これは右側の写真です。平行法で見て下さい。

この写真では後ろに見える高層住宅や手前の低い建物も立体的に見え、前の写真と随分違うことが解ると思います。
立体視しないで一枚ずつ見るとほとんど同じ写真なのに、それぞれ全く違う写真と言えると思います。この写真では手前の欄干の左右でのズレが大きくすぎて、旨く焦点を合わせる事が出来ません。ここに秘密があります。

この2組の立体写真は、この風景を見ている視点が異なっています。

もっと解りやすく言えば、見ている人の大きさが違います。初めの写真はたとえば現実の人間が見た風景であり、後の写真は巨大な人間が見た写真と言うことが出来ます。ではどうして後の写真では赤い欄干に焦点が合わせられ ないのかと言えば、この巨大な人にとって欄干までの距離が近すぎるのです。
現実の人と欄干までの距離は5メ−トル位ありますが巨大な人間にとっては10センチ位の距離になってしまうからです。

この写真は私が住んでいる沼袋駅の近くの踏切を撮影した物で、一台のカメラでの二回撮りです。とても立体感が強調されています。まるで鉄道模型を見ているように感じるはずです。
通常、人はこの様には絶対見ることが出来ません。人は遠くの物やとてつもなく大きな物を立体的には見えません。遠くの山々はまるで絵に描いた風景とあまり変わりませんし、月はボ−ルの様と言うよりは画用紙を切り抜いて空に張り付けた感じです。立体的と言うことを考えればこの様な表現になります。それではこの踏切は誰が見た写真なのでしょうか。
この写真も人間が見た風景ではなく巨大な生物、たとえばキングコングが見た風景だといえます。キングコングが地面から顔をだして電車のくるのを待っているというイメ−ジというのはどうでしょう。立体写真とは必ずそれをみている視点がくり込まれている写真だと言うことが出来ます。