WiSPでアップロード


● (FUROKU.23) WiSPでアップロード (1997年 5月30日)
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 アンテナを正確に衛星に追尾させ、アップロード用のファイルを作成し
 て、アップロード画面のポップアップまではできていると仮定します。
 アップリンクがきちんとできていて、ディレクトリ要求ができていれば
 「MSPE」の左下の「PB」欄に赤く自局のコールサインが表示されます。

 地上のRBBSは直線で数十キロの距離なので、多少の混信があっても送受
 信はできるものですが、(不正確な表現ですが)衛星に対しては数千キロ
 以上の直線距離をアクセスしなければならないので、地上の混信は衛星
 通信に大きな影響を与えます。実際、特にモービル混信はアップロード
 に大きな影響を与えています。

 そこで、ファイルのアップロードを完遂するためにはどうしたらよいか
 少し考えてみたいと思います。以下に記しているようなことを考慮すれ
 ば、皆様もアップロードができるのではないかと思います


 1.「衛星の飛来コースを考慮する」

   私のQTHは横浜なので、衛星が太平洋上を通過する時が、最も衛星
   との送受信が行いやすいです。反対に、日本海側(ロシア・中国・
   東南アジア側)を衛星が通過する時は、受信(ダウンロード)は大体
   できますが送信(アップロード)はまずできません。理由は、障害物
   と、さきほどのモービル混信にあります。

   もし反対にQTHが日本海側にあるならば、おそらく衛星が日本海側
   を通過する時の方が、太平洋側を通過する時よりも送受信がしやす
   いのではないかと思います。


 2.「AOS・LOSの時をねらう」

   また、1回のオービットの中で、感覚的には衛星が頭の上を飛ぶ時
   にアクセスしやすいイメージがありますが、実際は、衛星が上がっ
   た直後(AOS)と、衛星が沈む寸前(LOS)が最もアクセスしやすいです。
   これはたぶん他の混信電波と関係があるものと思います。そして、
   混信のことを考慮すると、昼間よりも夜中の方がアクセスしやすい
   のではないかと思います。


 3.「周波数の変化を繊細に追う」

   ご承知のように、低軌道衛星では、アップリンク・ダウンリンクと
   もにドップラー偏移がすさまじいので、周波数の設定も繊細に行う
   必要があります。たとえば、衛星KO-23のアップリンク(UP),ダウン
   リンク(DOWN)の公称の周波数は次のとおりですが、

         UP : 145.850MHz   DOWN : 435.175MHz

     AOSの時には、UP周波数は「-2KHZ〜 -3KHz」ほど低めに、
     DOWN周波数は「+6KHz〜 +9KHz」ほど高めに設定します。

      (例) UP : 145.848MHz   DOWN : 435.181MHz

     TCAの時は公称のUP・DOWN周波数の近辺になります。

      (例) UP : 145.850MHz   DOWN : 435.175MHz

     LOSの時には、UP周波数は「+2KHz〜 +3KHz」ほど高めに、
     DOWN周波数は「-6KHz〜 -9KHz」ほど低めに設定します。

      (例) UP : 145.852MHz   DOWN : 435.169MHz

   これらをAOSからLOSにかけて、UP・DOWN周波数ともに連続的に無線
   機の周波数を変化させていくわけです。「TrakBox」というハード
   を使えば、この周波数の変化を自動で追尾させていけるようです。


 4.「TNCの設定を的確に」

   「GSC」の「Setup」の中で、TNCの設定を的確に行うことも重要で
   す。衛星との通信速度は「HBAUD 9600」で良いのですが、マシンと
   は「ABAUD 19200」にしておくと画面表示スピードが速くなります。
   そういう理由で、「GSC」では、「Speed」を「19200」に設定して
   おくとよいと思います。

   また、「MAXFRAME」は一度に送信できるフレーム数のことですが、
   地上のRBBSでは、これを「7」と大きくしておいてよいのですが、
   衛星には小さなブロックを確実に送信することを考えて、「1」に
   設定します。

   「PACLEN」は「255」に設定しておきます。また、「TX Delay」は
   「200ms」くらいが適当でしょう。


 5.「ファイルの大きさに注意」

   地上BBSでは、ファイルの大きさは気にも留めませんが、衛星に対
   しては考慮すべきだと思います。まず、実験としては「300Bytes」
   くらいから始めるべきでしょう。300バイトです。行数にして約
   5〜6行くらいでしょうか。当然、半角アルファベット・数字のみ
   の文章です。不必要な空白もできるだけ省いておきます。

   この極小のファイルでも、送信状況が悪い時(混信等)には1回で
   アップロードできず、2〜3回のオービットを要す時もあります。
   また、リトライの回数も何十回も要す時もあります。

   こうして、まず極小のファイルでアップロードに成功しておけば、
   後は条件の良い時を選べば、だんだん大きなファイルのアップにも
   成功するようになります。それでも、せいぜい数十KBytesまでです
   けど。(ヨーロッパ等、混信が全く無い空気のきれいな所(?)から
   は、数百KBytesのファイルのアップもできるようです。)


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