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モノローグ

 

最近撮った写真を見返してみると、自分にとって写真が写し取るものは被写体の「意味」ではなく「かたち」であるような気がした。
いったんもとの被写体のもつ意味 - たとえばそれがカーブミラーでありその役目は死角にある車の接近を知らせるもの、とか - が削り取られポジにはツアイスレンズによって美しい色とかたちが残される。

ぼくはその過程においていくばくかの演出を加え、できあがったものを見返してみるとさまざまな解釈ができるものとなる -

これはブレッソンなどの受け売りなのか、大きな勘違いなのか、ともかくそう感じる。
見えるものを正確に写し取るのも技術が必要かもしれない。しかしもっとも面白い瞬間は見えないものが写し取れたときではないだろうか。

2000 May, 25

K A W A S A K I

これは川崎工場地帯のある工場付近で撮影したもの。なかなか良いカットがたくさん撮れそうだったのだけど、なにしろ目が痛くなり鼻も曲がりそうになってくる中で30分が限界であった。
一般公道からの撮影だったのだがばい煙がひどかった。たいした我が街である。

青い発色はデジタル処理によるレタッチではなく、タングステンフィルム(RTPII)の昼間光での使用によるもの。タングステンフィルムは色温度の低い照明を基準にしているので通常の色温度のところで撮ると大きく青かぶりをする。ここではその効果を狙ってみた。

このアイデア自体は別に目新しいわけではないけれども、単に思い付き写真にならないために構図も仕上がりのイメージを念頭において不安定さを強調してみた。

玄光社のカラー撮影マニュアルなどの教則本によると昼間光といっても実際は色温度の低い直射光と色温度の高い間接的な青空光とのミックス光であり日陰とかはっきりとどちらが優位かわかるところ以外では見当がつきにくいという。さすがにこの目的のためにカラーメーターを買うわけにも行かないのでこの辺も勘所が必要だとは思った。

また天候も選んだ。撮影は青空が半分ほど存在してかつ太陽が隠れる程度の雲の日を選んで行っている。
ほんとはベルビアを長時間露光させてカラーバランスをくずしてやろうと思ったのだけれども今回はより安易で確実な手段をもちいた。

しかしGレンズの良さには改めて感心した。特に一枚目、ビオゴンで撮った写真。シャープネスと発色、そして正確なかたちの再現はほんとに写真を助けてくれる。

2000 May, 16

鎌倉に立つ十字架

鎌倉といえば古都や寺院と言うイメージもあるけれども、歩いていると実は教会がとても多いことに気が付くでしょう。鎌倉のもう一つの顔が明治以後の人口と文化の流入なのでそれは納得できることなのです。
ここでテーマとして捉えたのはそうした教会の中でも古い鎌倉教会会堂(#1&2)と雪ノ下教会(#3)です。
鎌倉教会は初期ゴシック建築の建築物で1926年にハリス記念鎌倉メソジスト教会会堂(プロテスタント)として建てられたものだそうです。

これは鎌倉市指定の重要建築物の一つでもあります。

3番目のヨゼフとマリア像の写真はわざとアウトフォーカスだけで狙ってみたものです。画面でピントの合った個所は意図的にありません。

P135のボケとトーンがとても美しかったので画面構成をシンプルにしてアウトフォーカスと露出を切り詰めただけで演出してみました。
これも奇をてらったわけではなく、あくまでヨゼフとマリア像の夢幻なイメージを再現したかったからです。

ところで今回引用したテキストはヨハネ福音書(PASSIOはキリスト受難劇)からの引用ですが、わたしがこれに興味を持ったのはアルメニアの現代音楽家、アルヴォ・ペルトの作品に使用されたからです。

これは古楽では有名な声楽グループのヒリヤードアンサンブルを起用した名作であるPASSIO/Arvo Part(ECM NEW)に録音されています。
アルヴォ・ペルトは教会音楽の静謐な美しさの中にもミニマルの影響を感じさせる前衛的な影響をあわせ持つ現代音楽家でおもに教会からの委託で作曲をしています。

今回はこれをBGMにしながらページを作成しました。

最後に一言。教会関係の方でしょうか、門の前ではじめ遠慮がちに撮っていたらにこやかにどうぞどうぞと中へ招かれて撮らせてもらえました。感謝いたします。

2000 June, 4

 

 








 

 

 

 

 

 

 

 

 


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