今日はニューデリー駅の予約オフィスへ行き、アーグラーカント駅行きの切符を買うのに午前中全てを費した。非常に疲れた。昼飯は彼の望みで、ちょっと高いレストランで食べた。彼とはどうも興味の湧くところが違い、行動を共にしにくく感じていた。午後は別行動ということにし、宿は同じところにもう一晩泊まることにした。
午後はとてもとても楽しかった。まず徒歩でラール・キラーへ行った。その途中、裏通りを沢山見ることができ、普通の人々の暮らしを垣間見ることができた。宿の周辺と違って、視界には日本人どころか外国人旅行者らしき人々の姿は一切ない。私に変な日本語や、商売じみたセリフを言ってくる人は誰一人としていない。ときどき挨拶してくれたり、ここはどの辺か尋ねると笑顔で教えてくれたりした。
過去と現在が溶け合っている街並み。人は多いし騒音も凄いのだが、なぜかニューデリー周辺のように腹立たしさがない。車をよけて通りを行き来するのも、人ごみの中を向こうから来た人とすれ違うのも、何だかとても楽しかった。
ジャマーマスジッドが視界に入ってきたときも何だか嬉しかったが、ラール・キラーの城壁は圧巻だった。広いせいもあるが、その周りの土地に幾らかの余裕を持たせているので、より荘厳に見える。入口でおばさんに、インド国旗の小さな紙をピンで胸のあたりに付けられた。
「No! No!」
と言ったら、別に金は払わなくても良かったらしく、その小さな国旗はその後、嬉しくてずっと付けたままにしておいた。ラール・キラーの中はとても穏やかな雰囲気で、ずっとそこにいたいと思うようなところだった。芝生には人々が寝転んで休んだり、展示のある建物の中も人があまりいなくて、ゆっくり見ることができた。POST OFFICE が中にあったので、親と亮に葉書を出した。
ラール・キラーを出た後、チャンドニーチョウクを歩いたのだが、ミシンをまわしているテイラーは見付けられなかった。しかしあるおじさんに声をかけられ、見るだけと言われて入っていった店でクルターとパジャーマを買った。買いたかったのだが普通どれくらいの値段なのかわからず、最初 Rs800 と言われたのを Rs600 にまで値切った。しかしそれでも高すぎたらしい。普通、高くても Rs200 ぐらいで上下そろえられるらしいのだ。人にこれを言うと「やられたねー」と言われてしまうかもしれないが、おじさんとの会話がとても面白かったので、あまり損をした気がしない。楽しい思い出のひとつなのだ。
その後も裏通りをあちこち巡りながら帰ったのだが、通りの名前などろくに表示されていないので、案の定、道に迷った。最後は足の裏にまめができ、自分にギブアップをしてリクシャーをつかまえた。
ニューデリー駅まで Rs25 と交渉して決めたのだが、おつりがないと言われ、自分も Rs5 を持っていなかったので仕方なく Rs30 で手を打った。しかしそれも全くいやな気分ではなかった。それは、その運転手が Rs10 をくずそうとしてあちこちの人にあたってみてくれたからだ。くずせずにどうしようもなかったので、Rs30 払った。
チャンドニーチョウクで Rs600 も使ってしまったので、もうルピーがちょっとしかない。現在手元にあるのは Rs38.5。飯も食えない。宿に戻る前に飲んだ Rs1.5 のチャーイは本当にありがたくてうまかった。
さて、今日まで一緒にいた S君はもうここにはいない。今日、彼はあるインド人青年(名前は聞いたのだが忘れた)と友達になり、彼の家でやっかいになることにしたそうである。北の地方に家があるそうで、スキーもできると言っていた。そのインド人の彼は21才。多分学生だろう。ちょっとしか話をしなかったが、いい感じの青年だった。一緒に来ないかと誘われたが、本当の一人旅をしたかったので別の道を行くことにした。
一緒にここで写真を撮り、手紙でその後の報告をしようと約束し、握手をして別れた。お互い良い旅をしよう! 元気で。