デリー

洗礼 1997年2月28日(金)


 靴にうんこ付けられた。

 「靴が汚れてるよ。クリーニングしてあげる。」

と言われ、足もとを見たら右の靴に牛の糞を付けられていた。足の甲に自然に糞が付くはずはなく、知らないうちに付けられたのだ。朝、出かけてコンノートプレイス中心の噴水へ向かう途中の出来事で、少々不快だったが、インドを語る上でのちょっとしたエピソードである。まあ、そんなもんだと思えばあまり腹は立たない。S君は

 「なんだ、あいつ。殴ってやれよ。」

と言っていたが、それはまずいよ。でも後から靴を洗っている時にちょっと腹が立ってきた。

 今朝は荷物を背負って宿を出て、まずツーリストオフィスへ行った。そしたらしきりにインドは危険危険と言われ、ツアータクシーを雇えと勧められた。

 「値段は安いぞ。何が問題なんだ。」

と言われたのだが、それをやってしまうとただのパック旅行のようになってしまう。それはいやだ。なんとかごまかして出て来た。

 二人で歩きながら、私が見かけた公園などに入っていこうとすると、S君は

 「襲われそうだよ。やめとこう。」

と言って行こうとしない。そんなことないと思うんだけどな。無理強いすることもできないので、私はいくつか見たいところはあったが足を踏み入れずに通り過ぎた。

 途中、一人旅の日本人の女の子に声をかけられた。彼女はとても元気はつらつとした様子で、ニューデリー駅への道を聞いてきた。なんだかとても生き生きとしている。私たちは彼女の後姿を見送りながら、声をそろえて

 「たくましいなあ。」

とつぶやいていた。

 街をうろうろした後、メインバザールに戻って今日の宿を決めた。昨日の宿よりもっとメインバザールを奥に入った、AMAR HOTEL というところだ。二人で Rs300 である。値段相応の、良い宿だと思う。ここなら何回でも泊まれる。少々難を言えば、通りに面した部屋なので車その他の音がしてうるさい。でもそれほど気にはならない。

 荷物を置いた後、宿の近くの APPETITE というレストランで14時ごろ昼飯を食った。私は Egg Kurma というのを注文したが、出てきたものは日本語で説明すると「カレー」と言うしかない。ゆで卵が、ごろんとまるごと2個入っていた。それと、Plain Lassi を飲んだ。私が面白がっていると、S君は疲れた様子で

 「まだ食事の味を楽しむ余裕はないよ・・・」

と言った。確かに味自体にはあまり感動はなかったけど、インドでの初飯なんだし、もうちょっと楽しもうよ。彼とは少し感覚が違う・・・内心そんなことを思いながら、お店のお姉さんが美人だったので思わずそちらへ目が行ってしまった。

 明日は鉄道の予約に行こう。

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