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みちこ&敬の守口門真歴史ミステリー探索13
「みっちゃん。“なぎさにて・・・”で、守口門真と古代朝鮮半島との地理的近さを考えてみたんだけど、もっと掘り下げてみようと思うんだ」
「ふうん」
「森を見る必要があるものね」
「なるほど・・・」
「地理的には守口門真を離れることになるけど、広い視界から大きく俯瞰して見ると面白いよ」


「ここは古代の渡辺津、または難波の小江(後に大江・現在も地名が残る)だよ。上町台地の北端にあたり、渡しがあった所なんだ。防人
をはじめたくさんの人々を送り出し、多くの人々を迎え入れた所で、大阪湾から河内湖に入る要衝でもある」
「天之日矛を遮ったのが渡しの神(なぎさにてでは海峡の神と表現)だから、ここを管理する神というわけよね。納得だわ」
「渡辺津、または小江は新羅江(しらぎえ)ともいったそうなんだ」
「新羅江の新羅って、天之日矛の国のことでしょ」
「うん。新羅の国名が冠せられるぐらいだから、密接な関係を推測できるよね」
「玄海灘をこえて、瀬戸内海を抜け、はるばる到着した大和国の入り口というわけね。こうした動きが地名に投影されるなんて、余程のこ
とよ・・・」
「これだけじゃないんだよ。この地と朝鮮半島との関係の深さを物語るのは・・・・」
「天之日矛伝承もその一部よね」
「もちろんそうだけど、各地に朝鮮関連の地名がたくさん残っているんだ。たとえば、古代朝鮮半島の国家名でいえば、百済(くだら)という
地名もある。近くの久太郎町という地名も“くだら”の転化ということなんだ。全体として渡来人の存在と大きさを示しているよね」
「なるほど。朝鮮半島との地理的近さだけでなく、もっと深い関係が存在するようね」
「うん。たぶん。たとえば、古墳の築造、治水などの高度技術を保持して大きな社会的影響力を持っていた可能性もある」
「・・・・・」
「全体として渡来人の存在とその大きさが地名や伝承に投影されていると考えられるよね」
「地名は歴史の記憶ね。埋もれてしまった出来事が投影された、いわば“時の記憶”」
「うん。いえてるね」
「天之日矛伝承もこうした社会的歴史的状況を背景に持ったものなのね。つまり当時の難波の国際的役割を物語る・・・」
「うん」
掲載地図
大阪市設置の熊野街道解説石碑の一部。渡辺津など一部表示の挿入は当館によります。
八軒家浜の地名は江戸時代、三十石舟の船着場でもあり、船宿が八軒あったことからこの呼称になっ
たという。
交通
京阪線 天満橋 地下鉄線 天満橋
参考文献
「地名の古代史 近畿編」 谷川健一・金達寿 1991 河出書房新社
「白鳥伝説」 谷川健一 1986 集英社