続・韓国ドラマと韓国映画 -2005.01.08 その後追加記載(2005.02.06)

 すでに雑雑雑記で数回紹介しているように、映画「猟奇的な彼女」とドラマ「冬のソナタ」を切っ掛けにして、我が家では韓国のドラマや映画にどっぷり使っている。その後の様子などを記載してみよう。。。


 まずは、前回アップロードした後に見たドラマ

・ 愛の群像 全44話
・ 天国の階段 全20話
・ 夏の香り 全20話
・ バリでの出来事 全20話
・ 大長今 −チャングムの誓い− 全54話
・ 茶母 全14話

 入手済で控えているのが、

・ 初恋 全66話
・ 真実 全16話?
・ パリの恋人 全20話

 ついでに、以前に見てしまっていたドラマは、

・ 冬のソナタ
  - NHK版
  - オリジナルノーカット版(字幕)
  - NHKノーカット版(字幕)
・ 美しき日々
・ オールイン
・ ホテリアー
・ ロマンス 後半だけ
・ イブのすべて 後半だけ
・ 秋の童話 後半だけ

 その後見た映画(比較的最近見たもの)

・ ラブストーリー (原題:クラシック)
・ 彼女を信じないでください
・ 誰にでも秘密がある
・ 私の彼女を紹介します
・ 箪笥
・ 永遠の片思い
・ 同い年の家庭教師
・ スキャンダル
・ ボイス(原題:フォン)

 既に入手済みで見たい映画

・ シルミド
・ ピアノを弾く大統領
・ 彼女を信用しないでください
・ ノーウェアー
・ JSA
・ ラブレター
・ ブラザーフット
・ アンニョン!UFO
・ 風の伝説
・ 4人の食卓
などなど…

ついでに、以前に見てしまっていた映画
(コメント済み以外もあるけど…。)

・ 猟奇的な彼女
・ リメンバーミー
・ イルマーレ
・ シュリ
・ カル
・ 八月のクリスマス


 こうして列挙してみると、よく見たものだとつくづくする。。。これら映画やドラマの私的総合評価はここを参照。この中で私が特に推薦する五つ星★★★★★をあげたのは以下である。上に列挙したものはほとんど全てとても面白いのだが、以下はその中でも特に良かったもので、繰り返し見たくなったものだ。(実際見たけど…。)

[ドラマ]
・ 冬のソナタ
・ バリでの出来事
・ 大長今 −チャングムの誓い−

[映画]
・ 猟奇的な彼女
・ ラブストーリー
・ 私の頭の中の消しゴム
 (その後追加)


「冬のソナタ」と「猟奇的な彼女」はすでにコメント済みなので、その他について簡単に触れてみる。

バリでの出来事 http://tv.sbs.co.kr/bali

 このドラマを見たいと思った切っ掛けは以下の2点である。

@ オ・ヒョンランさんの公式HPのBGMに使われている曲「Remember」がこのドラマのOSTである。
A 「バリでの出来事」の放送終了の打ち上げパーティーがあった翌日が、オ・ヒョンランさんの公式HPのリニューアルした日であり、そのパーティの様子についてオ・ヒョンランさんがコメントを残している。

つまり、単純にいえば、オ・ヒョンランさんのファンとして見逃せないということだ。

 SBS開局?周年記念ドラマとして、2004.01月〜03月に放送されたもので、韓国ドラマとしては珍しく、交通事故も病気もでてこない恋愛ドラマである。主演はハ・ジウォン、チョ・インソン、ソ・ジソプの3人で、彼らが演ずるイ・スジョン、ジェミン、カン・イヌクに加えて、パク・イェジン演ずるヨンジュの4名の男女の強烈な愛憎劇である。題名が「バリでの出来事」となっているが、正確を帰すなら「バリを起点とした出来事」という意味に捉えるのが正しい。。。ハ・ジウォンは、映画「ボイス」・「友引忌」などホラー映画で有名だったが、2003年夏にはドラマ「茶母」でヒロインを演じた素敵な女優さんだ。チョ・インソンは、映画「ラブストーリー」で主演のソン・イェジン演ずるジヘがあこがれる先輩を演じていた。

財閥の御曹司ジェミンと婚約したヨンジュは、昔の恋人イヌクを尋ね、一緒にバリ島へ向かう。ヨンジュを追ったジェミンは、バリ島でイヌクに会うことに…。そして、この3人の観光ガイドになったイ・スジョン。バリで出会ったこの4名の男女が繰り広げる恋愛ドラマである。最初の数話をすぎるともうやめられないです。。。4人のこころの動きを考えながら見るとムチャクチャ面白いです。。。あなたは、ジェミン派、イヌク派??

