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第19回サロマ湖100kmウルトラマラソン完走記

 おかげさまで、2回目の挑戦で完走を果たすことが出来ました。
たいして文才もないので、この文章が完走記と呼べるものかどうかは怪しいですが、準備からレースまでを振り返りたいと思います。つたない文章ですが、最後までお付き合いしていただければと思います。

【準備】
エントリーを済ませた2月から、完走するための計画を立てました。4月の富士五湖77kmを含めて最低3回は50km以上のロングを走ること。5月のサロマ湖走りこみ月間に300kmを走るために3月から距離を伸ばしていくこと。この2つを達成し、自信をもってスタートラインに立つことを目標に掲げました。
途中までは順調だったと思います。富士五湖も無事完走し、4月は250km走りました。若干ひざに違和感があったのが気になっていましたが、今までの経験でこの程度なら大丈夫と踏んでました。結果としてその見通しが甘く、5月8日のうどんランで違和感が完全に痛みに変わり、以降長期休養を余儀なくされることになりました。結局5月は150kmにも満たさず。6月になってようやくランニング再開のめどは立ちましたが、いつ痛み出すか分からない状態は相変わらず。いまさらあがいてどうなるものでもないので、水泳などで体力の維持に努めるなどして、ひざ以外は万全の状態で望むように心がけました。幸い体調を崩すこともなく過ごすことが出来、1週前のそうか公園で痛み無く12km走れて、完走はともかくなんとかレースにはなりそうだという感触をもち、本番に臨むことになります。

【作戦】
去年のサロマや今年の富士五湖での走りを考えて、制限時間ぎりぎりのレースになることはあらかた予想できました。なので最初から無理せず、10kmを65〜70分のペースで行こうと決めました。ジムのトレッドミルでも時速9.4km(キロ6分20秒です)に設定し、このペースを体に染み込ませました。
持ち物ですが、今回はウエストポーチはつけないことにしました。やはり荷物は最小限に減らして、ストレスなく走るほうが良いと判断したためです。ただ暑くなった場合を考慮し、30km地点のスペシャルドリンクに200mm程度の小さいペットボトルを用意して、持ちながら走ることで水分はいつでも補給できるように準備しました。結果的にこれが大正解で、ペット君はレース中大活躍をしてくれました。あと所持品としては、ランパンのポッケにカーボジェルと痛み止めのバファリンです。

【いよいよスタート〜20km】
いよいよ大会当日がきました。目覚めもよく、体調もばっちり。行きのバスの中では素晴らしい朝焼けを拝みました、1日良い天気になりそうな感じです。
午前5時、号砲とともにスタート。長く厳しい1日になるのは必至ですが、100km先のゴールにたどり着くことだけを考えて、慎重にスタートラインを通過しました。
結構前のほうからスタートしたこともあり、まわりはかなりなスピードで走っていきます。予定通り6分を少し上回る程度のペースなのですが、どんどん抜かれていきます。まだまだ先は長いのであまり気にはなりませんでしたが、ちょっと周りに流されペースが速くなった感じで、最初の10kmは63分と想定よりやや早めでクリアしました。
序盤の誤算は20kmまで水分以外の補給物がなかったことで(プログラム通りなのですが、自分は15kmにあると思い込んでました)、竜宮台の折り返し(17km)では早くもガス欠気味に・・。20kmでたくさん補給してなんとか収まりましたが、この影響で前半は体が重く、この先が思いやられる事態でした。

【20km〜55km(緑館)】
去年は恥ずかしながら20kmでもう歩きが入ってしまってたんですが、今年はゆっくりながら歩くことなく進めています。ひざも走り屋御用達のサポータのおかげで小康状態を保っています。ただこのサポータがややきついので、大腿筋が圧迫されてちょっとぴくぴくしてきました。なので途中からはサポータをまくり、腿にかからないようにしてました。このあたりは体も一番余裕があり、田園風景を楽しむことができました。まだ先を考えるには早すぎるので、ある意味気楽であったということもあります。35kmからは国道に入り、小刻みやアップダウンが出てきますが、そこでもペースを守って快調に走ることができ、バテ気味のランナーを次々と抜いていきました。42.195kmは4時間40分ぐらいで通過。タイムは去年とほとんど変わりませんが、今年はまだまだ余裕があります、ペースも6分程度に上がり、「ひょっとしたら完走できるかも」なんて思ったのもこのあたりです。
そんな思いが一気に吹っ飛んだのが48km付近でした。さっきからぴくぴくしていた腿がついに攣ってしまったのです。「マジ!!こんなところで・・」というのが正直なところで、道中リタイアを考えた唯一の瞬間でもありました。とりあえず止まってストレッチ、給水所まで歩いてアイシングしなんとか修復。走れるようにはなりましたが、おかげでこの先は常に腿の痙攣におびえながら走ることになります。これで疲労感が一気に出てきて、上りでは歩くことが多くなりました。10km70分を越えるようになりましたが、まだ走れてはいるので「まだ大丈夫」と言い聞かせて、55kmのレイトステーションにたどり着きました。

