マンガが描いた戦争の時代 2−3

                    戦争と少女マンガという舞台B

                視点を変えて描かれた戦争 

 朱花(ジュファ)の空
         八剣ヒロキ・吉祥寺一矢
   朝鮮の少女の目からみた戦争の時代
  朝鮮の人々に日本名を名乗ることが強制された「創氏改名」(昭和14年)に対する朱花の抵抗


 見る角度で見えるものが違うものである。さまざまな角度から見たものが総合されて全体像を形づくるということになるだろう。
 日本人一般に見えた時代と戦争も、国籍や立場を異にする人々から見たら、当然違って見えることになる。このあたりまえの問題に少女マンガはどう対応しているだろうか。







         白の軍団
             石坂啓
  




 白の軍団って・・何 割烹着を着た普通の女性たちのことである。


 国防婦人会など戦時下にいくつかの女性組織が生まれている。記録写真を見ると、みな一様に白い割烹着を着ている。”ぜいたくは敵だ”というプラカードを掲げて、軍部の肝いりで一大デモンストレーションを最初に挙行したのはこのような組織であった。
 普通の人々の戦時下の変貌は、古今東西を問わない問題点のひとつであろう。戦争から最も遠いところにいるようにみえる女性たち、どっこい、そうじゃないんだよ、という問題提起のマンガである。
 「女性は戦争の被害者」という視点だけではとらえきれない複雑な現実。視点を変えると、被害者どころか加害者の性格も見えた、ということだろう。

    フランチェスカの長い道
           大岡まち子 貸本少女マンガ 
   ユダヤ人少女が遭遇した苛烈な戦争


 ナチスドイツのユダヤ人迫害の中で懸命に生きる少女フランチェスカ。
 迫真の強制収容所描写。
 恋人ミハイルとの出会いと強制収容所からの脱走。
 ナチスドイツのユダヤ人迫害を真正面から描いた秀作。