@ 愛に苦悩するジェミン(チョ・インソン)の演技がすごい
A 何を考えているかわからない硬派な男(イヌク)を演じるソ・ジソプの不思議な魅力
B イ・スジョンをめぐるこの二人の確執
C そして、どんな結末が待っているのか?
D シナリオ、演技、音楽とも見事です。。。オヒョンランさんの唄は当然ですが、他の曲もとっても良いです。。。

 ところでこのドラマ、今TBSで深夜に、それも時間不規則で放送中です。
全く何を考えているんだか!!と怒りを覚える。こんなに良いドラマの放送権を買ったんだったら、みんなに見てもらえるように配慮しろ!と言いたい。くだらない番組ばかり作っているから、まともな判断力がなくなってしまっているのだろう。。。ドラマに対する冒涜である。
(2005/01/24追加記載)

大長今 −チャングムの誓い−]

NHK・BSで放送中である。冬のソナタ、美しき日々、オールインの流れで見始めたドラマだ。最初の数話を見て、もう見逃せません。12話まで終わったのですが、今はお正月休みでお預け状態。こんなに面白いのに全54話もあって、気が遠くなるほど先まで続く。。。そんなの待てないよ〜〜とか思っていたら、全話入手することができました。もう待てません。。。一気に全部見てしまいました。。。

これは傑作です。最高傑作といってよいかもしれません。2004年に終わった韓国ドラマでは、平均視聴率41%強で一番!。最高視聴率は57%にまでいったそうです。

 16世紀初頭、朝鮮王朝の宮廷でのお話です。女性に官職が与えられることはあり得なかったこの時代、王の主治医にまでなった実在の女性ソ・ジャングム(徐長今)の半生を描いたドラマである。チャングムを演じるのはJSAで有名なイ・ヨンエだが、実に美しい!。チャングムの凛として透き通って輝くような美しさに心を奪われました。。。このような美しさを出せる女優さんが他にいるだろうか??少なくとも日本の女優さんでは全く思いつかなかった。。。

 自らの失言から父と母を死に追いやってしまったチャングム。母の死を見取るところは涙なくしては見られない。この母の遺志を継ぐために、王宮の女官となり最高尚宮(チェゴサングン:王宮のコック長のこと)を目指すのだが、母の死の元凶であるチェ一族との抗争とミン・ジョンホとの愛を絡めて、チャングムの不屈の人生を描くドラマである。全54話という長丁場だが、面白くない回が全くありません。。よくもまあこれだけチャングムを窮地に落とし込み、それを克服させていくのか。。。(唯一強い違和感を感じたのは倭寇がしゃべる日本語−よく分からない!)

 先ずは、なんと言っても第5話まで出てくるチビチャングムが良い。。。美形とはいえないが、実にかわいい!。
チビチャングムの名シーンをいくつか紹介しよう!

チャングム初登場のシーン その一 チャングム初登場のシーン その二
既に死んでしまって食べられない母に、食べ安くするために木苺を噛んであげるチャングム。 自分の口をたたきながら「私は口が問題みたいです」と言う。最高の名シーンですね! 「砂糖でなく熟柿です」と答えたチャングムに、「何故熟柿だと?」と問われ、「えっ!肉を噛んだ時、熟柿の味がしたというだけで、何故かと言われても…熟柿の味がしただけなのに…」と答えるチャングム。

 このちび・チャングムを演じているのは、チョ・ジョンウンちゃんである(当時8歳)。監督が抜擢したというチョンウンちゃんだが、その名演技には、後を継ぐイ・ヨンエさんもプレッシャーを感じたそうだ。。。いくつかショットを紹介しよう!


他には、チャングムの師となるハン尚宮がまた美しい!。また人生の指針ともいうべき良い言葉がたくさん出てくる。

@ 王の主治医となるまでとチェ一族との抗争という長い流れのストーリーと1〜2話程度での決着する短いストーリーとが絡んで、最後まで常に引き付ける。。。
A 長いストーリーの中での伏線の張り方が見事
B 様々に絡みあうエピソード
C チャングム・ハン尚宮という師弟コンビの内面からほとばしる美しさ!
D 料理とその解説をする台詞の見事なこと。
E 病気とその治療を解説する台詞の見事なこと。

 こんなに面白いドラマは記憶にありません!

