ケガニ(毛蟹)やクリガニの恋愛は凄いぞ!ちょっと真似できないぞ!  -2012.03.04Up

 昨日は3月3日、お雛祭り、上巳の節句ですね!
こうした日本の伝統文化は大切にしたいものです。

さて、今回は、美食の代表格の一つ、蟹さんのお話です。基本原稿は昨年5月23日に書いていたものですが、前々からUPしたいと思っていたものでした。

【雌のケガニ】

先の土曜日(2011年5月21日)、市場に行ったら「メスのケガニ」があるよ・・・と店の大将に言われた。
ん?雌の毛ガニ…?
確かに内子の入った毛ガニは見たことないなぁ〜

聞くと、
メスは、基本的に通年禁漁なのだそうだ。
ただ、ナンだったか?ある特定の時には致し方ないという事があるらしい。

水槽には何匹かのメスのケガニがいる。
色合いが赤っぽく、
形も、普段見る毛蟹とはちょっと違って丸っこい。。
一匹、もらっていくことにした。

←これです。ねっ、形ちょっと違うでしょ!
形は、クリガニorトゲクリガニにちょっと似てますね。

(他には、ニギスとコショウダイを購入)

帰宅してネットで調べてみると、
メスと8cm以下のオスは獲ってはいけないことになっているらしい。
なので、メスは一般に流通することがない。

また、
>ケガニの雌は恋愛をするに常に受け身なんです。
>雄はかなり乱暴です。

との情報も某BK氏からいただく。。

へ〜そうなんだ〜
メスは、昔の清楚な日本女性の様なのかな〜!?
オスは、私とは違うな。。
などと、思ったりしつつ興味が沸いてくる。

さて、
市場でゲットした貴重な「メスの活ケガニ」は、
さっそくお酒に浸けて、
夕刻には、醤油・味醂・お酒を煮切って漬け込みました。沖漬け風ですね〜〜

翌日の日曜日、つまり昨日(2011.05.22)ですが、
このメス毛ガニの沖漬をいただきました。

(蟹の沖漬けについては、こんど詳しく手料理レシピにのせますね!!
セコガニの季節にはいつもやってます。。)

甲羅を剥がすとこんな感じですね〜、赤い内子が入ってますね〜
足の身や体の身をキッチンハサミで切って掻き出して
甲羅の中に山盛りにして、(こんな感じですね〜甲羅の右側↑)
準備万端、
これはお寿司が目的でした。握りの軍艦ですね〜
パクパク、飛び切りの美味しさです!!!幸せ〜〜!
もう一回(^^)/
蟹肉の軍艦、ミソの軍艦、内子の軍艦、あとはミックス軍艦、いずれも絶品でした!

美味しくいただいたところで、気になるのは、
ケガニの恋愛ですね!

【トゲクリガニの恋愛について】

ちょっと科学文献を探ってみました。
J. Mar. Biol. Ass. U.K. (2003), 83, 1007〜1013
「Observation on the mating behaviour of the helmet crab (Telmessus cheiragonus (Brachyura: Cheiragonidae)」

に参考になる記載が詳しくありました。

ケガニは英語では「Hear Crab」といいます。そのままですね(^^)
学名は、「Erimacrus isenbeckii」ですね。フランスではなんて言うのでしょうね?

「Helmet Crab」じゃ、違うじゃん!と言われそうですが、
このヘルメット蟹というのは「クリガニ」or「トゲクリガニ」のことなんです。
いずれも、「Telmessus cheiragonus」ですね。

トゲクリガニとは、こんな蟹です

これがトゲクリガニです。

テッペンの山形(M)の辺りの形で、トゲクリガニとクリガニの区別が付きます。

以前に市場で買った「活トゲクリガニ」です。
元気に生きていたので、実はこれも沖漬風にして食べてました。

ねっ!、形が丸っこくて、メスの毛蟹にちょっと似てるでしょ!

クリガニ科の蟹は、実は三種類しかいないんです。
  • クリガニ属に、クリガニとトゲクリガニ (Telmessus cheiragonus
  • ケガニ属に、ケガニ (Erimacrus isenbeckii 

、この三種類しかいないんですね〜

この三種が他のどの蟹類と近縁なのか?
これはまだ分かっていないそうです!
つまり、この三種の蟹だけ、他の蟹類と離れて独立した種なんです。

尚、このクリガニの恋愛行動についての研究論文では、
ケガニとの比較も記載してありました。

>ケガニの雌は恋愛をするに常に受け身なんです。
>雄はかなり乱暴です。

こんなケガニの恋愛ですが、
先ずは、全体像を示す図↓を掲げますので、これを参考にして下さい。

先ず、オスがメスにガシっと平均12日間ぐらい抱きついて、
メスがOKの印に、抱きつかれたまま脱皮します。
交尾前行動として、脱皮したメスにそのまま約40分抱きついて、
こんな感じですね〜
正面図
側面図
交尾は、この態勢で、平均110分ぐらいですね〜(エッ110分も!)
正面図
側面図
この状態で平均12日間も抱きついてます〜
その後、抱きつきポジションを変えて交尾します。
=================>>>
交尾が終わっても、抱きついたまま約4時間を経て、離れていくのだそうです。。
(う〜〜ん、ちょっと凄すぎますね〜!)

ケガニの場合も基本的には同じスタイルだそうですが、
交尾が終わったあとも、
なんと!!5日間ぐらい抱きついたままだそうです。(うむ〜〜)

どうしてこんなに長い間、ガードしているのかというと、
他のオスが交尾するのを防止するためだそうです。
クリガニの場合は、交尾後にしっかりした栓でふさぐのだそうですが、
ケガニの場合は、あまりしっかりしてないので、
他のオスに容易に再交尾されてしまうのだそうで、
それで、ガードするのだそうです。

メスのケガニはフェロモンを出してオスを呼び寄せるのですが、
このフェロモンは、交尾後も一週間近く出ていることが分かっています。
つまり、結婚後も魅力を振りまいているのですね。。
それで、オスケガニはその間防御する必要があるのです。

このフェロモンの構造も分かっています。

メスケガニのフェロモンは、こんな構造だそうです。
ケガニの行動、凄いけど、面白いですね〜

メスは、昔の清楚な日本女性・・・などと思ったけど、
実は、だれでも受け入れちゃうのかもしれませんね〜
オスは、乱暴・・・というよりも、
ただひたすら一人の女性を守り通す!っという事かも知れませんね〜

それにしても、凄いです!
しかし、いろいろ想像してしまったり・・・、う〜、いかんいかん(^^)/

以上、ケガニ・クリガニの恋愛についてでした。

尚、次回の雑記は寿司教室についての予定です。

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