いつの頃からか「趣味の酒つくり」という本がうちにはある。
入門編から高級編と、いろいろ作り方が書いてあるけど、一番簡単そうなミード酒が、本当に作れるのか試してみよう。
【用意するもの】
1.はちみつ
2..ドライイースト
3.水
4.メジャーカップ
5.はかり
6.ビン
と、ある。これでできるのか? 買わなくとも全部うちにあるぞ。(今回の場合、メジャーカップ、はかりは使わなかった。)
【作り方】
本には、
はちみつ250グラムに
水をたして、計1リットルにする。これに
ドライイースト茶さじ半分を混ぜる、とあるので、
はちみつ1キロだと
水をたして計4リットルにすればいいのかな。
梅酒用の大きなビンに
はちみつ1キロと
水3リットルを注ぎ、
ドライイーストを茶さじ2杯を加えてビンごと振って混ぜる。
あとは蓋を乗せておくだけでいい。
厳密に言えば、
はちみつ1キロと
はちみつ1リットルは違うかもしれないが、まあやってみよう。
【観察】
混ぜ終わった
はちみつと
水と
ドライイーストを、摂氏20度から25度くらいで保存しておくと、
はちみつが、炭酸ガスとアルコールに分解されるらしい。たしかに、しばらくすると、こまかい泡が無数に浮かんでくる。これが炭酸ガスか。
これを始めたのが4月の下旬で、気温が15度くらいしかなかったので、電気ざぶとんの小さなものを梅酒用ビンに巻きつけておいた。
夏は数日、冬は1週間でできるとあるが、10日過ぎてもまだ泡が出つづけている。量が4倍だから日数も4倍かかるのか?
透明になってくれば、分解が終わりということなので、ときどき見る。そうしているうちに透明になってきた。これが5月の20日ごろ。作り始めて3週間から4週間というところ。
底の方に薄く沈殿しているのはイーストだろう。透明なところをおたまですくいあげて空の一升瓶(友人持参の八海山の空き瓶)に移す。2本分のミードが完成。
このまま飲むのもいいらしいが、本にあるようにレモン汁を少し入れ、味をつける。はちみつを少したらしてもいいようだ。
冷蔵庫で冷やしておいたものを呑めばいいのだが、今回は氷でオンザロック。かなりおいしいようだ。それにアルコール度数もけっこうあるようだ。味に付いての評価は、オレのDNAは酒の味がわからないようで、連れ合いの味覚による。
中国産のはちみつなので、使用を躊躇したが、どうせアルコールと炭酸ガスになってしまうのだから大丈夫だろう、という安易な考え(値段も安いし)が優先した。
●ここで、値段の比較をしてみると、
酒1升が2000円として(ちなみに「八海山」は1升3000円以上するらしい)、
■はちみつ1キロが600円
■イーストが50円(茶さじ2杯分)
計650円で3.6リットル、ということは1升で325円。
ミードのアルコール濃度がどのくらいかはわからないが、自分で作るほうが安くできて、よりおいしいと思う。
●巣から取り出したばかりのはちみつには野生の酵母が含まれていて、ドライイーストを加えなくとも自然に発酵するらしい。はちみつの糖度が高すぎても低すぎても発酵は起こらず、だいたい4倍にうすめればいいようだ。
こんなに簡単に自分で作れるとは思わなかったが、本当にできてしまった。
●炭酸ガス発生中にビンの蓋を密閉してしまうと破裂の危険がありそうなので、蓋は乗せておくだけにした。
●ビンの底に沈殿したイーストを「生イースト」というようで、これを「家庭用パン焼き機」で使用したら、見事に失敗。説明書を読んだら、「生イースト」は使えないと、ちゃんと書いてあった。残念。
■おそらく数千年前から世界各地で飲み続けられてきた、ローマの英雄シーザーも飲んだ、ハネムーンの語源ともなったこのミード。あまりにも簡単にできてしまう。
シーザーも、「まあ、おまえも一杯飲めよ」とかクレオパトラに言って、二人の時間を楽しんだはずだ。彼が、彼女とこの酒を飲んだのは、たぶん50才の頃、場所はエジプト。ところで、彼女は何才くらいだったのかなー?サイトで調べると、そうです、30才年下の20才くらいの時。
世の中のお父さん! ミードを飲めば、期待とやる気がもりあがってくること間違いなし!
で、いつかは、野生の酵母が含まれている採りたてのはちみつでドライイースト無しで作ってみたい。酒と人間との関わりに思いが馳せる。(2008.6.1)