ハン尚宮を演ずるヤン・ミギョンさん(追加記載)

 皆が理想の上司として憧れるハン尚宮を演じているのは、ヤン・ミギョンさんという女優さんだ。実は、ヤンミギョンさんとチャングムを演ずるイ・ヨンエさんは、ドラマ「火花」(2000年)で共演している。当然二人の間でのやり取りもある。主役のイヨンエさん演ずるジヒョンの兄嫁役なのだが、この兄嫁は、ちょっととぼけていて気の利かないポワワ〜ンとした役柄で、およそハン尚宮のキリリとして心の強い頑ななまでに信念を通す役どころとは全く違う。最初は、良く似てる人だな〜とか思いつつも、とても同じ人とは思えなかった。でも、よくよく見るとやっぱりヤン・ミギョンさんなのである。二人だけのシーンもあって、おぉ!ハン尚宮とチャングムの師弟コンビだ〜!!とか思った。もっとも、とぼけたヤンミギョンさんの日頃の愚痴を、しっかり者のイヨンエさんに聞いてもらう場面で、チャングムとは逆の様子で、それがなんとも面白い。こんなに違う雰囲気を自然に演じられるヤンミギョンさんは本当に凄いな〜とつくづく思った。
 尚、ドラマ「火花」は、財閥の御曹司と婚約中のジヒョン(イ・ヨンエ)が、旅行先で知り合った医者カンウクと恋に落ち、そして愛し合うようになるのだが、相手の男性にも婚約者がいてスッタモンダする話で、これもなかなか面白いです。イヨンエさんの熱いラブシーンやベッドシーンが話題になったとのことですが、29歳のイヨンエさんは今にも増してムチャクチャ綺麗です。
 ヤン・ミギョンさんとチョ・ジョンウンちゃんは、先日(10/30)のチャングムファンミーティングに来ていた。会いたかったな〜!【以上、追加記載2005.12.04】

 さて、このチャングムは朝鮮の歴史、史実に合わせている。朝鮮の歴史に疎いのは当然だが、折角だから軽く調べてみた。

以下は、「大長今−チャングムの誓い−」の年譜である。太字は歴史上の事実で、それにドラマの内容を重ねてみた。。。大したネタバレにはなってないと思うので予備知識としてみておいても大丈夫・ケンチャナ。


■大長今 年譜(太字は史実)と資料
朝鮮王朝時代 李氏1392−1910

成宗 1469-1494

1482年8月: ソ・チョンス(チャングムの父)が、後の燕山君の母ユン氏の毒殺に関与
1485年: 「経国大典」完成(1460年から着手)

燕山君 1494-1506

1496年7月: チェ一族の陰謀によるパク・ミョンイ(チャングムの母)毒殺未遂
1497年: ソ・ジャングム(徐長今)生まれる
1504年8月: チャングム、ウサギを持って登場。この年、甲子士禍勃発(燕山君が生母ユン氏の復位問題を理由に両班を粛清した事件)。父チョンスと母ミョンイ逝去。
1506年: チャングム、晋城大君(後の中宗)と出会う(クーデター成立前日)。

中宗 1506-1544

1506年: チャングム、宮中に入る。その後、チョン最高尚宮就任。
1516年頃〜: チャングム、ミン・ジョンホと出会う。チョン最高尚宮逝去。ハン・ペギョン尚宮が最高尚宮になる。その後、硫黄鴨事件で済州島に追放され、医女チャンドクに出会う。済州島追放2年後、医女試験に合格して宮中に復帰。
1530年: 中宗の母貞顕王后没(1462-1530) (ドラマ中ではもっと長生きしてるけど。。)
1533年: 朝鮮王朝実録に「大長今」という表現が初めてでる。
1534年: 文定王后(ドラマの中殿媽媽)が慶源大君(のちの明宗)を生む。
1540年頃: 慶源大君の痘瘡。チャングム、王の主治医就任。大長今の称号。
1544年10月26日: 「余の体のことは女医(=長今のこと)が知っている」と中宗が発言する。(朝鮮王朝実録)
1544年11月15日: 中宗没(57歳)。チャングム、明へ追われる。

仁宗 1544-1545
明宗 1545-1567

1550年: 文定王后の摂政(垂簾聴政)時代。チャングム、ミン・ジョンホ名誉回復なる。


実在のチャングム<長今> (NHKホームぺージより抜粋・改変+追加記載)

 このドラマは実在の人物「長今」をモデルに描いている。実在の長今は、朝鮮王朝第11代王中宗に仕えた女医として、「朝鮮王朝実録」の「中宗実録」にその名前が記されている。長今(チャングム)の名前は10回ぐらい出てくるようだがで、何度もかくかくの俸禄を与えたとの記載がある。しかし生没年やその生い立ち、性格などについての記載はなく、ほかの文献にも見当たらない。「大長今」という表現は、1533年の記録に初めてでてくる。

