まずもっとも基本的なことから述べたいと思います。平行法は左の目で左の写真を右の目で右の写真を見ます。また交差法は左の目で右の写真を右の目で左の写真を交差して見ます。

従って、平行法と交差法では写真の並べ方が逆になります。立体写真は交差法か平行法か必ずどちらか一つの方法でしか表示できません。以前ある立体写真集を購入したとき、その写真の説明に交差法、平行法どちらでも得意な方で見て下さいと書かれていましたが、これは間違いです。

もし平行法で表示した写真を交差法で見るとまたはその逆でも立体写真にはなりません。たとえば壁の前にたっている人が壁に埋め込まれて見えます。立体写真集を出している出版社でさえこんな初歩的な間違い犯しています。

また平行法で写真を表示するときは、一枚の写真の左右の大きさが7センチ以内の方が一般的です。これは左右の目の間隔によるものですが、訓練次第ではもっとおおきくても大丈夫だと思います。しかし、特別に訓練しなくてはいけないというのは一般的でなくここでは勧めません。交差法は写真の大きさの制限はありません。

それでは具体的に平行法をとりあげます。平行法はよくボ−ッと見るとか焦点をはずすとか言われますが、たぶんこのこと自体が感覚的に解らないと言う人が多いのではないでしょうか。わかりやすく説明しましょう。
まず、椅子にでもすわって部屋の隅の方を見て下さい。3メ−トル以上離れている方がいいんです。

たとえば壁にカレンダ−が貼ってあるとしたらそこを見て下さい。より具体的なほうが、つまり4日は何曜日であると言うようによくみてください。その状態でひとさし指を顔の前15センチぐらいのところにたてて下さい。目の焦点はあくまでもカレンダ−を見ています。すると突然視界に入った人差し指ははピントがぼけてぼんやり二重にみえるはずです。

別の言い方すれば、人差し指が二本になってみえるでしょう。このぼんやりと二本になって見える指の位置が立体写真をみる位置なんです。

人差し指にピントをあわせたもの。

遠くに見えるスピ−カ−やスクリ−ン
はピントがあっていません。
スピ−カ−やスクリ−ンにピントをあわせたもの。

すると、近くに見える指のピントがずれて、ぼんやり2本えます。