第3回ユニーク・ミュージアム体験 鍵屋資料館
東海道枚方宿、時の重みを背負ってたたずむ船宿、鍵屋。ミュージアムに変身しています。
枚方宿そのものをひとつのミュージアムと考えたら、鍵屋資料館は、その中心です。
淀川をミュージアム舞台と考えたら、鍵屋資料館は近世水運の卓越した語り部といえるでしょう。
1 時の重みを背負った空間
三十石舟に乗船する人々が参集した空間。
どのようなドラマの記憶があるのでしょうか。近世の面影を残して、静かなたたずまいを見せています。
くらわんか舟と三十石舟の乗客とのやりとりの映像を楽しみました。やじさんきたさんをイライラさせたやりとりです。また、くらわんか舟の展示、くらわんか茶碗などの展示も近世淀川の交通を身近に体感できるものでした。
2 東海道枚方宿散歩
西見附からみる東海道枚方宿
自転車で淀川の河川敷を走り枚方大橋をこえた所(鍵屋浦=船着場)で堤防の上に出ました。堤防 から鍵屋資料館の裏が見えています。この堤防を下ると枚方宿の西見附でここから枚方宿に入ります。宿に入るとすぐ左側に鍵屋です。
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鍵屋は「鍵屋浦には碇がいらぬ、三味や太鼓で船止める」と賑わいをうたわれた船宿です。
さらに進むと浄念寺ですが、ここで道は急角度に右に曲がります。おなじみの本陣防衛を意図した桝(ます)形です。宿駅の性格を物語るとても大事な要素です。
浄念寺の近くには船番所・問屋場、しばらく行くと本陣、脇本陣などがあり、枚方宿の中枢でした。枚方宿はここからさらに長く広がり、京阪線枚方駅をすぎてさらに進み、宿の京都からの入り口東見附は天野川のかささぎ橋の西詰です。
枚方宿内に設置されたわかりやすいガイド
西見附、東見附などにあります。写真は浄念寺前のものです。
過書船って何
過書とは通行許可証のことで、通行許可を受けている船のことなのです。船番所は船の取り締まりが役目のお役所で伏見、淀、橋本、枚方、大坂に置かれていました。
三十石船は大坂八軒屋浜と伏見間を朝と夕方の二回定期運行していました。
船頭4人、乗客定員28人の旅客船でした。のぼりは一日、下りは半日を要したようです。
食らわんか
ていねいに表現すれば、召し上がりませんか、という意味です。食らうという言葉は食べるという意味ですが、少し乱暴な言い方です。三十石船の乗客に飲食物を商う船ですが、「酒食らわんか、飯食らわんか」という調子で荒々しく売りつけるところが名物でした。
淀川の船旅を楽しくしたようで、やじさんきたさんがびっくりするようすが「東海道中膝栗毛」に描かれています。下図は安藤広重の浮世絵に描かれた三十石船のようすを模写したものです。
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くらわんか茶碗(現代マンガ資料館蔵)
枚方市立枚方宿鍵屋資料館
○ 所在 大阪府枚方市堤町10−27 072−843−5128
○ 開館日時 9時30分〜17時(受付は16時30分) 火曜休館(祝日の場合は翌日) 年末年始
○ 入館料 大人200円 小中学生 100円
、○ 交通 京阪線「枚方公園駅」 歩約5分