 とはいえ、正史記録である「朝鮮王朝実録」にその名前が何度となく出てくることは、長今という人物が当時非常に優れた人物で、重鎮されていたと考えられる。実録には、中宗の発言として長今の名が出てくるほか、長今が語る中宗の体調や、長今に与えられた禄高などが記載されている。

 1544年(中宗39年)10月26日に記された「余の体のことは女医(=長今のこと)が知っている」という中宗の発言からは、中宗が長今に寄せていた信頼の厚さがうかがる。「大長今(=偉大なる長今)」とは中宗が長今に与えた称号である。

 ところで、ちょっと脱線するが、「朝鮮王朝実録」には「長今」と一緒に「信非(シンビ)」の名も出てくるそうで、シンビも俸禄を貰った記載があるので、シンビも実在の医女のようだ。ドラマの中のシンビはとっても可愛いのだが、ハン・ジミンさん(韓志敏:反自民ではない!)という女優さんだ。皆さん気がつくだろうか? ドラマ「オールイン」で、同い年なのにソン・ヘギョの子役をやった人だ。

■文定王后(1501〜1565)(ドラマの中殿媽媽のこと)(NHKホームぺージより抜粋・改変)

 中宗3番目の夫人。第13代王・明宗の生母。1515年章敬王后死去をうけ、1517年に文定王后に封じられる。1534年王世弟となる慶源大君(のちの明宗)を生む。中宗没後、世子ホが第12代王仁宗として即位するが、元来病弱だった仁宗は即位後1年も経たずに死去。異母弟である慶源大君が第13代王明宗に即位する。しかし明宗はまだ12歳であったため生母文定王后が垂簾聴政を行ない、その後8年間政治の実権を握り、王を傀儡とした。1565年明宗の時65歳で昌徳宮の昭徳堂で崩御 した。

 ドラマで中殿媽媽を演じたのはパク・チョンスクさんですが、このひとも素敵ですね。中殿媽媽に関しては、NHK版の吹き替えは失敗ですね。パク・チョンスクはもっと権威のある声と話し方をしてます。素敵なパク・チョンスクさんは他に何に出ているのかな〜とか思って検索したことがあるのですが、実は元々アナウンサーでドラマ初出演だったそうです(ビックリ!)。

◆病脈の分類 http://www.ou-hari.com/tyuigaku15.htmlより

 東洋医学の診察で、一般的であり、また最も重要視されているのが脈診である。

 健康な人の正常な脈を、平脈(正常脈)という。両腕3箇所すべてで脈がとれ、一呼吸の間に4回以上5回未満で約1分間に70前後とされている。脈が、太くも細くもなく、沈んでも浮いてもなく、柔和な中に力があり、リズムが一定して乱れず、深く押しても認められる。

 疾病により変化した脈を病脈といい、脈位『浮、沈』・速さ『遅、数』・強弱『虚、実』等から分類され、主なものに28種あるらしい。チャングムでは、下記の病脈がでてくる。まとめてみると。。。

こう脈 中が空洞の葱を押す感じ・真ん中が空いた感じの幅広い大きな脈・木が水に流されるような脈・かすがながら脈が途絶えるような感じ・出血(血を吐く・血便等)がある証拠
牢脈 強く脈打ちながら反動がない脈・沈んでいながらも力がある・変動がない脈・半産か子宮出血がある時
実脈 牢脈と似てるが、浮きながら力がある。
散脈 集まる感じがしない脈・汁を煮て肉が浮くようにばたばたする感じ・出産の前に表れる。
浮脈 コムタンを煮込むときに脂身をとるのに乗せた紙を押す感じ・汁を煮て肉が浮くようにばたばたする・脈が沈んできるが力がない・軽く手を当てただけで動きを感じられる脈・指先に力を入れて押すと指に満ちる感じで脈が散り集まらず動きが散漫で根がない感じ・風症(脈打つ力が強い)と虚症(弱い)を意味する。
滑脈
(こつみゃく)
脈の行き来が順調。(お盆にのせた玉が転がり流れるような感じ。女性が健康で滑脈の場合は妊娠の可能性あり)
相脈 ひと呼吸で6回も
弦脈 弓の弦を押す感じ・気血が集まり広がらない・寒さや暑さでも生じる・弦脈が片方にあるのは腹痛・ひきつけを起こす子供にも表れる
長脈 弦脈と似てるが、鋼のような感じ。(脈の波動の幅が長い感じ)
濡脈 浮いていて細く軟らかい。極めて軟らかい。気血不足。血虚(体内の血液の不足、ある部分の血液循環機能の減退によって起こる病理変化)。

