
町衆の智恵ミステリー

みちこ&敬 守口門真歴史ミステリー探索ファイルC

| 「敬ちゃん、格子のある建物の雰囲気って・・・・すてきねぇ・・・」 「歴史のにおいがするし、絵になるよね」 「あれって、すごい発明よね」 「町衆の知恵の結晶だけどね、あれも、実は江戸時代の社会的事情から盛んになっているんだ」 「へぇ・・・???」 「いまでも法律で建物の建て方を規制しているけどさ、江戸時代はもっとすごかったのさ。たとえば、町屋には二階建が許されなかったんだけど、理由がね、町人が武士を見下ろすことができるからなんてふざけたものなんだ」 「ふーん 格子が盛んになったのはどうしてなの?」 「道から下げて建ててはいけないという規制があって、町屋は道から後退させずに建てるしかなかったんだ。おまけに、町屋は左右の建物も近接して建っているから、建物の開放部分は表と裏しかないだろう。採光や風通しを考えると道路に面した部屋はで きるだけ採光できて、風通しもよくしたいよね。でも、なにもせずに開放すると、道路から丸見え、無防備だよね」 「ふーん」 「格子がこの問題を解決したのさ。レースのカーテンのように外からの視線をさえぎって通風と採光を確保できたし、おまけに人の侵入に対しても防備できるという優れものだものね」 「ほんと すごいよね」 「格子が建築技術の問題というだけでなくて、封建時代という社会システムとも深くからんでいるという視点も大事だよ」 「そうだよね」 「ところで、みっちゃん、封建時代の規制を町衆が智恵でクリアしている問題はほかにも見つかるよ」 「ほんと? なんだろう」 「ミステリーにしようよ」 「ふむ、では、町衆の智恵ミステリーと呼ぼうか」 「ハハッ お互い がんばろう」
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