淀川紀行E ひなだ 水の可能性の創造
水との対峙は重要な問題なのですが、もっと重要な問題は、水との共存にほかなりません。創意工夫に満ちた水の利用こそがくらしのベース
です。その営み(建設)があって、はじめて水は豊かな可能性を持ち始めるわけで、水郷が創造されることになります。本ページでは人々の豊か
な創造の足跡を少しずつ紹介していきます。
「ひなだ」は縦横に発達したクリーク(水路)の利用方法のひとつです。クリークの消滅とともに姿を消すことになりました景観です。
水の豊かな可能性を文化、経済、地理的に創造しえた地域である水郷のくらしのイメージとして「ひなだ」を標題にしました。
水路とひなだ(守口市梶町2)
1 ひなだ
梶町2丁目に「ひなだ」が水路とともに保存されていました。
水路に水はなく、ねこちゃんが秋の陽射しを浴びていましたが、豊かな水郷をイメージすることができるでしょう。
さんまいた
2 三枚板(舟)と水郷のくらし
縦横に発達したクリークを交通運輸の動脈として使い、三枚板と呼ばれる舟が使用されました。
牛も乗せることができる大型のものもありましたが、7〜8メートルの長さのものが普通でした。
水路・ひなだ・三枚板・段蔵
@ 三枚板のある景観 (大東市御領 2004/12)
大東市御領の水路に浮かぶ三枚板。ひなだも見られます。
保存の取り組みがあってこそのこの景観。水郷の足跡を訪ねてこの地を訪れた8年前の感動がよみがえりました。
水郷のくらしがここにあります。
A 最後の船大工
交通運輸の要で水郷のくらしにかかせない三枚板の生産には舟大工さんが従事しましたが、古川筋に多く住まいし
たようです。東野家は代々「三枚板」の生産に従事してきましたが、、東野種一氏の手による平成4年製作の三枚板が
大東市立歴史民俗資料館に展示されていますが、最後の三枚板です。
水車と三枚板(大東市立歴史民俗資料館) 門真市稗島の樟と古川筋(2004年12月)。
製作(平成4年) 製作者
東野種一氏 大阪方面行きの乗船場があり、船宿までありました。
B 三枚板の保存と公開施設
◆ 大東市御領 野外展示 クリークの景観とともに観察することができる希有の例でしょう。
◆ 大東市立歴史民俗資料館 最後の舟大工東野種一氏の手による最後につくられた三枚板の展示。東野氏使用の三枚板生
産用具も所蔵。
3 生産と水郷のくらし 公開予定
水郷ならではの生産活動。数々の創意工夫など生産に焦点をあてて探ります。
ちょっと休憩
@ 守口門真ミュージアムエリアで紹介しています「ミュージアムロード」でも「ひなだ」が紹介されています。
A 「三枚板」の購入の話が現代マンガ資料館にもかってありました。河内平野を飛び回っていた8年も前の話です。急速に姿を消
す「くらしの文化財」に対する危機感が背景にありました。とても無理な話で断念しましたが、あきらめた文化財の記憶は消える
ことがないようで、ときおり思い出されます。次回は、水郷を行き交った舟「三枚板(さんまいた)」に焦点をあてて、大東市立歴史
民俗資料館館、水郷のグラスゴー「古川筋(門真市等)」周辺をたずねます。(2004/11)
●8年ぶりに大東市御領を訪れました。(2004/12/16)
水郷の景観を保存する努力が続けられていました。クリークに浮かぶ3隻の三枚板。水郷をリアルに実感できる希有
の地域です。 「ひなだ」や「段蔵」も観察することができます。
守口市梶町などとともに保存に力をつくす皆さんの努力に敬意。
交通と観察のポイント
@ ひなだ園地 梶町2
最寄駅 ●大阪市営地下鉄 大日駅 ●京阪線
門真市駅
A 大東市立歴史民俗資料館
大東市新町13−30大東市立総合文化センター内 072−873−3521 月曜休館 午前9時〜午後5時30分
JR学研都市線「住道」駅 南東徒歩5分
B 大東市御領の水郷
大東市御領 JR学研都市線住道駅 徒歩30分 バス便あり。
C 稗島の樟 大阪府天然記念物
門真市稗島 地下鉄鶴見緑地線「門真南駅」歩 分(調べ中)