衛星通信のために必要な機器 #1


● (EISEI.4) 衛星通信のために必要な機器  #1 (1993年 7月29日)
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 【無線機】
    目的とする衛星のアップリンク、ダウンリンクの周波数帯の送受信ができる
   ものでよいのですが、衛星通信で使用する電波形式は通常SSB波やCWで行
   われ、日本の衛星 FO-20 のデジタルモードのように、FM波でアップリンク
   することもありますので、オールモードの送受信機が必要となります。
    送信機と受信機を別々に用意してもよいですし、最近では送受信機一体型の
   無線機が良く使われています。例えば FO-20 では uplink 145MHz帯、downlink
   435MHz帯なので、TS-790(KENWOOD)、FT-736(YAESU)、IC-970(ICOM)という機種
   あたりでしょうか。あるいは、短波帯の受信機にクリコンを付けて受信するこ
   とも可能です。ちなみに私は TS-790(KENWOOD) を使用しています。

 【TNC】
    アナログ通信では必要ないものですがデジタル通信においては必需品です。
   FO-20 では、AX.25 による信号をマンチェスターコード化したAFSK信号をFM
   送信機で送信し、そしてPSK変調波を受信する決まりになっていますので、
   これらの信号を変調・復調するモデムとTNCが必要になります。欧米共同製
   作の衛星 AO-16、LO-19 の uplink にも、この方式が採用されています。

    一昔前は、JAS-1用のモデム というものを自作しなければなりませんでした
   が、その後、DANNET-12M、DSP-12、PacComm PSK-1 などのTNCにこの機能が
   内蔵されて発売されました。また タスコ電気(株)の TNC24mkII & PSK-1 でも
   対応できましたし、最近では、JASモードが最初から組み込まれている同社の
   TNC-241 が主流になっています。

    英国の衛星 UO-22等の 9600bpsにアクセスするためには、TNC-241 & TMB965
   または、G3RUH設計の AFSKモデムが必要で、かつ、TNCをKISSモードで働か
   せます。

  【アンテナ】
    地球の近くを円軌道で回る FO-20を受信するだけならば、無指向性のGPで
   も可能と言われていますが、いずれ AO-13などの長楕円軌道で回る衛星もアク
   セスするようになるでしょうから、クロス八木アンテナにすべきでしょう。

    衛星通信ではアンテナの指向性を鋭くし、利得を大きくする必要があること
   があることから 145MHz帯では 8エレ以上、435MHz帯では12エレ以上、1200MHz
   帯では20エレ以上が望ましいとされています。

    衛星より飛来する電波の偏波の変化に対応して、右円偏波・左円偏波に切り
   替えのできるビーム・アンテナとして、市販のマスプロ電工(株) の WHS-32N
   (通称 オスカーハンター)が良く知られています。ただ現在では生産してい
   ないようで、私はこのアンテナを入手するのに本社に手配するなど苦労しまし
   た。 145MHz帯(12エレ×2)、435MHz帯(20エレ×2)で、ともに長さが4mほどの
   大きいアンテナです。他のメーカーでは アンテン工業(株)の GYX や、米国製
   の短めの偏波切替のビームアンテナもあります。

 【コンピュータ】
    FO-20 は、RS232Cインターフェースによる端末装置 (ターミナル) を持って
   いる装置を、TNCに接続することにより通信ができます。他の、UO-22等の
   デジタル衛星は、IBM PC/AT/XT用のソフトを使用することが前提になっている
   ので、IBM系のコンピュータを用意しなければなりません。 私は、すでに化石
   となっている 98ノートNVと、その後入手した DOS/V機 と IBM純正機 を使用
   しています。
                           (本編 EISEI.53 参照)

 【通信ソフト】
    衛星 FO-20 には普段地上で使用している通信ソフトで送受信できます。私
   は普段、フリーソフトウェアの『DXTERM.EXE』を地上の RBBS に使用していま
   すが、FO-20 にもこれでアクセスできます。ただし、衛星 AO-16 や UO-22 等
   は、通信効率を高めるためにブロードキャストプロトコルを採用しているため、
   アップロード用に『PG.EXE』、そしてダウンロード用に『PB.EXE』というソフ
   トウェアを必要とします。しかも、この『PB.EXE』を用いると、自動的に衛星
   からの各種データを受信してくれるという画期的なソフトです。

    この『PB/PG』はフリーウェアであり、JAMSAT(日本アマチュア衛星通信協会)
   においても頒布されています。その使用法については、本編 EISEI.32 以降を、
   また、入手方法については本編 EISEI.51 と FUROKU.20 を参照して下さい。



    (補足) 『PB/PG』の他、デジタル衛星を運用するためのソフトウェアとして
       '95 11月現在、次のソフトが知られています。


       『TPB.EXE』    : この PB/PG を改良した送受信同時運用ソフト
                本編 EISEI.25 参照。 (by JN2LHU 岡本氏)

       『   ?   .EXE』: さらに PB/PG を改良し、マウスの使用を可能
                にしたソフトウェア。   (by JH7CKF 福田氏)

       『SATSKED.EXE』: PB/PG を改良したソフト。JAMSAT NL #150〜152,
                #168 を参照のこと。   (by WA2N / R.Wayne)

       『SATLINK.EXE』: PB/PG を改良したソフト。次の URL から入手可。
                         (by NZ3F / J.Buckwalter)
                http://www.amsat.org/amsat/ftp/software/PC/
                           pacsat/ sl951107.zip

                '95 11月、JN2LHU 岡本氏により PC98系に移植
                されました。   (NIFTY-Serve FHAMAD Lib.1)

       『WiSP』  :      以上のソフトは、全て DOS 対応のものですが、
                『WiSP』は、Windows対応の唯一のソフトです。 
                本編 EISEI.49 以降、および FUROKU.6 以降で
                詳細に解説してあります。入手方法については
                本編 FUROKU.20 を参照して下さい。
                          (by G7UPN / C.Jackson)


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