鉄道の旅。目的地はフエだ。今日は駅にあのシクロは来てなかった。良かった。サイゴン駅にはひとつだけ列車が入っていた。それが私の乗る列車だ。中へ入ると通路が狭い。めちゃめちゃ狭い。私のベッドの位置をもの売りの子供が教えてくれた。一番下の席に座ってみると頭が上にぶつかる。高さがないので前かがみに座らなければならない。きつい。でも横になればそこそこ快適だろう。
3段が向かい合って、計6つのベッドがある。下の2つは老夫婦。中段は私と、英語の話せる日本通のスポーツおじさん。上2つは上半身裸のじいさんと連れの兄ちゃん。狭い空間に、この6人が入った。
日本通のおじさんは空手と柔道の有段者だそうだ。他の人は皆サンダルなのに、このおじさんはくつ下を履き、2002(日韓開催のワールドカップの年)のロゴが入ったスニーカーを履いている。Tシャツの袖をまくり、下は短パン。そしてベジタリアンだそうだ。車内で軽いランニングをしたりして、かなり健康的である。私は剣道と柔道を高校の体育の授業でちょっとやっただけだったが、2人で日本の武道の話をして盛り上がった。空手の師匠(師範かな?)が強いという話しや、相撲レスラーは体がとてもでかかったというようなことを話してくれた。
この列車では、飛行機の機内食のように飯時になると車内食が出る。これがとてもまずい! 寮の飯よりまずい。計4回出たが、違いなんか関係ないくらいまずかった。おかずが変わってもまずさは全然変わらん。弁当箱みたいなのに入っていて、スープは後からつぐ。飯がパサパサでおかずもとてもまずかった。スープはまあまあかな。
でも同じ時間に6人で一緒にとる食事はとてもとても楽しかった。英語を話せるおじさんがいてくれたのも運が良かった。せま〜い車内で小さな簡易テーブルを囲んで、みんなと食事しながら話しをしたり、老夫婦が果物を切ってくれたりして、本当に楽しかった。まるで家族で旅行しているみたいだった。どこへ向かっているかはどうでも良く、この鉄道の旅がずっと続いてもいいなぁ〜と思わせるほどだった。ただし、まずい飯を除いて。
日本ではランチにいくらぐらいかかるんだと聞かれたので、
「$3ぐらい。」
と答えたら
「そんなにすんのか!」
とみんなに驚かれた。ディナーは$5ぐらいだと言うのにも全員がびっくりしていた。
「ベトナム人と結婚してベトナムに住んだらどうだ。」
と言われ、
「それはいい!」
とみんなで笑った。途中、老夫婦がトウモロコシを「食べなさい」と差し出してくれたが、その時腹の調子があまり良くなかった。トウモロコシなんて一番消化が悪い食べ物だ。せっかくだが断った。みかんとリンゴは食ったけど。