モアイと鳥人の島 - ラパ ヌイ -

Gracias! 1998年7月22日(水)


 疲れた。ようやくひと休み。ここは島の西側、TE PEU よりちょっと先のところだ。もうハンガロアが見えない。よく歩いたなあ。10時ごろから約2時間半歩き通しだった。日が照ってきて海がきれいだ。山の景色は牧歌的で美しい。この辺にモアイあるはずなんだけどな。岩はごろごろしてるけど、それらしいものは全然見当たらないぞ。海はどこを見渡しても水平線で、島や船の姿はない。「絶海の孤島」を感じることができる。鳥のさえずりが耳に心地よい。途中、数頭の牛にめちゃめちゃ見られた。ずっとじぃーっとこっちを見て、全然目をそらさないのだ。ここの牛は茶色いのと黒いのがいる。毛はとても美しい。やっぱりインドの牛とは違うな。角は立派で顔には威厳がある。前を通るときちょっと怖かったぞ。

 タハイを通ったときには、近くの家から男の子が石掘りの小さなモアイを1つ持って走って来た。その後に彼の小さな妹も走ってついてきた。

 「Hola.」

と言った後、いらないよというとすぐに走って家に戻ってしまった。その後に小さな妹もタタタタ・・・とついて行った。おいおい、売りたいならもうちょっとねばってもいいんじゃないの? でもそれでいい。

 しばらく休んだ後TE PEUの表示のところへ戻ると、DDAがバイクでやって来た(13:30ごろ)。彼はここから島を一周するつもりだそうだ。道はないんだけど、バイクなら行けるでしょう。彼と別れてからアフ・アキビ方向へ歩いた。昨日行った TE PAMU の洞窟を通り過ぎ、7体のモアイが見えたところで右にハンガロアへ行く道が分岐していた。ここを通って戻ろう。右へ曲がり、歩いてしばらく行くと、スズキのバイクに乗った人が後ろからやって来て止まった。

 「ハンガロアに行くのか? 乗れ。」

と言ってきた。何の警戒心もわかなかったので、遠慮なく乗せてもらった。

 「ハポンか? このバイクはハポン製だ。」

と言っていた。いやー、助かった。結構長い道のりだ。歩いていたら夕方になっただろう。14:30ぐらいにハンガロアの教会前に着き、そこで降ろしてもらった。

 「Muchas gracias.」

とお礼を言うと、

 「De nada, amigo. Chao!」

と言って彼は颯爽と去っていった。いやー、おっちゃん、かっこいいぜ! 初めてスペイン語で会話らしきものになって、うれしかった。

 早く戻れたので時間ができた。オロンゴへ行こう。その前に博物館へ・・・と思ったのだが、海岸へ向かって歩いたら博物館へは結構距離があるとわかったので、そのままオロンゴの方へ歩き始めた。(結局オロンゴの方がかなり遠かったのだが。)食人洞窟アナ・カイ・タンガタはどこだ? と思って歩いたのだが、地図を見て予想したよりもっと遠かった。小さな港の近くには頭の落ちたモアイが1体あった。それを眺めながらそこでちょっと休憩した。この港は本当に小さい。小さな漁船用だ。この島への船便はないけど、あったとしても停泊するところがないよなあ。

 洞窟のちょっと手前で犬に激しく吠えられた。ずっとついてきて今にも噛みつきそうな勢いだった。怖かったぞ。帰りもこんな目に会うのかな。やだなー。洞窟は驚くほど大きかった。断崖から見たのだが、奥行きもありそうだった。海の水は何とも言えない美しい色で、崖の高さと洞窟の巨大さと「食人」という事実から来る不気味な雰囲気をやわらげてくれている。近くでは釣りをしている人が何人かいた。しかしすごい崖だ。波も迫力がある。荒い岸壁にドドーンと打ち寄せ、あちこちで高いしぶきを上げている。景色を見ながら思わず

