第13回フィールドノート 2005・12・8  宇 治


        

                    渡辺党の足跡を訪ねて初冬の宇治へ出かけました。

                                 
 1 宇治川
    
  
   
   宇治駅(京阪線)改札を出ると河畔はすぐそこでした。さっそく河原へ。     
   宇治川上流滋賀県瀬田産出のある岩石を探すことが本日の目的のひとつでした。
 

              


  
  1時間ほど探して幸運にも目的の石を見つけることができました。少し飛躍しますが、「坂の上の雲(司馬遼太郎作)」の世界が身近に感じられました。この石は、日露戦争時、旅順要塞攻撃を指揮した第3軍司令官乃木将軍愛好の石なのです。


           


2 激 流


       
2005・12・8


 
  宇治橋上から見た渦巻き流れる宇治川の激流です。これを近代日本に見立てたら、この転石を、激しく動く時代に生き、苦闘する人々にたとえることができるでしょう。

      


3 そして、平安末期

 
     時代が激しく動きます 

      

  宇治川の流れを体感することは、平家物語理解のための素養といえるかもしれません。宇治川先陣争いなど、往時の勇者の物語をより深く理解することができるでしょうから・・・源頼政挙兵時の攻防においても、いくつかのエピソードが記されています。

 ※ただし、写真の激流は管理されたもの(上流にダムが所在)ですから、往時の流れはこれよりずっと激しかったと考えて良いでしょう。

     宇治川先陣争いの碑(木曾義仲軍と義経軍の攻防)




4 過ぎ去った栄華物語       
        
          紫式部に出会いました

      


  
  宇治は源氏物語の舞台でした。
  しかし、源平争乱の時代になると、舞台は暗転して、過ぎ去った栄華物語と化していました。
  騎馬のいななきに満ちる武者の世界の到来です。




5 宇治橋



      




  源頼政の挙兵に際して、平家軍は宇治川右岸、頼政軍は左岸という布陣で戦端が開かれます。
  押し寄せた平家軍は三度鬨(とき)の声をあげ、源氏軍もこれにこたえます。
  橋板を取り除かれた宇治橋を大軍が進撃することは無理でしたから、宇治川をはさんで矢合わせが始まります。




6 紅葉回廊


  



  宇治橋から宇治川河畔を歩きました。左岸はまさに紅葉の回廊。馬いかだをつくって宇治川を押し渡る平家の武者たちの赤旗はこのようなものでしたでしょうか。

  ※ 写真右側に宇治平等院。




7 源頼政の最後

   宇治平等院

   


 
  宇治平等院に拠って寡兵よく奮闘した頼政軍でしたが、衆寡敵せず最後を迎えます。しかし、時を移さず、頼政に続いて各地の源氏が平家に抗して立ち上がります。

   


          
            「釣殿」                      「扇の芝」 釣殿隣接地


 
 それぞれ、源仲綱(頼政の長男)、源頼政の自刃地です。
 頼政の自刃にあたっての郎党「渡辺唱(とのう)」とのエピソードが印象的です。 




8 宇治川対岸へ

  


 
  平等院を後にして、中州を経由して宇治川対岸へ。中州に「宇治川先陣争い」の碑が建っています。
  対岸には、源氏物語ミュージアムなどがあり、見学の予定をしていたのですが、時間がなくなり後日の楽しみになりました。


                   

           


       初冬の宇治。紅葉が美しく、大変楽しい散策でした。
              

      交通

       ○宇治平等院 宇治橋など     京阪宇治線宇治駅歩 JR宇治駅歩

                                     





 

  

     

     

  6