張仲景: 第45話で、殿下(チューナー)の病状 -狐惑病- に関連してその名が出てくる中国漢代の医者。

 「傷寒論」、「金匱要略」(傷寒以外の難病を書いた本)を書いたとされ、これら医書もチャングムの中で出てくる。傷寒(しょうかん)とは、伝染病など急性の熱性疾患のこと。

張仲景の解説 http://www1.ocn.ne.jp/~seizan/seizan/china/P1-3.htm
張仲景の記載あり http://www.jugendo.co.jp/rekisi/
金匱要略解説 http://www.chuui.co.jp/013kinki_jobun.html
『金匱要略』解題 http://www.hum.ibaraki.ac.jp/mayanagi/paper01/kinkikaidai.htm
原文『傷寒論』『金匱要略』の合冊本 http://www.chuui.co.jp/010shokan_book.html
張仲景シンポジウム(1982)の記録 http://www.chuui.co.jp/015sympo_book.html

漢方漫歩(http://www.jinseido.co.jp/kanpo/manpo/980222.html)によれば、
 「狐惑病」とはベーチェット病のことで、中国古代の医書『金匱要略』の中で論じられており、この病気は五臓六腑のすべてに関わり症状も複雑なため「狐惑病」と名づけられた。現在の治療では、ステロイド剤や免疫抑制剤がよく用いられるが、これらの長期投与は副作用が伴うため、漢方治療に期待が寄せられているとのこと。
 漢方医学の経絡理論でいうと、目や生殖器は肝・胆とつながりの強い器官とされている。そのため肝胆の湿気と熱を取り除くのが治療の基本となる。ベーチェット病に対する処方としては、『金匱要略』の中には甘草瀉心湯、苦参湯などが紹介されているが、現在多く用いられるのは竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)である。数年前、口の中の潰瘍と目の炎症に長い間苦しんでいた患者にこの処方を投与して、著効を得たことがあるとのこと。

 ドラマの中では、内医正は本に記載してある「甘草瀉心湯」の処方を主張するが、チャングムは自らの使用経験から「竜胆瀉肝湯」を処方すべきと主張する。また、内医正は『肝腎陰虚』だと言うが、チャングムは『肝経湿熱』であると主張する。脚本が良くできていると感心します。

-(2005.03.25 張仲景追加)

 さて、このドラマ中には良い言葉がいっぱい出てくるので、『チャングム語録』として気のついたところをすこしリストアップしておこう!。チャングムの言葉だけではないけど。。。ついでに名シーン(?)等をいくつか -(2005.02.06追加)

◆◆チャングム語録◆◆

  • 身分は人が作ったもの、本は身分を問わない。(8話、ミン・ジョンホ)

  • 人(の心)が変わる時というのは大抵本人も気づかぬもの。緊迫した状況に置かれると、正しいかどうかより問題の解決を優先してしまう。そして、それに慣れてしまい自分の道を見失い、目前の課題に追われる。(17話、ハン尚宮)

  • 何も考えずにやらなきゃいけない時があるの。与えられた状況に逆らわずにやること。今がその時、やるしかない。恐れも考えも捨てるの。(21話、チャングム)

  • 辛さを受け入れるべきだ。辛さが骨にしみれば機会も巡ってくる。だから、精進を重ねて反省を重ねて静かに機会を待つのだ。そして、機会を作る。(23話、チェ・パンスル)

  • 何でも成功できる人の特徴は?…、単純で情熱的なこと。
    でも、重要なのはその次。現実を知りその上に立つ、人を惹きつけることと力を行使することを知ること。(30話?、チャンドク)

  • 自尊心とは他人ではなく自分が踏みにじるもの(46話、チャングム)

  • 反省とは自分の行いに責任を持つことです。自分の過ちを反省し、その償いをして2度と同じことをしないのが反省です。得たものを手放さずに、罪を何一つ世に知らしめずに、よく許しが請えますね。(47話、チャングム)

  • 私の命は奪えても、私の志は奪えません(49話、チャングム)

  • 周囲が健康でこそ病人も直るのです。周囲が直ると信じてこそ病が治るといいます。あきらめてはなりません。(51話、チャングム)

