みちこ&敬 守口門真歴史ミステリー探訪G


                          内侍所奉安殿址碑   盛泉寺 


       「敬ちゃん、この石碑なんだかわかる」
       「うん、明智先生にいわれて少し勉強してきたから・・・」
       「内侍所奉安殿・・・・・?」
       「明治天皇の大坂行幸に関係があるんだけど、すごく興味深い話だよ」
       「ふうん、どんな話なの・・・」
       「この間、NHKの"その時歴史が動いた"という番組で大坂遷都を取り上げていたけど、大坂遷都に関係があるんだ」
       「でも、そのまえに、内侍所奉安殿のことを教えてよ」
       「内侍所というのは賢所ともいって、皇室の三種の神器のひとつ神鏡を祀り安置する宮殿でね。奉安殿も同じような施設
        の意味だよ。行幸に伴い、盛泉寺に特別につくられたということなのさ」
       「へえ・・・三種の神器」
       「皇室の大事な宝で、皇位継承にも関連する重要な存在だから、古典"平家物語"などにも出てくるよ」
       「ふうん」
       「電化製品でひところ三種の神器という言葉がはやった時があるけど、ここから出ているのさ」
       「テレビとか電気洗濯機とかのことでしょう」
       「うん、そうなんだ」
       「皇室の三種の神器というのは、剣、鏡、曲玉だけどね」
       
       「で、敬ちゃん、この話が興味深い、というのはどういうことなの」
       「これがね、大坂遷都の性格をあらわしているかもしれない、ひとつのミステリーだからさ」
       「??????」
       「都はずっと京都だっただろ、794年、延暦13年に奈良から京都に移ってからずっとおよそ千年も続いているよね」
       「そうだよね」
       「それだけ考えても京都から都を移すということが大変な仕事だということがわかるよね」
       「そりゃそうだよね。いろんな利害もからむわよね」
       「うん、だからこそ、"その時歴史が動いた"のテーマにもなるわけだよね」
       「でも、敬ちゃん、都は江戸、東京に移っているでしょう。大坂はどうなったの?」
       「まぼろしの都。話はあっという間につぶれたのさ」
       「計画を進めた中心人物が、大久保利通。ち密に計画をたてて事を処理する人だから、まぼろしの計画になるなり方が少
        し気になるよ」
       「どういうこと」
       「遷都計画全体の中で、大坂遷都計画は陽動作戦だったんじゃないか、と思えるのさ。初めから東京遷都が本命でね」
       「・・・・・」
       「こう仮定するとね、守口宿泊の意味がクローズアップしてくる」
       「どういうこと?」
       「大坂行幸で反応に注意しながら、守口宿泊でさらに細かく情報を整理する・・・なんていうことができるかもしれないだろう」
       「・・・・・」
       「京都の動きも大坂の動きも守口からだと客観的につかみやすいのかもしれない。一歩距離をおいてね」
       「ふうん」
       「明治維新の大きな動きの中に守口がしっかり組み込まれた瞬間だよ」
       「その時歴史が動いたで守口が出てきた?」
       「ぜんぜん。出してほしかったね。東京遷都はすぐれた計画だものね。大久保利通ならそこまで先を読んでいたと思うからね」
       「ふうん」
       「宿駅は情報が必然的に集まるところだよね、なぜなら人を受入れる社会的役割をになっているわけだから。情報の集積が
        守口門真の人たちの視界を広げ、先が見えることにつながったと思うのさ。大塩平八郎の乱に守口門真が深くかかわるの
        は、この歴史的事情があ るからだ とぼくには思えるほどだよ」
       「なるほど、飲み込めてきたわ。大きなミステリーね」
       「ちょっと、がんばろうか。探偵さん」
       「ふむ、"まぼろしの都`ミステリーと呼ぼうか」

       「みっちゃん、お腹空いたね。食事にしない」
       「賛成」