南国の楽園 - タヒチ -

モーレア島 1998年7月24日(金)


 朝食は屋外のテーブルで。フランスパンと紅茶、バター、ジャム。それだけ。でもパンはまるまる1本出てる。紅茶は直径15cmぐらいのでっかいカップにリプトンティーバッグ。そして片手鍋にお湯。まるでキャンプだ。例の Nestle のインスタントコーヒーの缶もある。トオルさん(31才と判明)は、ICU(国際基督教大学)を卒業してからSONYに入り、MBA (Master of Business Administration) をとりにアメリカへ行っていたそうだ。この先はハワイへ寄って帰国するということである。

 今日はとりあえずDDAに勧められたモーレア島へ行くつもりだ。朝食後すぐ宿を出て、トオルさんと一緒にル・トラックでパペーテへ向かった。彼はチリ・ペソを換金したいのだが、空港でもポリ銀(Banque de Polynesie)でもダメだった。なんでだろう。イースター島への便があるところなんだから、チリ・ペソ持って来る人多いだろうに。ポリ銀のおばさんによると、タヒチ銀行(Banque de Tahiti)ならできるそうだ。私はポリ銀で1万円をCFPに替えた。その後彼はタヒチ銀行へ、私はモーレア行きフェリー乗場へ向かった。また会うかもしれないが、とりあえずお別れ。

 フェリー乗り場でチケットを買い、時間はまだあったが船に乗り込んだ。この船、タマリイ・モーレアVIIIは元日本の船だったのだろうか。浮きに「かなや丸」と書いてあったり、ドアの上に「客室入口」と日本語があったりする。上のデッキへ出ると、椅子が汚い。掃除ぐらいしろよ。いかにも安い船という感じだ。でもかまわず座った。今日はタヒチの山に雲がかかってなくて、島が良く見える。天気も最高。とても暑い。そういえば船に乗るのって久しぶりだな。これは1時間ぐらいかかる一番遅い船だそうだが、船旅を楽しむには丁度良いと思う。

 9:52(もはやこの腕時計が合ってるという確信が持てない)、汽笛が2回鳴った。出航だ。9:54再び汽笛2回。9:56汽笛2回。まだかよ。10:00出航(腕時計は合ってるようだ)。10:27タヒチ島の全景が見える。海もキラキラしてきれいだ。ガイドブックには、船は相当揺れると書いてあったがそうでもない。大したことないじゃん。船に揺られて海を見ていると、思わず山水譜を口ずさんでしまう。

 「♪双ー弓ーたゆーむぅーう…」

 望星丸二世・・・懐かしいなあ。

 船がモーレアに着いてからインフォメーションへ行ってみると誰もいない。幾つか地図やパンフレットがあるだけだ。どうしよう。とりあえず空港のインフォメーションまで行けば宿情報を得られるだろう。ル・トラックは止まっていたが、運転手も客も誰もいなかったので乗るのをあきらめて歩きはじめた。しばらく行くとあるトラックが止まって、空港近くまで乗せてくれた。何人か旅行者らしき人も乗っている。

 「Merciメルシ beaucoupボク.」

 その後空港まで歩くと・・・あれ? ここ滑走路じゃん。おい、柵ぐらい作っとけよ。小さな空港だ。でもインフォメーションはフェリー乗場と同じで誰もいない。うそー。どうしよう。こうなったら歩いてやる! とりあえずガイドブックでゲストハウスを探す。ここから一番近いところに決め、歩くことにした。

 暑い長い道だった。1時間半ぐらい歩いて Motelモーテル Albertアルベール に着いた。部屋はあるという。良かったー。おお?! しっかしすごい部屋だ。1人で泊まるのはもったいない。キッチンがある。冷蔵庫がある。こ、これは住めるじゃないか! 部屋を掃除していたお姉さんに、

 「フランス語は?」

と聞かれた。フランス語できるかって聞かれることが多いけど、やっぱりフランス語喋れると対応ちがうのかな。確かに英語だとコミュニケーションが浅い感じはするけど。シャワーを浴び、洗濯をしてからベッドでくつろいだ。

 会話集でちょっと調べたら・・・。イースター島からタヒチへの便の出入国カードにはフランス語とスペイン語しかなかったんで、オークランドからの便(フランス語、英語、日本語あり)のときの記憶を頼りに 《大体この辺にこれ書いたよなー》 とか思いながら適当に書いたけど、思いっきり間違ってた。旧姓の欄に名前書いちまってた。名のところにはフライトナンバーを書いた。すなわち次のようになっていた。

SEKIYAMA
旧姓TOMOYUKI
LA833

 こ、これでは私は「関山LA833」だ。昔は「友之LA833」だったということになる。すごい間違いだ。イミグレの人、全然見てないな。名前に数字入ってる人なんているかよ。

 夕方、近所を散策した。大きな街はなく、のんびりムードがただよっているいい島だ。でも宿近くにビーチはないな。道端で、めちゃめちゃカラフルな魚を釣り下げて売っているのを見かけた。トロピカルなブルーやグリーンの輝く魚だ。あんまりうまそうじゃない・・・。夕飯を仕入れに食料品店へ行くと、店は17:00で閉まっていた!

 「しまったぁー!」

 冗談を言っている訳ではない。どうしよう、腹減ったぞ。他に店ないし、腹がグーグー鳴っている。しょうがない、レストラン入るか・・・。

 最高の贅沢をしてしまった。とても幸せな気分だ。うまい! うまい! うまい! 食べながら顔がニコニコする。ここはイタリアンレストランAlfredo'sアルフレッドス。宿の近くの店だ。始め前を通ったとき、私はTシャツに単パンという格好だった。なんか入りにくい雰囲気だったんで、とりあえず宿に戻ってから襟着きのシャツと、下はしょうがないけどジーンズ(すなわちただのいつもの格好)に着替えた。Tシャツ単パンよりはましだろうと思って。しかし案の定、料理は高い。結局、ビールと、Aperitif というところから勧められるままに1品、そしてこれまた今日のおすすめシーフードのフィットチーネとコーヒーを食し、全部で約4,000CFP(4000円強)。高かったけど、確かにすばらしいお味でございました。たいへん感動的でございました。

 「うまいぞぉぉぉー!」

と大声で叫んで、世界中にこの感動を伝えたい。なんて幸せな気分なんだぁー。でも、2人用テーブルで向かい側に誰も座ってないってのは、ものすごく淋しいぞ。周りはファミリーや夫婦ばっかりだし。店のおじさんはとても感じのいい人だけど、私と話し込んでばかりもいられんよな。客が増えてきて忙しそうだ。さみしぃー。でもうまいぃー。

 しかし、こんなに食事で感動したのは久しぶりだ。ラパ・ヌイの魚料理もこいつには負ける。やっぱり食はこうでなくっちゃ。これと比べちゃいけないけど、なんなんだいつも食ってるあの寮飯は! あれが「食事」なのか? いや、今この瞬間のものとあれを同じ「食事」という言葉で表すのは不適切だ。全然違う。いやー素晴らしかった。でも日本でイタリアンレストランなんて入ったことなかったな。

 帰り道、星がとてもきれいだ。南十字星を確認。宿に帰ってから庭に椅子を出して、しばし星のショーを観賞。あー、またまた幸せ。

 明日はビーチに行こうっと。

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