商店街の盛衰 について思うこと

   競争の深化


   需要の縮小を環境にした商店街の行方について @


  ご承知のように、年々縮小する年収(参考データ@)、年々深まる将来不安。
  この社会環境で必然的に強まるのは消費の縮小ではないか。支出を抑えた緊縮財政運営はもっともな対応である。言葉を変えれば、先き行きの厳しさが財政(家計)の引き締めにつながることは至極当然の結果といえよう。

どちらかというと、商店街の環境で軽視されがちな問題が「需要の縮小にともなう競争の深化」である、と私は思う。端的にいえば、需要の縮小は激烈な競争をもたらしつつある、といえよう。
 たとえば、華やかな投資の背後には影の部分がある、という現象を引き起こす。
 このような視点に立つならば、ある特定の地域に対する行政の支援は、それが局部的な支援であるならば、その成果が全体に波及するという見通しのもとに進められる必要がある。
 局部的優勢をつくり出すとしてもそれを全体に反映できる、という見通しがなければ、それは公平性を失っていると、判断せざるをえないであろう。


 競争の深化は、行政の公平性を微妙なものにするということだろう。

 画像は、2013年10月撮影のある商店街。シャツターを降ろした店が目立つ商店街のひとつである。
 商店街の基礎は、営業が個々の商店主の生活を維持できるというシンプルな原則である。地域社会における社会的役割も重要だが、個々の商店の営みが商店主の生活を維持できなくなったら営業の必要性は失われる。これが続く限りシャツター通りがいずれ出現するということになる。極めてシンプルな原則である。
ここに競争の問題が大きくかかわることになる。

 生活を維持できない営業の不振が業種を問わないで拡がる場合、これは衰退現象である。営業を維持できないばかりか、さまざまな問題が生じることになる。たとえば、資産にも影響が大きく作用することになる。衰退現象の重要な要素としての資産価値の減少が不可避となる。たとえば、このような商店街における「貸店舗」の需要はどうだろうか。閉じた店が目立つ商店街で借りようという需要を掘り起こすことは簡単ではないだろう。閉じた店を売り出す場合も同様である。借り手がいない、買い手がいない、店舗の資産価値は急速に失われる。これが個々の営業不振にとどまらない衰退現象のひとつである。


 未来の可能性とともにストックも減退する、という深刻な事態である!!

                           
2013・10・17  第2部へ続く









   参考データ@ 民間給与実態統計

  「民間給与実態統計調査」(国税庁)発表  

 減り続ける年収 

    2012年・民間企業平均給与・408万円

     2011年(1年前)比     1万円減
     2002年(10年前)比  40万円減    

 雇用形態別では300万円の格差

 正規労働者の平均給与   468万円
    非正規労働者の平均給与  168万円

   
        
       大阪市内(2013年10月)

   
 





  第2部

  需要の縮小を環境にした商店街の行方について A


  厳しい状況でさまざまな努力をつくしている愛媛県、北海道、岡山県など各地域の生々しい実情を学んだが、商店街の奮闘には頭が下がる。
 
  しかし、現実は、成功するケースは少なく、多くの苦闘が実らない場合が圧倒的に多いということである。
  ある自治体の担当者はかかわった取り組みを不成功のケースとして苦渋の表情で語っていた。

  困難の主因は、これまで述べてきた「需要の縮小にともなう競争の深化」ではないか、と私は思う。もちろん、地域の実情は多様で単純ではないだろうが、収入の継続的減少と不安定な雇用状況を背景にした需要の縮小と競争の激化は、一般的背景として主要な原因ではないか、と愚考する。
 
  可処分所得の増加がなければ、消費は当然抑制される。これに将来不安が重なれば、いっそう厳しいものになるのが当然である。
 主因を取り除くことが急がれねばならない。そうなってこそ、多くの商店街関係者、日々苦闘する業者の努力が実る、ということであろう。
  
 
 「街を訪れる魅力」いっぱいのショッピング空間
  
   として多くの関係者の努力が実ることが期待される。


                              2013・11・7  第3部へ続く





    愛媛県のある商店街の実態

    2012年・空き店舗率 52・9%


    徳島県小売事業所数の推移

     1985−91年    1・4%減
     1991ー99年   12・6%減
     1999−07年   28・6%減   ※

  ※ 規制緩和(大規模小売店舗立地法)で
    郊外型大型小売店舗の展開がしやすく
    なった。
    その結果(競争)であろう。

     
       紅葉の古寺(2013年11月)

     魅力あふれる空間は人が訪れる

 
 
 第3部

  需要の縮小を環境にした商店街の行方について B


  需要縮小の主因は収入の減少と将来不安と考えてきたが、家計のストック面からこれを裏付けるデータが公開された。

       
金融資産なし世帯・・・31

  金融広報中央委員会(事務局・日銀)は
「家計の金融行動に関する世論調査」結果を7日公表。それによると、2人以上世帯で31.0%が「金融資産を保有していない」と回答。2011年の28.6%を上回り、調査を始めた1963年以降最悪の結果が明らかになるとともに年々減り続けてきたようすがうかがわれる。3世帯に1世帯は金融資産がない、ということであり、さらに増え続ける可能性がある、ということであろう。預貯金を取り崩して生活している世帯の苦境が垣間見える。


    これでは

   購買力が落ち込んで、減り続けて当たり前・・・


  これを裏付けるデータはいくらでもあるでしょうが、日本マクドナルドの10月売り上げの落ち込みも一例です。9月も落ち込んでいますが、10月はさらに厳しくなっています。

 
                                2013・11・8  第4部へ続く


     日本マクドナルド       

       2013年10月売上

  全店    −8.8%(9月−2.3%

  既存店   −9.7%(9月−3.4%

  来客数  −13.9%(9月−6.5%






 

第4部

  需要の縮小を環境にした商店街の行方について C

      生活保護の拡大がとまらない。
    深まり続ける貧困


  
  2013年12月の生活保護受給者数などが厚生労働省から発表された。
  11月と比べ受給者数、受給世帯数ともに過去最多を更新。

  
  これでは


  購買力が落ち込んで、減り続けて当たり前・・・
  
  ということになるだろう。



                                      2014・3・10  第5部へ続く


 
  
  被保護世帯数、被保護実人員             

   被保護世帯数  被保護実人員
 13年12月  1598072世帯  2167220
 13年11月  1595596世帯  2164857
 13年10月  1594729世帯  2164338
 13年9月  1590911世帯  2159808
 13年8月 1590249世帯  2159877
 13年7月  1588521世帯  2158946
 13年6月  1583308世帯  2153122
 13年5月  1582066世帯 2153816
 13年4月  1578032世帯  2151843
 13年3月  1578628世帯  2161053

            厚生労働省調

 



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