は、ダーバン(Durban)のジョージキャンベル技術
     高校によって提案されました。感度の良いマイクロホンから成り、衛星の
     構体の振動を検知します。また温度センサーはトレーの内部の温度を測定
     します。重力ブームの展開の監視、温度の変動による熱膨張ノイズ、反動
     軸の回転音の実験は、SUNSAT地上チームを援助するでしょう。

 (2) ステレンボッシュにある レーニッシュ(Rhenish)女子高校は、CMOS電子装
     置への放射能のダメージを監視する実験を提案しました。その目的は、た
     くさん作られた衛星上の回路のCMOS論理ゲート上の放射能の影響を調査す
     ることにあります。二つの同一のCMOSの集積回路が互いに比較されます。
     その一つは太陽電池パネルと衛星本体の間にあり、もう一つはトレー構体
     によって遮蔽されたままになっています。

 (3) 微粒子衝突探知実験は、ケープタウン ペニンスラ(Peninsula)専門学校に
     よって提案されました。その目的は、衛星の先端プレートに取り付けられ
     たセンサーを使って、衛星上の小隕石の衝突を探知し頻度を測定すること
     です。

 (4) マレーシアのケバンサン大学は、物質科学学部によって開発されたガラス
     炭素の標本の宇宙における温度と伝導率を測定する物質露光実験を提案し
     ました。

 (5) SUNSATはまた、通常の時と明るい状態の時でフルカラー画像を映し出すこ
     とができる補助小型組立式 CCD(充電連結装置付き)TVカメラを載せます。
     これは底部トレーに置かれ、電源オンの時に Sバンド受信システムの設備
     を持つ誰もが、地球のリアルタイム画像を中継することができます。

 (6) 最後にSUNSATに、主に学校の子供たちを対象に、衛星に 8秒間までの短い
     メッセージを送信させる 電子的 "パロット(Parrot:鸚鵡)" があります。


[10. SUNSATの構造と設計の簡単な説明]                               Top

 SUNSATは、立方体の衛星本体と円形の固まりの先端でできています。そして、
 2.2mの折りたたみ可能な重力傾斜ブームにより分離されています。(図1参照)
 先端の固まりと底部は、地球を周回するときの衛星の安定化を図っています。
 ブームは大学で製作された精巧な折りたたみ可能な構造を持っていて、火薬の
 カッターにより衛星本体の先端プレートから固まりを解放した後に開きます。

 衛星の構体は、琴(concertina) に似た 11個のトレーの積み重ねとして構成さ
 れていて、全て必要な電子技術と装置を含んでいます。(図2参照) いつも表面
 を地球に向けている底部のトレーは、高解像度画像装置と二つの可充電ニッケ
 ルカドミウム・バッテリーパックと反動軸があります。底部のトレーのすぐ上
 に電源トレーがあります。その機能は、衛星の外側にある 4個の太陽電池パネ
 ルによるバッテリーの再充電の制御をすることです。三番目と四番目のトレー
 は地上からのデータを衛星に送受信するための VHFとUHF通信トレーです。 次
 のトレーは、電子マイクロ波と 学校の二つの実験のための NASA_GPS受信機を
 含んでいます。

 六番目のトレーはテレメトリトレーです。その目的は、地上局に衛星の状態を
 判断させるために、各点の温度のような衛星の生活機能を監視することにあり
 ます。次はテレコマンドトレーがきます。これは衛星の各場所の電源を必要に
 応じて切り替えることで、衛星の電源消費を抑えるようにするものです。この
 テレコマンドトレーはまた、SUNSAT地上制御チームの必要な時に新しいソフト
 をアップロードしたり搭載コンピュータをリブートしたりします。

 八番目のトレーには衛星の搭載コンピュータがあります。この 80188ECマイク
 ロプロセッサーは衛星の頭脳であり、他の全てのシステムを制御します。この
 トレーの先端には、メインコンピュータが故障した時のバックアップとして、
 他のコンピュータ(80386EC)が搭載されています。 次のトレーは RAMトレーで
 す。SUNSATがステレンボッシュ上を通過して他国の地域で撮られた画像を蓄積
 してダウンロードするのに必要な 64Mb(メガバイト)のメモリがあります。