【55km〜70km】
緑館では着替えもせず靴も替えず、10分程度でレースに復帰しました。ここから長い上りが続くのですが、ちょうどブルーゼッケンをつけていい感じのペースで走っているおじさんを見つけたので、一緒に走ることにしました。さすがサロマンブルーといった貫禄で、キロ7分程度で黙々と上っていきます。60kmを通過して国道とおさらばします。去年は62.5kmの給水で立ち止まったっきり走ることが出来なくなったのですが、今年はゆっくりながらもまだ走れてます。「走れていれば大丈夫」何度この言葉をつぶやいたか分かりませんが、本当にそう思っていました。しかし65km過ぎてからは平地でも歩くことが多くなってきて、いよいよきついなあという感じになってきました。67km付近のエイドでは、ウルトラランナーでは有名な夜久さんがへばって横になってました。ワッカで再び会ったので、復活はしたようですが、完走されたかどうかはちょっと分かりません。こっちも歩いたり走ったりを繰り返しながら70kmを通過。8時間23分。去年はここがゴールでしたが、今年はまだまだ続きます。

【70km〜80km】
もうこのころでは頑張っても1km8分程度はかかるようになり、ちょっと手を抜くとたちまち9分台に突入してしまう状態。9分以上かかると80kmの関門通過が怪しくなるので、なんとか8分を維持するように1km1kmを到達点にして進んでいきました。鶴雅リゾートは有名なお汁粉エイドなのですが、あんこ類が苦手な自分は手が出ず・・・。ちなみに自分は梅干もダメなのですが、レース中は背に腹は変えられぬの思いで各エイドで食べまくってました。鶴雅リゾートを出てからも相変わらず歩いたり走ったり・・・。もうこれ以上早くは走れんなあと思いながらも、80kmの関門には何とか間に合ってとりあえずワッカを見ようとそれだけを考えながら前に進みました。80km通過は9時間47分。関門閉鎖13分前に通過しました。

【80km〜ゴール】
ここからは関門がゆるくなりますが、歩いてゴールできるほどの時間的余裕はありません。さすがにワッカへの上りは歩きましたが、そこからはなるべく走るように努めました。まあ走るといっても早歩きぐらいのスピードしか出てないんですけど。
ワッカの景色は素晴らしかったのですが、それを楽しむ余裕はなかったです。むしろ延々と続くワッカの道と、豆粒のようにしか見えない遠くのランナー姿にうんざり・・というのが正直なところです。小刻みにアップダウンが続くので「ここは歩くか、いや頑張って走るか・・・やっぱ歩こう」という感じで、上りは歩き下りは走る。平地はなるべく走る。ワッカではずっとこんな感じでしたので、道しか見てなくて、周りの草花は見れませんでした。エゾスカシユリがきれいだったとゴール後誰かが話してましたが、残念ながら私の目には留まりませんでした。
ワッカを抜けて残り2km。30分の余裕があることを確認し、ようやく完走を確信しました。あれだけ苦しんだのに、もうあと10分ちょっとで終わると思うと少し寂しい気にもなったりして。でもとにかくゴールをめざして進みます。常呂町民センターの道を曲がり、待ちにまったゴールゲートが見えたときは思わず涙が出てきてしまいました・・。Kenさんとタンマさんの姿も確認。最後は帽子を取ってゴール!12時間49分38秒。制限時間まであと10分ちょっとというところで私の長いレースはようやく終了しました。

【レースを終えて】
1週間たった今でも完走という実感が湧きません。普通のマラソン大会とはちがい、完走できるかどうかまるで未知数、遥かかなたのゴールを目指して一歩一歩進んでいく旅みたいな雰囲気を感じます。だからゴールという「点」ではなく、ゴールまでの長い道中の「線」としての印象の方が遥かに強く残りました。

爆弾だった左ひざは最後まで痛まずにもってくれたこと、ほんとに奇跡としか言いようがありません。あと途中で攣った腿も最後まで再発することなく頑張ってくれました。Kenさんやタンマさんの余裕の完走に比べて、自分の実力のなさや努力不足は否めません。それでもぎりぎり10分の差で完走できたのは、1年前に比べて自分がそれなりに成長し、努力をつんだことのご褒美かなと思っています。

以上で終わりです。つたない文章を最後まで読んでくださった皆様、ありがとうございました。
(さんすりーこと、やまもとたもつ)