PCとつながらないOA機器たち

 最近、「テプラ」を買いました。去年、「テプラミニ」は買って使っていたのですが、「ミニ」は耐久性がもうひとつなのと、長いテキストが入れられない(30文字が限度)ので、ビデオのタイトルラベルなどに使いにくいからです。で、新しく買ってきたのは「テプラプロ」のSR323。現行モデルのなかではいちばん安い機種ですが、けっこう役にたってます。

 これと、去年買った「たいこバン」。あ、これは同じキングジムですね。「たいこバン」はスタンプを作る機械で、作ったスタンプはゴム印の使用感にはやや負けますが、ちゃんと実用になります。新しいモデルだと使えるスタンプの種類が増えて、認印まで作れるようになったり、文字入力がダイヤル式でなくキーボードになったりと改良されているので、いまから買うなら新型の方が良いでしょう。

 これと、さらにキヤノンのFAX機、CF-H3CL2。こいつは要するにキヤノンご自慢のBJプリンタの応用製品でして、インクカートリッジもBJC-35v等と共通です。インクカートリッジの箱を見ると、キャノワードとか、INNOVA(ノートPC)とか、いろいろな機械にBJプリンタが搭載されてることがわかります。おそらく、メカはほとんどおなじ設計のものを使って組み込んでるんでしょうね。FAXに使うなら360dpiで十分だし、FAX用のスキャナと、NCUを搭載すれば一丁あがりで、おまけにメカがカラーBJプリンタそのまんまなので、カラーのスキャナも積んでおけば(これはBJプリンタ用のオプションでありましたよね)カラーコピーにもなっちゃう、で、実際そういう製品になってます。

 これらに共通していること。なんかとってもPCと相性がよさそうなのに、どれもPCとつながらないんですよね。

 たとえば、「テプラ」でつくるラベルなんていうのは、ROMにフォントを積んで、あのちっちゃな機械の中だけでやるよりは、シリアルでもUSBでも積んでもらって、編集はPCでやっちゃえ、というのが、コンピュータに毒された人種の考えることなわけです。「たいこバン」も同じですね。FAX機なんて、プリンタ+スキャナという構成なんだから、パラレルポート1本出しておけばPCから両方使えそうなものなのに、そんなものは一切ついてない潔い構成です。

 では、FAX機のことはおいとくとして、ラベルとかハンコのことを考えることにしますが、PCにつながるようなそういうものはないのか、というと、これが実はちゃんと存在していて、ブラザーがラベルプリンタ、スタンプ作成機ともども出しています。ただ、なかなか店頭で見かけません。「テプラ」と、これの対抗製品のカシオ「ネームランド」はどこに行っても売ってますが、ブラザーのラベルプリンタ、たしかP-TOUCH PCとかいう名前だったと思いますが、これを見たのはヨドバシカメラOAマルチメディア館2階がはじめてでした。スタンプ作成機の「スタンプクリエータ」は、去年だかおととしだかのWindows World Expoで見た程度で、店頭に出ているのを見たことがありません。買うつもりでだいぶ探したんですけどね。

 そういうわけで、言ってみればしかたなく「テプラ」と「たいこバン」を買ってきたわけですが、これがなんと便利なんですよ。まず、でかいだけで融通の効かないPCの電源を入れる必要がない。PCとつなぐ必要もない。そりゃ確かに書体は限られるし、外字だとかロゴだとかがどうしても欲しい局面では困ることもあるかもしれません(キングジムに頼むと作ってくれるそうですが)。でも、電源入れていきなりちょいちょいと入力して、ほい、と印刷してすぐぺたんと貼る、そのくらいの用途なら、わざわざPCなんか使う必要はないんだなぁと思えるわけです。スタンプなんてのも同じで、字数がそんなに多くない、おまけに原寸大でプレビューが印刷されて出てくるわけですから、これまたPCでやることもない、と。

 これには、現在のPCのそういう意味での使いにくさという点にも責任があって、たとえば、こういうものを周辺機器としてラインアップするなら、これから作るなら当然USBになるわけですよね。しかるに、USBコネクタがアクセスしやすい筐体の前面とか、ディスプレイに標準装備されているPCはいくつあるでしょう? ほとんど筐体の後ろ、それも他のコネクタ類の近所にありますよね。

 ソニーのVAIOのタワー機には、DV端子を筐体の前面近くのサイドにつけたものがありますが、ああいう形だと、DVカメラをちょいっと繋いで使おうという気になれるでしょう。これが筐体の後ろだけだったら、まず使いたくはありません。さすがAV機器を本業にしているソニーだなと思います。

  鶏と卵なのかもしれませんが、PCの側も使う人のことを考えてちょっと歩み寄る(前面パネルにUSBコネクタを装備するなんて簡単なことです)、PCとつながらないOA機器のメーカーも、コストにちょっとひびくかも知れませんが、USBを装備して、ちょっとソフトも書いて、というのをやってくれたりすると、今の手軽さはそのままに、ここ一発のとき(?)にはPCにつないでフクザツな仕事もできる、というものができるかもしれません。ただ、今の便利さは、全部がひとつのボックスで完結している「軽さ」にある、という面もあるので、そこのバランスが商品としては難しいでしょうけど。

 そこまでPCとつながることにこだわるなら、なんでブラザー製品を買わなかったのか、というと、ブラザーのラベルプリンタは専用のラベルを使うからです。この種のものって、テプラとネームランド、それにこのブラザーで、似たようなものをばらばらに出してます。βとVHSどころの騒ぎじゃなくて、互換性なんてまるで考えられてない世界です(ユーザにしてみればすごい迷惑な話で、統一して欲しいところではありますけど)。同じメーカーのなかでも、改良された新型は互換性がないとか…ただ、そこはキングジムにしてもカシオにしても、事務機の世界で鍛えられた(?)流通網がありますから、サプライが全国どこでも手に入るというのは強みです。ブラザーのP-TOUCH PCだと、そこがちょっとつらいですね。

 なんかPCの話になってしまったので本筋に戻りますが、こういう、PCと違った世界を作っている「軽い」OA機器の世界ってのはけっこう面白いです。PCの周辺にはほとんどないような機器だし、しかも、仕事の現場ではわりと必要になるんですよね。以前の私なら、ラベルはラベル用紙にPCからプリントしてハサミで切っていたところですが、最近は迷わずテプラに飛びついています。その方が楽チンだからです。

 PCの世界は飽和した、とか、同じような機械ばっかりで夢がない、とついぼやいてしまいがちな今日この頃ですが、そう考えてくとまだまだ面白いネタはあるんだろうなぁ、と、「テプラ」でビデオのタイトルを作りながら思ったのでした。


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