 最後に、姿勢決定制御システム(ADCS)トレーと、衛星と閉じる先端プレートが
 あります。ADCSシステムは、SUNSATの現在の方位を決定するための重要なもの
 です。ADCSシステムに使われている多くのセンサーは、先端プレートに設置さ
 れています。これらには、二つの地平線センサーと太陽センサー、星の撮影用
 カメラと磁力計が含まれています。


[11. SUNSATはどのようにその方位を決定するですか]                   Top

 SUNSATは、高解像度の画像を撮影するために、極めて正確な方位決定ができる
 ようになっています。これは大学によって開発されたかなり進化した姿勢決定
 制御システム(ADCS)によって成し遂げられています。このシステムは、地球の
 水平線の位置・地球の磁場・太陽と星座を測定することによって、衛星の現在
 の方位を決定する種々のセンサーを含んでいます。これらの全てのセンサーは
 大学で開発され、充分に試験され測定されてきました。SUNSATは、磁力回転計
 (マグネトルカ)と呼ばれる反動軸と電子磁石により、正しい方向を指すように
 このデータを使用しています。


[12. SUNSATはどのように宇宙の条件の下で実験したのですか]           Top

 SUNSATは、打ち上げの厳しいストレスと宇宙で遭遇する過酷な条件を克服でき
 るように種々の環境試験を経験しました。全ての電子機器がどんな干渉におい
 ても動作できるように、何回かの電磁石干渉(EMI)試験と無線周波数干渉(RFI)
 試験が行われました。これらの試験のほとんどを実行するために、ハウテクの
 (Houwteq:グラボー Grabouwの近くの)施設が使用されました。 大学における
 電子工学システム研究所(ESL)の特別真空室が、ゼロ気圧状態を シミュレート
 するのに使われました。これは真空状態である電子的成分がガス噴出して失敗
 することがわかるので、重要な試験です。実物大の打ち上げ付属物からの衛星
 の分離とブームの展開は、ESL研究所で実験しました。 NASAは、SUNSATが打ち
 上げに危険がないことを保証するために、これらの全てを厳格に試験して実証
 しました。


[13. SUNSATは理想的な軌道に投入されるでしょうか]                   Top

 いいえ、SUNSATは光学画像撮影のために理論上、円軌道の太陽同期軌道に投入
 されます。残念なことに、SUNSATの軌道は、デンマークの衛星Orstedに必要な
 軌道投入になされます。これはミッションに含まれる最初の第二のペイロード
 なので優先権が与えられているのです。しかし、ある時期にはSUNSATの任務が
 実行できるように、その望ましい軌道になるでしょう。


[14. SUNSATはどのように情報を地球に中継するのでしょうか]           Top

 SUNSATは、UHF・VHF・Sバンド・Lバンド経由で地球にデータを変換するのに必
 要な送信機と受信機を装備しています。 地球を100分で一周するSUNSATの毎日
 の14周の軌道のうちの4回におけるおよそ10分間、SUNSAT地上局は直接 ステレ
 ンボッシュ大学の直径4.5mのディッシュアンテナを用いてコンタクトします。
 UHFとVHFバンドが主にアマチュア無線家によって使われている時は、画像デー
 タは毎秒50Mbitまでの Sバンド側波帯ダウンリンクを用いてダインロードされ
 るでしょう。Lバンド受信機は主にコマンド局からのソフトウェアの毎秒2Mbit
 のアップロードを受信するために使われます。そして、衛星のテレコマンドの
 バックアップ受信機となります。


[15. SUNSATはどのように宇宙で充電されるのでしょうか]               Top

 SUNSATは従来の電源システムを使います。二つの可充電ニッケルカドミウム・
 バッテリーパックを再充電して使うために、4枚の高効率太陽電池パネルから
 構成されています。これは全日照の軌道の 地方時刻12:00の軌道のうちの半分
 以下で約30Wの利用電源が生じます。