  • チャングムの出したなぞなぞ(37話)
    『答えは人です。どんな人か答えてください。
    この人は、はるか昔からの食医(宮中の飲食物の衛生を司った医官)で、中国皇室の食医の起源です。この人は家の奴婢同然で大変な仕事をこなし、また家の全ての人の師でもありました。この人が生きていれば天下は泰平で、この人が死ぬと天下が水に覆われたという伝説がある。誰か当ててください。』

◆◆名シーン等をいくつか◆◆

チャングム最高の料理:山苺正菓 (失意の中で) 海ではしゃぐチャングム 嬉しいかい? 悲しいです。
悲しいのかい? 嬉しいです。
怖いかい? わくわくします。
わくわくするかい? 怖いです。

(NHK34話:このシーンカットされてました。。おいおい!宮中に医女としてもどるチャングムの複雑な心境と二人の心の通い合いを示すこの名場面をカットかよ〜!)

ミン・ジョンホのプロポーズの言葉、『…。君は小さな薬局を…ひとつの家で。』に対して、
チャングムは、(まじ顔で)『嫌です。小さい薬局は嫌です。大きいのを開いてください。』
グルメな王様の視線… ミン・ジョンホとの再会
済州島で新たな決意(復讐と医者の道の両立)をするチャングム。それを見守るミン・ジョンホ。 チャンドク>怒りを解決することと医術のどちらも成し遂げることを願う。
何でも成功できる人の特徴は?
単純で情熱的なこと。でも重要なのはその次、現実を知りその上に立つ、人を惹きつけることと力を行使することを知ること。これに挑戦し成功すればどちらも成し遂げられる。
決意の表情(左)と、その決意から生み出された希望により、かすかにみせる微笑みの表情
済州島で雪の舞う夜、チャングムは、ミンジョンホの言葉『…、道がいくら険しくても進むことを知っているから、その道では私は何の力にもなれないから…。』に答えて、『私の才能を才能として、私の意志を意志として、女としての私をありのまま、私を人間としてありのままの私を見守って下さっています。宮女の頃は宮女としての道が人の道より先でした。今は奴婢としての道が人の道より先です。ナウリ(ミン・ジョンホ)は私がどのような外見でも見つめてくださいます。だから幸せです。申し訳なくて、やはり申し訳なくて。幸せで、やはり幸せで…。』

◆◆カルトクイズ◆◆(1,2,は、ドラマを見てるだけでは分からない!)
  1. チャングム・ハン尚宮 VS クミョン・チェ尚宮 。。。 クミョンとチェ尚宮は自分達を何派と言っているか?
  2. チャングム・ハン尚宮 VS クミョン・チェ尚宮 。。。 クミョン・チェ尚宮派の合言葉は? 


  3. チャングムの大好な食べ物は何? 

◆◆お勧め本ではあるのだが…◆◆   -2005.08.27追加記載

 「ストーリー完全ガイド」と書いてあるNHK出版の解説本が出版されてます。「チャングムの誓い 前編」と「チャングムの誓い 後編」の2冊です。以前からこの本は買おうと思っていて、つい先日後編を買いました。(クリックするとamazonサイトへ)

 ところが、ギッチョンチョン! 各話あらすじの記載に間違いが多くて呆れるばかりです。ドラマをきちんと見ているのだろうか?と疑わざるを得ません。そうでないなら、理解力や日本語の表現力が乏しい人が書いているのでしょう。ガイド本としては、インタビュー記事やその他解説など良いのですが、ことあらすじに関しては全く期待せず、また信用しないでください。。。私が全部書き直したいぐらいです。。。

◆この解説本のあらすじはひどいが、もし各話を詳しく知りたいなら、「『大長今』ストーリーガイド」という solcov_b氏の素晴らしいサイトがある。ドラマの解釈や考察など深くされており、ボクは共感するところが多い。solcov_b氏は、当初から映像つきの素晴らしいストーリーガイドを作っていて、チャングムの普及に貢献していたはずだが、NHKからクレームがついて、映像の使用ができなくなったそうだ。一旦中断しかけたが、MBCが公認ブログとしてサポートしたりして、結果このサイトができたそうだ。。。著作権法からすれば確かに違反なのかもしれないけど、ちょっとね〜と感じざるを得ない。。。見て見ぬふりができないほど素晴らしい出来だったということだろう。。。おかげで、更に充実したストーリーガイドができたということですね。。


◆◆チャングムのドラマ構成◆◆

第 1話〜第 5話 プロローグ (チャングム子供編)
第 6話〜第27話 チャングム料理編
第28話〜第32話 チャングム済州島編(医女編プロローグ)
第33話〜第48話 チャングム医女編
第49話〜第54話 エピローグ (チャングム主治医編)