 「東映。」

とつぶやいてしまった。なんか三角マークの「東映」って字が出てきそうな感じなのだ。

 さて、その後長い長い登り坂を孤独な闘いが続いた。体力ねーなぁー。あ、今日朝飯食ってないや。今日口にしたのは今背中にしょってる水だけだ。力出ないわな、そりゃ。やたらと長い道のりだった。2時間以上歩き、17:20分ごろ頂上に着いた。またまたものすごい景色だ。オロンゴの鳥人の家などよりも島の景色に圧倒される。大きなラノ・カオの火口。火口の淵と切り立った崖。はるか下に見える海面、沖合いのモツ・ヌイ。これはすごい。うーん、他に言葉ないかな。ボキャブラリー少ないな。文章表現力が乏しいぞ。言い表せない。ちょっと写真撮り過ぎた。

 18:30を過ぎ、疲れていたが仕方なく歩いて下り始めた。途中、車が私を追い越して行く。いいなー。あ、登りの最初のとき、あまりの景色の良さに歌が口から飛び出したっけ。それがなぜか

 「♪ちぃーらしー、寿司ぃーなーーら・・・」

と北島三郎のすし太郎の歌だった。一人で大爆笑した。なんでこんな歌なんだ? しばらく歩いて下りていると、車が後ろから来た。通り過ぎるのかと思ったら速度を緩め、止まった。乗っているのは若い夫婦だ。スペイン語で何やら聞かれたが全然わからない。でも止まってくれたということは乗せてくれようとしているのだろう。

 「ハンガロア。」

と行き先を言い、何か言われたので

 「Si.」

と言って乗せてもらった。なんて親切な人たちなんだ。止まってくれという意志表示もせず、歩きながら《車、楽そうでいいなぁ〜》とか思っている人間に向こうから声をかけてくれるとは。メインストリートで降ろしてもらった。

 「Muchas gracias.」

 今日2回目だ。とてもうれしい。なんか人と触れ合っているという感じがする。挨拶だけだが、スペイン語しゃべってるし。

 20時ちょい前、コパカバーナというレストランに入った。客は誰もいない。店の人も誰もいない。きれいないいレストランだ。でもちょっと高そうな感じ。声をかけると奥からおじさんが出てきた。

 「スペイン語ダメか? 英語か?」

と聞かれたので英語にしてくれと答えた。魚とサラダを注文した。そして飲み物はビール。昨日と同じ CRISTAL というビールが出てきた。グラスに注ぎ、一気に飲んだ。プハー、うめぇー。魚は昨日のがとてもうまかったので他の店でも試してみようと思ったのだ。しかし・・・量はすごいがなんだこれ。直径約10cmの切り身が2つ、付け合わせもなく皿に載っている。しかもこれ、ただバターで焼いただけなんじゃないの? うーん、昨日の店の勝ちだ。サラダは別の皿にドド〜ンと、トマトのスライスとキャベツだ。これも量が多い。量の多さはうれしかったが、ちょっと味と見ためが物足りなかった。最後に紅茶を頼んだら、切らしててないそうだ。あまり飲む人いないのかな。コーヒーを頼んだら、お湯の入ったカップと、Nestle のインスタントコーヒーの缶と粉ミルクと砂糖が出て来た・・・。なんだこりゃ。インスタントでも裏で入れてから出してくれればいいのに。どうせ私は違いのわかる男じゃないんだから。

 途中から客(おじさん)が来て、一人で隣りのテーブルに座った。その後は中年夫婦が来た。店にはこの店の娘らしい中学生ぐらいの女の子がいて、店内に流している曲にノッて体を揺らしていた。

 レストランを出てから2軒の土産屋に寄っていくつか買物をした。結構高いな。朝買ったフィルムも高かった。全て日本で買うのと同じぐらいの値段だ。あまり土産買えないなあ。

 食料品店で水を買ってから宿への帰り道、視界の上の方がにぎやかなのでふと上を見ると・・・満天の星! ごちゃーっと星がいっぱい光っていた。すごい! 天の川がはっきりわかる。うわー。しばらく立ち止まってしまった。こんなにクリアな星空は多分、研修航海のとき以来だろう。街灯がじゃまだったので、宿を通り越して海の方へ歩いた。南十字星ってどれだっけ。探したけどわからなかった。北斗七星らしきものはあったけど、北斗七星って南半球で見えるんだっけ? 見えないよなあ。しかしすごい星空だった。

 土産屋で6枚買ったポストカードを宿に帰ってから書いた。明日郵便局に出しに行こう。その後マウンテンバイクを借りて島の東側を見に行こうと思う。明日が最後だ。

BACK NEXT

TOP HOME