[16. SUNSATはどのくらいの割合で地元で開発されたのでしょうか]       Top

 光学カメラ(CSIR)と磁力計(Hermanus Magnetic Observatory) の他は、SUNSAT
 は 電気学科と電子工学科における電子光学システム研究所(ESL)の大学院学生
 と技術者によって、完全に設計し製作されました。構成のほとんどの製造は、
 大学の中央機械サービス(Central Mechanical Services) と中央電子工学サー
 ビスSEM(Central Electronic Services) により屋内で行われました。

 AMS が回路の被覆に助力する一方、Somchem は太陽電池パネルに使われている
 炭素化合物を製造しました。衛星上の唯一の外国製の装置は、NASAの GPS受信
 機と、300g の補助小型TVカメラです。


[17. SUNSATを製作するのにかかった費用はいくらでしょうか]           Top

 費用には他大学の活動も関わっているので、全てのSUNSAT計画にかかった正確
 な価格札を示すことは困難です。衛星の計画と寄金と開発に 7年の歳月がかか
 り、現在までに約25人の職員と 150人の学生がプロジェクトに関わりました。
 打ち上げにかかった費用を除くと、総出費は US$200万ドル(R11 million)で、
 その半分は学生の助力に対するもので、残りは工学材料と加工処理に費やされ
 ました。絶対に欠くことができなくなるまで、高価な構成物の入手を後回しに
 しようと、SUNSATチームは特別な注意を払いました。


[18. 受け取った寄金はいくらでしょうか]                             Top

 たとえ業者が、学生と構成物を後援することと費用無しで設備を入手できるこ
 とをどんなに演じたとしても、SUNSATプロジェクトに対する商業寄付はありま
 せんでした。調査開発機関FRDは、THRIP計画を通じてこの援助と取り組み、そ
 して NASA後援の打ち上げ機会を保証する役割を演じました。'Chair in Satel
 lite Systems'のGRINTEK後援会はまた、プロジェクトの成功に役立ちました。


[19. SUNSATはどのくらいの期間動作するでしょうか]                   Top

 電源システムが衛星の補助システムに電源を伝えられる間は、SUNSATは完全に
 動作するでしょう。残念なことに、ニッカドバッテリーパックは無限に再充電
 はできないので、4年から5年間しか期待できません。最近、SUNSATのペリジー
 (近地点)が 620kmに増加してきたSUNSATの軌道は、約30年後に大気圏再突入と
 なるでしょう。


[20. SUNSATは資金の価値ある投資だったのでしょうか]                 Top

  7年前に定式化した大いなる目的を振り返ってみた時に、SUNSATプロジェクト
 の結果は最も荒かった期待を越えました。SUNSATの主な業績のいくつかは次の
 ようなものです。

 (1) まず第一に、SUNSATの最も重要だったことは、毎年、南アフリカの産業に
     勤勉な流れを汲む技術科学生を供出したことです。 過去7年の間、97人の
     大学院学生がSUNSATプロジェクトに関わりました。彼らが習得する技術の
     85パーセントは、南アフリカの産業により地上での使用に対して直接適用
     できる、宇宙への特殊な応用ではありません。

 (2) SUNSATプロジェクトは、非常に尊い国際的な協力によるプロジェクトメン
     バーの供出をしながら、いくつかの海外の団体と関係を持って研究するこ
     とを確立しました。NASAとの共同作業の他、McDonnellダグラス航空(現在
     のボーイング)、韓国科学技術高等協会(KAISAT)、英国サレー大学 そして
     (マレーシア)ケバンサン大学などが挙げられます。

 (3) SUNSATプロジェクトの他の重要な結果は、電気学科と電子工学学科の中の
     電子工学システム研究所(ESL) の設立でした。 ESL研究所は、昔のSUNSAT
     研究所と置き換えられ、将来の永遠の基礎の上に、SUNSATのような計画を
     持続できる充分な資金を生み出せることが期待されています。大学院学生
     と、大きなスケールの共同投資の機会を伴った産業を与えています。これ
     は学生と学会員と技術者に、多くのプロジェクト訓練のもとで必要な多く
     の実経験を与えながらチームを組んで一緒に研究をすることができます。