 チャングムの面白さはいろいろあるが、その1つは複雑な対立関係にある。善と悪の対決という単純な組み合わせではなく、三つ巴や四つ巴状況での駆け引きや心理が描かれているのが面白い。

 また、個人個人がそれぞれ派閥の中に身をおきながらも濃淡や違いがある。多数の登場人物それぞれの性格や個性が明確に描かれており、見事な『人のドラマ』に仕上がっている。44話〜48話のあたりは、下記1〜5の派閥間の戦いや駆け引きが描かれていて見ごたえ十分である。

  1. チャングム派(ミン・ジョンホ、ハン尚宮、ジョン尚宮、医女チャンドク、カンドックら): 権力や不正とは別に誠実に生きようとする人達でチャングムを助け支える
  2. 左賛成一派: 宮中での不正を正そうとする一派でミン・ジョンホもその一員だが、官僚意識において差がある
  3. オギョモ一派: 中宗の即位に貢献した一派(功臣)で、それゆえに権力を握っていて私欲を肥やす一派。王の世子(長男)を支えてもいる。
  4. チェ尚宮一派(チェ一族): 宮中での権力基盤と結びついて利益を得ようとする一族で手段は選ばない。
  5. パク提調尚宮(元女官長一派): 元々はオギョモ派に近いが、失脚後、ヨリを使って自分をおとしめたチェ尚宮へ仕返しを画策する。自分自身の座が守れればよいと考える。
  6. 中殿媽媽(皇后一派): 基本的には真っ当でチャングム派の味方だが、その背景は自分自身または息子(後の明宗)の権力基盤を確保することにある。
  7. 王様派(長官): 基本的には誠実な政を実施したいと考えている。内侍内の役人は単に王に忠実なだけ。
  8. ミン尚宮派(チャンイ、その他大勢?): 正義感はあり根はチャングム派を応援しているのだが、権力には逆らいたくなく(または関わらず)細く長く生きて行きたいと願う人達。まあ一般人の代表ですね!。

◆◆キム・ヨンヒョン(???)さん◆◆  --2005.09.17、 9.19記載

 さて、この素晴らしいドラマの脚本を書いたのは、キム・ヨンヒョンさんという女性作家であるが、チャングムは彼女が初めて書いた歴史物だそうです。キム・ヨンヒョンさんのインタビューからチャングム誕生の秘密に迫ってみよう。『…』は彼女の発言。

    • 最新ニュース: 「薯童謡(ソドンヨ)」---現在、イ・ビョンフン監督 キム・ヨンヒョン脚本 というチャングムを作った名コンビでSBS大河ドラマ「薯童謡(ソドンヨ)」が始まったところだ。歴史ものだが、期待しちゃいますね!

    • チャングムを主人公にしたドラマを作ろうとのアイデアはイ・ビョンフン監督である。

    • イ・ビョンフン監督は、元々は「オールイン」の脚本を書いたチェ・ワンギュ氏に書いてもらいたかったが、チェ・ワンギュ氏は他の仕事をしていたので、キム・ヨンヒョンさんを監督に推薦した。
    • MBCはこの新進作家(キム・ヨンヒョンさん)に創立42周年記念大作の執筆を任せる気がなくて一ヶ月も決裁を延ばしたそうだ。結局は、史劇の百戦老将であるイ・ビョンフン監督を信じて印を押したとのことです。

    • 朝鮮王朝実録には、チャングムは10回でてくるが、ほとんどは俸禄を与えた記録で、年齢や暮らしなどその他の事は全く分からない。つまり、主治医であっただろうということ以外は100%キム・ヨンヒョンさんの想像である。

    • 朝鮮王朝実録の中宗実録には、実際医女に関する記載が多い。燕山君の時に医女を妓生(キーセン:女性接客業のこと)化してしまったが、「医女を絶対に妓生にするな」という中宗の王命が5,6回出ている。中宗の時代にすぐれた医女がたくさん現れたが、ヨンヒョンさんは、それはチャングムがいたせいだっただろうと想像したそうです。

    • 元々は、チャングムと中宗の愛をもっと長く描きたかったそうです。韓国で最初の、王と普通の女性との愛の話を描きたかったそうですが、視聴者があまりにチェ尚宮に対する復讐を望んだのでそうならなかったとのことです。
      『最初は医女チャングム部分を全体の60%くらいで描こうと思ったのだが、40%くらいに減ってしまいました』とのことです。

    • ミン・ジョンホは奥さんがいたが死別したとの設定にしました。この部分を説明するナレーションを何回かシナリオに入れていたのだが、無くなりました。クミョンの口を通じてミン・ジョンホが妻を亡くした事実を知らせようと思ったのです。ミンジョンホが妻を亡くしたといっても、チャングムは妾になるしかない境遇だったということです。後でチャングムが堂上官の地位を持つ大長今の称号を受けたので、そのまま正妻になったことで良しとした。』とのことです。

    • ドラマが始まった時には、10回分のシナリオを書いてあったが、13回目から「秒読み」が始まった。
    • 『土曜日にシナリオを渡します。土・日の二日間で大体のストーリーラインを決め、月・火の二日間でアシスタント等と場面構成の会議をします。そして、水・木・金の3日間で、一日に12〜14時間ずつ書きます。そうして書いた脚本は主人公の登場するシーンが70%を越えてました。それで、イ・ヨンエさんが大変苦労しました。』

    • 『殺人的でした。穴をあけてはいけないというプレッシャーが凄かったですね。食事に出ること以外、外出することはほとんどできなかった。パンクしないで超人的な力を発揮できて、シナリオの遅れは一回もなかったです。いつも土曜日夜12時にシナリオを渡してましたよ。』

    • キム・ヨンヒョンさんは『中間にハン尚宮の部分が増えたことで、結局4回延長をしたが、本当は10回位延長できたら良かったと残念に思う。』とのこと。
    • 延長できたら、『チャングムが中宗の主治医として活動する姿や王との愛を分かち合う姿…』を書きたかったそうだ。
    • インターネットで「ハン尚宮を殺さないで」のファンの声がすごかった。『ハン尚宮を殺したら、50%以上の視聴率が40%まで落ちるの覚悟しました。』

    • ハン尚宮のモデルは、ヨンヒョンさんのおかあさん。
    • ヨンヒョンさんの最も愛着が沸く登場人物は、チャングムとチェ尚宮だそうです。『主題意識をそっくりそのまま見せてくれる主人公のチャングムとチェ尚宮です。人が生きて行くのに一番重要なことは好奇心と単純さ、という事実をきちんと見せてくれる人物です』
    • ヨンヒョンさんが作家として「大長今」でいいたい核心となるテーマについては、『生きていること全てに対して「母の心」を失ってはいけないということです。』と答えています。
    • (以上、2005.09.19記載)

    • 【キム・ヨンヒョンさんについて】
       キム・ヨンヒョンさんは7歳の時からTVを見始めた映像世代である(生まれは1966年)。幼い時からTVと映画が大変好きだった。今でも仕事をしない時は一週間に映画を10作品見る。
      延世大学経済学部に入学したが、夢にも書き物をするとは考えもしなかった。
      『私は文に対してコンプレックスがあるんですよ。高校時代は文学少女でもなかったです。文を書くという考えは全然なくて、書き方を習うことも全く無かったです。』

    • ―どうして文を書くようになりましたか?
       『これが運命のように思えます。経済学部だから銀行や証券会社に就職しようと思ったんです。ところが、大学生活がうまくいかなかったうえに、私がうっかりしていて就職時期を逃しました。「これから何をしながら暮そうか」と悩んでいた時で、その時マスコミへの入社試験の勉強をしました。一年半も勉強したけど、それはまさにフリーター生活です。とても苦しくて放り出してしまい、韓国産業経済研究院傘下の雑誌社に入社しました。経済記事を書く事は私にはあわなくて、楽しくなかったです。ハンギル社付属機関で放送作家の受講生を募集するという新聞広告を見て、退屈だったのでそれに通うようになりました。6ヶ月通っている間に、放送作家という職業を理解するようになりました。それで会社をやめて、MBCアカデミーに入ったんです。』
       この事をきっかけに1991年に放送作家の道に入った。ドキュメンタリーをしたかったが、娯楽プログラムを担当させられた。「楽しさ」がすべての判断基準だった。2年経って娯楽プログラムのメイン作家になったが、ドラマに方向転換をした。ドラマを始めたのは30歳の時で、「テーマゲーム」と「アドバケット」を共同執筆した。その後、キム・ジョンハク プロダクションからの依頼でミニシリーズを書くことになった。35歳の時に自分の名前をかけてSBSでミニシリーズ「神話」を書いたが、視聴率は11%台で、彼女自身の初作品が大きく注目されることはなかった。その次に書いたドラマが「大長今」であった。

    • (2005.09.21記載)
    • (まだすこし続く・・・かも)

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