 (4) 学校の子供たちに科学技術を促進させるSUNSATの目的の重要部分は、1997
     年の発足した MTN-SUNSTEP計画により大成功を収めました。先導を果たし
     たこのMTNは、障害者の団体から先に、主に学校に焦点を当てています。
     現在までのところ、約40,000人の子供たちが達成しました。学生は電子工
     学の基礎を教えられ、そして組み立てるための電子機器キットを与えられ
     ます。 SUNSATが主催している学校プロジェクトは、関係するSUNSTEPへの
     付加的な動機付けとして役立ちます。


[21. SUNSATの次の製作は?]                                         Top

 SUNSAT-1の軌道における作業の成功は、将来のSUNSATプロジェクトへの援助を
 保証することが期待されます。既に、SUNSAT-2の机上の計画があります。これ
 は前の物と同様な設計のマイクロ衛星ですが、注目に値するアップグレードが
 あります。SUNSAT上の3色画像の開発から得られた経験が、次に開発されるSUN
 SATsのための新しい広帯域の 9色の多重スペクトル画像のアイデアに結び付き
 ました。幸いなことにSUNSAT-2は、最適な画像撮影を保証するために 地上800
 kmの円軌道の太陽同期軌道に載せることができます。


[22. おわりに]                                                     Top

 SUNSAT-1が11月19日に南アフリカを通過するとき、SUNSATチームは南アフリカ
 の最近の工学的な功績の一つを達成したという自負を回想するでしょう。[5.]
 またプロジェクトの初期の段階で、特にプロジェクトが完成するかどうかとい
 う疑問が表示された後に、寄金が援助されるという話しがあった時でさえも、
 寄金の期待がしばしばきびしく思えました。しかし彼らがアプローチを止めた
 と言わなかったお陰で、何年間もSUNSATチームはプロジェクトの終結に瀕する
 事実を気にせずに、そして構想を成就するまでずっと自説を固守したのです。
 そして彼らの辛抱強い努力のお陰で、世界は今や地球の気圧を監視し、さらに
 地上の高画質画像を得る、費用のかからない技術を持つ段階に至ったのです。

 SUNSATは、次の企業と協会の後援に対し感謝の意を表します。
 Air Malaysia, Altech Alcatel, AMS, CSIR, Dimension Data, ECS,
 FNB Technology Innovations Group, FRD, Grinaker Electronics,
 Houwteq, Irdeto, Lombari Trust, MTN, NASA, Orbicom,
 Plessey Tellumat, Reutech, Reumech, Siemens, Somchem, Telkom,
 Dept.of Trade and Industry THRIP fund, and Vodacom.




 より詳しい情報の連絡先:
 ------------------------
 e-mail:milne@firga.sun.ac.za,
 schoonwi@firga.sun.ac.za, or
 mostert@firga.sun.ac.za,
 Telephone:* +27(21)808-4936
 Fax:* +27(21)808-4981
 website:http://sunsat.ee.sun.ac.za

 (サイトは、より詳しい情報を含んでいます。 PAPERSATと同様に、SUNSATの
  紙のモデルで、子供たちはダウンロードと組み立てをすることができます。)


 住所
 ----
 SUNSAT Project Manager,
 Department of Electrical and Electronic Engineering,
 University of Stellenbosch,
 Private Bag X1,
 Matieland,
 7602,
 SOUTH AFRICA.




 Figure 1 SUNSAT-1 in its operational configuration  (省略)

 Figure 1 SUNSAT General Structural Configuration    (省略)


 編集:Tim Muller
 更新:G.W.Milne   1999年 1月12日


 ---------------------------------------------------------------------
                   Electronic Systems Laboratory 1999
             This page was last updated 05/23/2000 22:51:42
                           by Buchan Milne
                     WWW:http://sunsat.ee.sun.ac.za


 [訳:JE9PEL/1 脇田]


 トップ へ戻る.

 次のページ へ移る.

 ホームページ(目次) へ戻る.